農協改革「しっかりフォローアップを」-首相が指示2016年11月29日
政府の規制改革推進会議の第6回会合が11月28日に開催され「農協改革」と「生乳改革」についての提言をとりまとめた。安倍首相は規制改革推進会議に対して農協改革の進捗状況をフォローアップするよう指示した。
規制改革推進会議農業WGは11日に公表した「農協改革に関する意見」ではJA全農は▽生産資材購買事業から撤退し1年以内に新組織とする、▽委託販売を1年以内に全量買取販売とする、また▽信用事業の実施JAを3年以内に半減、▽クミカン(組合員勘定)の廃止などを提言していた。
しかし、与党と調整の結果、全農の購買事業に関しては「共同購入機能の十分な発揮」、「価格と諸経費を区別して請求」などの事業へ改革することや、販売事業に関しては「安定的な取引先の確保を通じた委託販売から買取販売への転換」を求めたが「全量買取販売」は消えた。
また、信用事業やクミカンについての記述は削除された。年限を区切った改革提言も見送った。
ただし、全農の自己改革について「全農は年次計画やそれに含まれる数値目標を公表し、政府はその進捗状況について、定期的なフォローアップを行うべきである」と提言したほか、全農だけでなく「今後の農協組織の自己改革の進捗状況によっては、国として、その改革の実現を確実にするためあらゆる措置を講ずべきである」と明記した。
安倍首相は同会議で「農協改革については『集中推進期間』における自己改革を加速させる。全農改革を推進するため組合員である農業者、国民にも分かる成果や数値目標を掲げ、年次計画を立てて生まれ変わるつもりで自己改革を進めていただく」と述べたうえで、全農だけでなく「全国の農協組織が取り組むべき多くの課題がある」とJA改革にも課題があるとの認識を示し「規制改革推進会議としても、両者について、改革の進捗をしっかりとフォローアップしていただきたい」と指示した。
会議終了後、記者会見した農業WGの金丸恭文座長は当初の提言から内容が後退したのではないかとの質問に「意見が後退したというより、(与党などとの議論で)これで全農改革が進むと思っている人が多いと感じた」。「全農の自己改革の数値目標入りの年次計画は中身が大きく変わると期待している」と話した。
JA信用事業の代理店化の数値目標やクミカン廃止についての提言を見送ったことについてはいずれも協議の過程で、代理店方式への準備・JAの理解不足があることや、クミカンに関しては現場での改善検討などが期待されるとの認識を得て「今回は全農改革を優先した」と述べた。
ただ、大田弘子議長は安倍首相があいさつのなかで全農改革だけでなく「全国の農協組織が取り組むべき多くの課題がある」と述べた部分に、信用事業やクミカンの問題が含まれているとの受け止めを示した。
今回、首相のあいさつでも言及された「集中改革期間」について金丸座長は「2014年から19年までの5年間」との認識を示し、残りの2年半で「全農改革をやり遂げるということで了承なさった」との認識を示した。
一方、自民党農林幹部の森山前農相は本紙のインタビューに「今年の4月に改正農協法が施行されているから今年4月からの5年間が原則。法律が成立・施行されたことが前提だと思う」の述べて食い違いを見せている。
また、安倍首相は農協改革のフォローアップを同日規制改革推進会議に指示したが、自民党の25日の決議ではフォローアップについて「与党及び農林水産省が緊密に連携しながら行うものとすること」と規制改革推進会議の動きを牽制しており、ここでも政府と与党の食い違いを見せている。
(写真)規制改革推進会議終了後の記者会見。農業WGの金丸座長(左)と大田議長
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