基本法見直しへ最終答申 農政審議会2023年9月11日
食料・農業・農村政策審議会と基本法検証部会は9月11日合同会議を開き、基本法の検証・見直しについて最終とりまとめ内容を了承し、大橋弘審議会会長が野村哲郎農相に答申した。
右から野村農相、大橋会長、中嶋部会長
現行基本法の理念は▽食料の安定供給、▽多面的機能の発揮、▽農業の持続的な発展、▽農村の振興の4つ。こうした理念のもと、基本計画で自給率向上をめざして自給率目標を定めた。
しかし、中嶋康博検証部会部会長は基本法が制定された1990年代後半は「短期的な不作や中長期的に自給率がそのままでも輸入で安定して補い続けることができるという認識があった」と話し、90年代後半を「束の間の安定期ではなかったか」と振り返った。
その後、2010年代から現在まで気候変動や地政学的な要因などで「食料の国際市場は大きく動揺している」ことに加えて、日本の購買力の低下も見過ごすことができなくなってきた。こうした情勢のもと、現行基本法では不測時の食料安全保障にのみ焦点を当てているが、現在では「平時と不測時の距離が近くなっている」ことをふまえて平時からの備えが必要だという認識のもとで審議会答申は食料、農業、農村政策の理念を見直しを提起した。
新たに提起された基本理念は、▽食料の安定供給の加えすべての国民が健康的な食生活を送るための食品アクセスの改善、海外市場も視野に入れた産業への転換、適正な価格形成のための仕組み構築による国民一人一人の食料安全保障の確立、▽環境等に配慮した持続可能な農業、食品産業への転換、▽食料の安定供給を担う生産性の高い農業経営の育成・確保、▽農村への移住・関係人口の増加、地域コミュニティの維持、農業インフラの機能確保。
中嶋部会長は「食料はすべての人にとって自分事。新たな施策に向けた国民的合意形成が行われることを期待している」と述べた。
答申を受けて野村農相は基本法制定から20年以上が経過し、社会経済情勢や見通しは「制定時には想定されなかったレベルで変化しており、まさにターニングポイント。答申を指針に基本法見直しに向けた検討を深化させたい」と述べた。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(146)-改正食料・農業・農村基本法(32)-2025年6月14日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(63)【防除学習帖】第302回2025年6月14日
-
農薬の正しい使い方(36)【今さら聞けない営農情報】第302回2025年6月14日
-
群馬県の嬬恋村との国際交流(姉妹)都市ポンペイ市【イタリア通信】2025年6月14日
-
【特殊報】水稲に特定外来生物のナガエツルノゲイトウ 尾張地域のほ場で確認 愛知県2025年6月13日
-
【注意報】りんごに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 岩手県2025年6月13日
-
SBS輸入 3万t 6月27日に前倒し入札2025年6月13日
-
米の転売 備蓄米以外もすべて規制 小泉農相 23日から2025年6月13日
-
46都道府県で販売 随意契約の備蓄米2025年6月13日
-
価格釣り上げや売り惜しみ、一切ない 木徳神糧が声明 小泉農相「利益500%」発言や米流通めぐる議論受け2025年6月13日
-
担い手への農地集積 61.5% 1.1ポイント増2025年6月13日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】生産者米価2万円との差額補填制度を急ぐべき2025年6月13日
-
井関農機 国内草刈り機市場を本格拡大、電動化も推進 農機は「密播」仕様追加の乗用田植え機「RPQ5」投入2025年6月13日
-
【JA人事】JA高岡(富山県)松田博成組合長を新任(5月24日)2025年6月13日
-
【JA人事】JAけねべつ(北海道)北村篤組合長を再任(6月1日)2025年6月13日
-
(439)国家と個人の『食』の決定権【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年6月13日
-
「麦とろの日」でプレゼント 東京のららぽーと豊洲でイベントも実施 JA全農あおもり2025年6月13日
-
大学でサツイマイモ 創生大学と畑プロジェクト始動 JA全農福島2025年6月13日
-
JA農機の成約でプレゼントキャペーン JA全農長野2025年6月13日
-
第1回JA生活指導員研修会を開催 JA熊本中央会2025年6月13日