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【25年産米】適正生産量683万tに懸念の声も(2)高米価でもリタイア?2024年11月1日

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10月30日に開かれた食農審食糧部会で農水省が示した主食用米の需給見通しについて同日の意見交換では、今後の需要減退による需給緩和を心配する声がある一方、24年産米も高温障害などで精米歩留まりが必ずしも回復しておらず、米不足を懸念する指摘もあるなど、需要の見通しが立てにくい状況にあることが示された。食糧部会は今年産の収穫量の確定などを踏まえて来年1月に再度開催、農水省は需給見通しを改めて諮問する。

【25年産米】適正生産量683万tに懸念の声も(1)米価下落すれば意欲失う から続く

25年産米の在庫量 これで良いのか?

高米価でもリタイア?

一方、現在の高い米価について「何とか報われた」という受け止めがある一方、平田勝越山形川西産直センター社長は地域の農家のなかには「ボーナスをもらったので、これでもうリタイアしてもいいかな」という人がいると話した。高齢化が進む現場では米価が回復しても先行きが見えないということなのか。かつて子牛価格が70万円にもなった時、中国地方の高齢の繁殖農家から、これを機に借金を返して農業やめる、という声が聞かれたことを思い出す。平田委員は、それだけに今後米価が下落したら「高齢者のリタイアにつながりかねない」と心配した。

誰が集荷競争に?

また、平田委員は集荷現場の実態を話した。これまでは「農協がプライスリーダーだったが、今年は違う」といい、「一瞬の利益を狙ってアルバイト的に買い入れている」状況で「不安を感じる」として、流通実態を分析する必要を指摘した。本紙でも集荷の実態を東北などの産地に取材している。実際に過去に米集荷業の実績はないと思われる廃品回収業者が生産者に出荷を呼びかけているという。(【24年産米】倒伏やイネカメムシ 収量、品質に懸念 集荷に全力 東日本主産地の声 24年産米 9月末在庫は前年比49万トン減 集荷競争が激化

日本生協連の二村睦子常務は複線化する集荷ルートや供給の仕組みについて「米の安定供給に不安はないか」と指摘したほか、千葉県で米販売業を経営する澁谷梨絵(株)シブヤ代表取締役は、取引先は思うように集荷できず現在は高値で仕入れざるを得ないが、今後、米価が下落した際、在庫の差損発生など混乱を懸念した。

こうした米の流通に携わる関係者からは「供給責任を果たしていくという気概を持っている組織を育成していくことを念頭においてほしい」(平田委員)との要望も出された。米の流通は完全に自由化され産地から消費地まで複線化した流通ルートとなっている。ただし、食糧法の正式名称は「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」だ。目的のなかで「米穀の生産者から消費者までの適正かつ円滑な流通を確保するための措置」を図るとしている。

農水省は同日の部会で流通の実態について、さらに情報収集していくことや「流通の各段階で調整機能を果たしていくことが大切だ」として民間と協力して適正で円滑な流通を確保していく考えを示した。

24年産米の歩留まりは?

24年産米の1等比率は9月30日現在で77.3%で過去5年平均の73.2%と同水準となっている。(1等米比率77%に 東高西低くっきり 目立つ高温耐性品種の高水準)そのため昨年のような精米歩留まりの低下はないのではないかと思っていたが、農水省によると例年並みに戻っていない。

大手卸売業者と米穀店への調査では9月末時点の24年産米の精米歩留まりは89.0%で昨年より0.5ポイント上昇しているものの、2020年~23年平均の90.2%に比べれば▲1.2ポイントとなっている。

藤尾委員は精米工場の担当者からの話として「89%。例年より1%低い。24年産も高温障害があった」と話した。

また、683万tの収穫見込み量について「産地に聞くと、実感と乖離、そんなにいいのかという声がある」(二村委員)との見方もあり、今後の供給量を注視する必要がある。農水省もそれほど穫れていないという産地や、歩留まりが悪いという声も聞くといい「両面あると感じている」として年明けの食糧部会に向けてデータを精査する。

【25年産米】適正生産量683万tに懸念の声も(3)ギリギリ需給でいいか? へ続く

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