都市農業振興基本計画決定 「多面的機能」発揮へ 農地確保で"逆線引き"も2016年5月17日
都市農業振興基本計画が5月13日、閣議決定された。都市農業振興基本法(平成27年)に基づき、都市農業の振興に関する施策についての基本的な方針、政府が講ずべき施策の計画であり、都市農業の多様な機能を発揮するための方向性と課題を示している。
基本計画は、都市農業の振興に関する施策について、(1)基本的な方針、(2)政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策、(3)施策を推進するために必要な事項の3つからなる。
基本的な方針では、都市農業の担い手の確保、都市農業に供する土地の確保、農業振興施策の本格展開の3つを掲げる。
特に土地の確保では、都市農地を「宅地化すべきもの」から、都市に「あるべきもの」へと、その位置づけを転換し、計画的に農地を保全するとしている。また多様な担い手確保として、新規就農を含め意欲ある農業者のほか、都市農業と連携する食品関連事業者、都市住民のニーズをとらえたビジネスを展開できる企業等を対象としている。
こうした方向性に続いて、第1に農産物を供給する機能の向上、ならびに担い手の育成・確保、第2に防災、良好な景観の形成ならびに国土・環境の保全などの機能発揮、次いで税制上の措置、農産物の地元での消費促進などに取り組む。
具体的な施策としては、農地の確保として、土地利用に関する計画の策定を進め、将来にわたって保全すべき相当規模の農地については、市街化調整区域への編入(逆線引き)の検討も視野に入れる。
税制上の施策では、市街化区域内農地(生産緑地を除く)の保有に係る税負担のあり方、賃借される生産緑地等に係る相続税納税猶予のあり方などを挙げる。
また、市民農園の推進や、都市公園を都市住民が農業を学ぶ拠点とすることの検討、福祉事業者等が農業に参入する際に必要な技術・知識習得の支援なども掲げる。このほか、学校教育における農作業体験、都市農業者の学校への派遣の拡大、統一的な教材の整備など、幅広い都市農業支援策策定を促す。
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