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次世代への責任、誰が? TPPシンポに400人2013年9月17日

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 TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会とTPPに反対する弁護士ネットワーク、主婦連合会が共催したシンポジウム「このまま進めて大丈夫なの? TPP交渉」が9月14日、東京都内で開かれた。シンポジウムには400人が参加。農業をはじめ、暮らしと地域を守ってきた多くの制度やルールが壊されかねないTPP交渉の問題点を話し合い、交渉からの脱退も含めて幅広い運動を続けようと呼びかけた。会場に入りきれない人たちもいてロビーで中継画面を熱心に見入っていた。

9月14日のシンポジウムの様子

◆食と農 - 断つな! 生・消連携

(左から)高橋町長、小林農政部長 秘密保持契約を盾に国民に情報提供されないまま進むTPP(環太平洋連携協定)交渉――。10月初めのAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議での大筋合意をめざす。
 主婦連合会の佐野真理子事務局長は「関税撤廃や安全規制の廃止など、TPPは国民生活に取り返しがつかないことが起きると反対してきた。しかし、何も知らされないままそれが現実化している。危険性をしっかり認識する必要がある」と参加者に呼びかけ、米国でも反対運動が高まってきたとして「これでいいのかと考える人々の団結と連携を」と訴えた。
 この日は「TPP問題を考える十勝管内関係団体連絡会議」の代表、高橋正夫・本別町長もかけつけた。十勝で暮らす35万人のうちの9割は農業など第一次産業に関係していると強調し「関税撤廃で農業は壊滅。地域も崩壊する」と訴え、次の世代に豊かな大地を引き継いでいくためにも「妥協も条件闘争もあり得ない。しっかり運動と発信をしていく」と力を込めた。
 十勝は食料自給率1100%だという。壊滅すれば地域に5000億円のマイナス影響が出るとの試算だ。それは十勝だけでなく日本の食料にも危機をもたらす。しかし、安い輸入品は消費者のメリットになるとの喧伝は絶えない。
 主婦連合会の山根香織会長は「(安くなりメリットがあると)喜んでいると、地産地消も崩壊し取り返しがつかないことになる」と都会の消費者への発信の重要性を指摘。政府は消費者教育推進法を検討しているが、「その政府が、安いものがいいとの考え」だと批判、生産者と消費者の連携が一層重要になっていると強調した。

(写真)
(左から)高橋町長、小林農政部長


◆農業自由化 - 輸出と、くせ者の調整品

(左から)鈴木東大教授、山根主婦連会長、弁護士の杉島氏 一方、農業者のなかにも、関税撤廃なら競争力をつけ輸出すればいいとの考えも相変わらずある。
 この点について、高橋町長は十勝は長イモの輸出をしているが「生産額の1%に過ぎない」と強調。鈴木宣弘東大教授は「輸出でがんばればなんとかなる、は幻想だ。輸出を伸ばす前に国内農業はつぶれてしまう」と、国民の命を守るために国内農業と基礎的な食料が欠かせないという視点が大事だと指摘した。さらに「かりにごく一部の農業者が輸出で生き残っても、99%の地域の人々はつぶれてしまう。それは、今だけ、金だけ、自分だけという考え方だ」とTPPを推進する利益追求のみの多国籍企業と同じ姿勢だと批判した。
 農産物自由化について衆参農林水産委員会と自民党は交渉で米、麦など重要5品目の関税撤廃からの除外を勝ち取るとしている。しかし、今後の交渉で高い自由化が要求されるなか、関税撤廃を容認する品目を政府が選別する可能性も報じられている。米でも関税化品目としては58あり、そこには餅や団子なども含まれる。こうした「調製品」を提示しようという目論見も懸念されている。しかも具体的提案は守秘義務を理由に説明されていない。
 この点について「調製品はとてもくせ者」とJA全中の小林寛史農政部長はその輸入実態を指摘した。かつてマグロやシャケを冷凍寿司のかたちで「魚の調整品」として輸入、輸入後に米を分離、流通させた例や、高脂肪チーズとして輸入しておき遠心分離器でバターにした例などを挙げると、会場からは驚きの声も上がった。
 小林部長は「これまで輸入実績がない品目だからいいだろう、などと考えると重大な問題になる」と指摘するとともに、重要5品目とは農業のみならず地域や雇用、消費者にとっても重要であり、このような調製品も含めて守っていくという点が「(国会と自民党の)決議に入っていないことが問題だ」と強調した。

(写真)
(左から)鈴木東大教授、山根主婦連会長、弁護士の杉島氏


◆TPPと国内法 - 国民守る視点あるか?

 TPP交渉は関税だけではなく、それぞれの国で決めている制度も投資と貿易の円滑化のため、撤廃すらめざす。さらに進出した企業が国の制度によって思うように利益を上げられないと考えたとき、国家に損害賠償を請求できるISDS条項も盛り込もうとしている。
 弁護士の杉島幸生氏は「あらゆる社会立法がTPPルールの制約を受ける」と指摘、日本は国際協調主義の立場をとるため条約は国内法に優越する。食品表示などの国民の権利を守る法律や地産地消を進めるため地元食材を使おうという自治体条例なども、企業の利益を阻害すると問題にされかねない。
 また、小林部長によると、マレーシアの農業団体も「政府調達」の議論の行方を懸念しているという。同国では都市との格差を埋めるため地元企業による公共事業に力を入れており、農家の兼業機会にもなっているという。しかし、仕事の発注先として地元企業などを優先させる政策は、TPP交渉では内外無差別を原則とすべきとの主張もなされており、マレーシアの農業団体も懸念しているという。
 杉島氏は「まさに地元企業や伝統産業を守り循環型経済をつくっていく取り組みもTPPでは違反になる」と批判。日本では「条約そのものが、国会の立法権、自治体の条例制定権の侵害となる。憲法違反だとの立場で反対していきたい」と話した。

◆多国籍企業と市民 - 国と国民に多様性あり

会場には入りきれないほどの人が集まった。 TPPはなぜ国内の制度まで標的にしようとするのか? 鈴木東大教授は「各国の制度や仕組みは助け合うためにつくってきたもの。それが海外展開する企業には邪魔。1%の人々の利益拡大をめざすもの。それを国民を騙して進めている。絶対に許すわけにはいかない」と語気を強めた。実はTPPは規制撤廃だけではない。利益のためなら規制強化も狙う。その象徴が医薬品の特許期間の延長だ。
 山根主婦連会長は「地域の根ざした知恵や工夫がある。それをTPPは否定し市場原理を入れてはならないところに入れようとしている」と批判した。
 TPPがアジア太平洋地域の人々に有益になるというのなら「アジアはきわめて多様であることに着目すべき」と小林全中農政部長は指摘した。そもそもTPPが将来のAPEC全体のルールになるというが、APECのルールは自主性と柔軟性だ。1995年の大阪行動指針でうたったことだ。さらに米国の輸出信用やNZの独占輸出乳業など「関税撤廃の前にやるべきことは多いはず」とも訴える。 成長には「協力」の観点も大切だ。途上国の未整備な法制度で不利益を被るとISDSを振りかざすより「日本の経験を伝えるなどキャパシティ・ビルディング(能力開発)の観点が大事では。人の生き様、気候、文化などがあってルールはできている。それを1つの基準に合わせるのは問題だ」。
 鈴木東大教授は「99%革命」との言葉を使い、TPP交渉を止める広範な運動の継続を期待した。

(写真)
会場には入りきれないほどの人が集まった。


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