【25年産米】適正生産量683万tに懸念の声も(1)米価下落すれば意欲失う2024年11月1日
10月30日に開かれた食農審食糧部会で農水省が示した主食用米の需給見通しについて同日の意見交換では、今後の需要減退による需給緩和を心配する声がある一方、24年産米も高温障害などで精米歩留まりが必ずしも回復しておらず、米不足を懸念する指摘もあるなど、需要の見通しが立てにくい状況にあることが示された。食糧部会は今年産の収穫量の確定などを踏まえて来年1月に再度開催、農水省は需給見通しを改めて諮問する。
米価下落すれば意欲失う
農水省は今年7月から来年6月までの需要量を674万tと見通し、25年産主食用米の適正生産量を24年産の予想収穫量と同水準の683万tとした。
これについてJA全中の馬場利彦専務は米価上昇で需要減退が懸念されるとし「見通し以上に需要が落ち込んだ場合、需給緩和に転じる恐れがある」と指摘、需要に応じた生産に向けて、各県が策定する生産量の計画を自県産の需要と在庫をふまえて見直しができるよう「国からの働きかけ」を求めた。
稲垣光隆(公財)金融情報システムセンター理事長は、米価が高く消費者の節約行動から需要の下振れリスクがあり、過剰在庫と米価下落などに「強い懸念を抱かざるを得ない」と話した。
現在の米価については生産者からは「適正価格に近づき、モチベーションも上がる」(菅原紋子ファーム菅久常務)、「肥料など高騰するなかで、なんとか報われたという感じ」(小林涼子(株)AGIKO代表)と現場をふまえた発言があると同時に、「下がると生産意欲がそがれていく。考えていただきたい」(藤尾益雄神明ホールディングス社長)と米価下落を心配する発言も複数あった。
米の価格 安定供給コストも
同時に資材価格が高止まりして生産コストが上がっていることを国民に発信することが必要だとの指摘もあった。部会に示した資料のなかで、農水省は現在の米価水準の要因となったJA概算金について説明している。
それによると8月時点の生産資材価格指数(2020年=100)は光熱動力131、肥料139と上昇しており、前年産より約40%引き上げた今年の概算金は、こうした資材価格の高騰を反映していることを示した。さらに集荷競争の激化で追加引き上げをした銘柄もあり、前年産に比べて50%の引き上げとなり、概算金で60kg2万円を超えた銘柄もある。
一方、9月の相対取引価格は60kg2万2700円だが、このうち約10%の2000円は、通年供給のための保管料と産地から消費地への運賃(4%)、手数料(3%)、その他、安全安心にかかるサンプル検査料や広告宣伝費など(2%)であることを示した。相対取引価格には、安定供給のための産地での保管料なども含まれていることになる。

部会では米の価格が上昇すると「生産者が儲けている、と(消費者の)怒りにもなる。双方の理解が進んでいくことを期待したい」(小林委員)との声もあった。適正な価格形成に関する協議会は米でもWGを設置することを決め11月に初会合を開くが、米の生産コストの実態と再生産可能な価格が必要なことをデータをもとに情報発信する必要がある。「持続可能な食料システム」が求められていることを消費者も理解する必要がある。
【25年産米】適正生産量683万tに懸念の声も(2)高米価でもリタイア?へ続く
(関連記事)
・25年産米 今年産と同水準の683万t 米価上昇で需要減見込む 米の需給見通し(2024.10.30)
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