土地改良法見直し 国・県の発意で事業実施も 自民の農林合同会議が了承2024年12月12日
農林水産省は12月12日、自民党の総合農林政策調査会と農林部会の合同会議に土地改良法の見直し内容を説明し、同会議は了承した。農水省は来年の通常国会への提出に向けて改正条文案の具体化作業を進める。

土地改良事業は原則として受益農業者の申請と同意に基づき実施されるが、農水省は基幹的農業水利施設の約5割が標準耐用年数を超えており、計画的に更新工事を行うためには、農業者からの申請だけでなく、国や県の発意で事業が実施できるよう法改正をする。
国や県の発意による事業であっても農業者の同意と負担は必要となるが、5日の自民党の会合では現場に誤解が生じないように説明する必要があることや、地元負担の軽減も必要だとの意見が出た。
この点について農水省は国や県の発意で事業実施する場合は、現場に誤解が生じないよう留意するとしたほか、地元負担の軽減に向けて「関係省庁と継続的に協議していく」と説明した。
人口が減少していくなかで、農業水利施設の保全に向けて土地改良区だけでなく、市町村、集落、農協など関係者が議論する枠組みを設け、関係者が連携して保全に取り組む「水土里ビジョン」を土地改良区が策定できる仕組みに見直す。
この点については水土里ビジョン策定のための人材の確保への支援や、議論の枠組みへの市町村の関与の必要性などが指摘されていた。
農水省は水土里ビジョンについて25年度予算で策定支援予算や施設管理の補助の強化を盛り込んでおり、これらを活用しながら「土地改良区の運営基盤の強化を後押していきたい」と説明した。
また、関係者の議論の場への市町村を位置づけを今後検討するとともに、国・県の指導、助言で関係者が参画する制度するとの考えも示した。

5日の合同会議では水田の畑地化を進める際、土地改良区の運営に支障がないよう配慮すべきとの意見も出された。
これについて農水省は、畑地化によって特定の組合員の賦課金負担が増加しないよう24年度補正予算で支援措置を盛り込んいると説明するとともに、畑地化によって水利施設の利用に支障が生じないよう、市町村が土地改良区と調整するなど「関係者に指導していきたい」としている。
土地改良区の体制や運営についても見直し、理事の年齢や性別の構成に配慮する規定を設ける。これについて「適正な人が選任される必要がある」との意見が出されたことから、農水省は「土地改良区に運営に支障が生じることがないよう理事の選任方法について適切な指導を行う」と説明した。
その他、スマート農業を推進するため土地改良区が情報通信基盤の整備を実施できるよう見直す。農地中間管理機構事業の実施主体に市町村を追加するなど改正も行う。
会議で宮下一郎総合農林政策調査会長は「農業基盤整備をしっかり進めるために法律を改正し全国に前向きなメッセージを届けることが必要だ」と述べた。
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