飼料価格補てん 発動基準を一時引き下げ 総合緊急対策2022年4月28日
政府は4月28日、予備費による原油価格・物価高騰等総合緊急対策を決めた。農林水産関係では肥料輸入にかかる掛かり増し経費の支援や、配合飼料の価格補てん制度の基金の積み増しのほか、国産小麦生産拡大の支援策も盛り込んだ。
輸送・保管費を緊急支援
化学肥料原料の世界的な高騰に加えて、ロシア、ベラルーシ、中国など特定の輸入先からの原料調達が困難になっていることから、メーカーなどは調達先を変更して原料を確保している。
JA全農は、昨年末から3月にかけてモロッコから緊急調達した。こうした輸送距離が長い代替国からの調達には、輸送費のほか大型船による輸送に伴う原料の保管と、国内製造メーカーへの輸送などの経費がかかる。今回の緊急対策では秋肥原料について、肥料製造事業者などにコスト上昇分の掛かり増し経費を緊急に支援する。
調達先国と原料別に支援単価を設定、調達量に応じて支援する仕組みを検討する。対策費は100億円。
同時に国際市況の影響を受けにくい生産体制づくりを早急に進めるため施肥コスト低減体系への転換を進める。令和3年度補正予算で土壌診断とともに肥料コスト低減技術に取り組む場合を支援することにしていたが、緊急対策として、どちらか1つの取り組みでも支援するよう運用を改善する。
異常補てん基金を積み増し
配合飼料価格の高騰対策は、国とメーカーで積み立てている異常補てん基金に435億円を積み増す。また、メーカーの基金積み増しと、そのための借り入れ金の利子助成にALIC(農畜産業振興基金)事業から237億円をあてる。
農水省によると基金の積み増しによって「4-6月期の補てんはしっかりできる」とする。ただ、今後の為替相場や穀物価格の見通しは難しく基金が十分かは不透明だ。
また、補てんの発動要件を一時的に引き下げる。異常補てん金は、輸入原料価格が基準輸入原料価格の115%を超えた場合に発動される。穀物価格高騰の前は、おおむね4000円/t上昇すると発動された。しかし、現在は6000円/t上昇しないと発動されない穀物相場となっていることから、臨時に発動基準を基準輸入原料価格の112.5%に引き下げる。令和4年度の第1~2四半期に限った特別措置。農水省によると5000円/tの上昇程度で異常補てん金が交付されるため、生産者が積み立てている「通常補てん基金」への負担が緩和できるとする。
飼料穀物の備蓄・流通の支援では、国産粗飼料の広域流通を支援する。令和4年度予算事業の運用を改善する。JAや複数の畜産農家が県域を超えて飼料生産者と連携し、粗飼料の広域流通を行う取り組みを支援する。
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