国産飼料増強 耕畜連携を農業モデルに 企画部会で議論2024年12月6日
12月4日に開かれた食農審企画部会では肥料や飼料などの調達や国産化、化学肥料の使用量の削減などの課題についても議論した。
12月4日の企画部会
みどりの食料システム戦略では2050年までに化学肥料の使用量を基準年(2016年)から30%削減する目標を掲げている。
2030年には20%削減するとしているが、農水省は現在までのトレンドで推移すれば17%程度にとどまると試算。肥料原料の輸入価格が長期的に上昇する傾向にあるなか、生産コストを下げるためにも化学肥料の使用量を削減する必要があるとして、引き続き▽たい肥や下水汚泥資源等の国内資源の利用拡大、▽局所施肥など施肥の効率化技術の導入、▽土壌診断に基づく適正施肥と土づくりなどに取り組むことが課題ととなる。
国内資源の肥料利用量の割合を2030年までに40%とする目標を掲げているが、農水省は現在のトレンドでは32%程度にとどまるとの試算を示した。目標を達成するには、たい肥原料などの供給者、肥料製造業者、利用する農業者の連携と施設整備が必要になるとして、農水省は「関係者間のマッチング機会を増やす取り組みの強化」が必要とした。
また、ペレット化やたい肥入り混合肥料を製造する取り組みと、それを農業者に代わって散布作業を行う農業支援サービス事業者の育成と活用も進める考えだ。
企画部会で委員の小針美和農中総研主任研究員は未利用資源の利用を拡大するには、農業者への理解増進とリスクコミュニケーションの強化が必要だと提起したほか、長期的に肥料として活用が可能な資源の発掘と実用化に向けた技術開発、施設整備にも取り組むべきなどと話した。
農薬は2050年度に化学農薬の使用量を2019年度比で50%低減させることを目標とし2030年には10%低減をめざしている。農水省によると2030年度はこれまでの実績から推計すると15%程度となる見込み。
環境に配慮し効果的な防除を進めるには、化学農薬だけに依存しない総合防除の普及や、安全性の高い新規農薬の開発などが課題となる。
全中の山野徹会長は、新たな病害虫の被害が深刻化しているとして、農薬の安全性に関する再評価制度を加速化させ「リスクを抱える産地が安心できる農薬の開発が必要だ」と話した。
飼料も過度の輸入依存から脱却することが課題だ。農水省は耕種農家と連携した飼料生産を含めた「地域計画」の策定の促進と、コントラクターなど外部支援組織の運営の強化などを課題に挙げる。
齋藤一志日本農業法人協会会長は、現在のまま耕作地の規模拡大が行われなければ2030年には35%が耕作放棄地となるという農水省の推計について、「畜産農家は飼料がなくて困っている、飼料の作付けを」と飼料生産で農地利用を維持する必要があるとした。
日本生協連の二村睦子常務理事は自給率向上には飼料自給率向上が重要になるとして、飼料生産への支援を「短期間で変更せず、じっくり取り組む政策が必要だ」と強調した。
北海道の水戸部裕農政部長は北海道は60万haで2000万tの粗飼料を生産しており、さらなる増産には2番草、3番草の活用や、耕種農家と畜産農家のマッチング、物流体制の構築、新品種の開発などが課題だとした。
農中総研の小針主任研究員は、飼料自給率と農地利用の向上という食料安全保障の視点と、家畜排せつ物の農地への還元という環境との調和という視点から、飼料生産を組み込んだ耕種経営、自給飼料を組み込んだ畜産経営を経営モデルとして提示するなど、「耕畜連携をこれからの農業モデルとして提示すべき」と問題提起した。
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