米 「15万t」特別枠で保管料全額支援-農水省2021年10月13日
農林水産省は10月12日、農林関係の合同部会に2020(令和2)年産米の長期保管料など支援としている37万tのうち、15万tを「特別枠」として保管料を全額支援し長期間支援するなどの対策を説明し了承された。
主食用米の販売環境を整備するために、長期計画的に主食用米を販売する自主的な取り組みに対して、農林水産省は保管料など支援する米穀周年供給・需要拡大支援事業を実施している。
この事業を活用するのはJAグループが中心で、令和2年産米は37万tまで積み上がっている。
このうち15万tを「新たな特別枠」とし、長期保管に対する経費を全額支援する。長期間にわたり支援する方針で農林水産省は「特別会計」で支援することを表明、今後、具体的な財源と予算規模などを検討する。ただ、予算は単年度のため毎年要求することになる。
特別枠で保管された主食用米を子ども食堂など生活弱者に提供する場合は国は全額を支援することで無償で提供する。また、米の販売環境が改善された時期に、中食・外食に販売する場合は国は半額を支援し、販売促進を図る。古米となった2年産米を半額で販売しても差損は支援を受けることができるということになる。
農水省と与党は15万tをコロナ禍の影響による需要減に相当する量として特別対策を措置する。子ども食堂などが必要とする米の量がどの程度か明確ではなく年間1000t程度との見方もあり、保管後は多くが中食・外食に販売されることになりそうだが、販売が需給に影響しない時期となるため、来年以降の生産量や需要動向などに左右される。
一方、37万tのうち特別枠を除いた22万tは今年11月から来年11月にかけて計画的に販売していくことになるが、その保管料の支援額を2分の1から4分の3に引き上げる。
自民党の小野寺五典農業基本政策検討委員長は今回の対策について「米穀周年供給事業のなかでしっかりと抱えておく」として、党としては「市場隔離効果を持つ」政策と位置づける。また、保管料の農家負担を軽減することで「農家手取りが増える政策」とも説明した。
米穀周年供給事業を活用する要件はJAや全農県本部、経済連と卸などと結びつきがある米が対象。特別枠15万tの配分などは農水省とJAグループで検討し、長期保管になる場合の卸との結び付きの扱いなども検討する。農水省の担当者は「スキームが決まっただけ。財源も含めて検討はこれから」と話す。
また、今回、農家の当面の資金繰り対策も示した。
農家には転作に応じて水田活用の直接支払交付金が年末から来年3月まで支払われる。また、減収分の9割を補てんするナラシ対策(収入減少影響緩和対策)の交付金は5月から6月にかけて。そのため概算金が大きく低下している農家は年末に収入が減少し資金繰りが困難になることも懸念されるため、これを支援するため、日本政策金融公庫の農林漁業セーフティネット資金などの無利子融資を行う。
こうした対策について農水省は10月18日に各都道府県の関係者を集めた全国会議で周知する。
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