農産物・食品の価格 労務費の転嫁を議論 適正価格協議会・農水省2025年3月24日
農水省は3月21日、第7回適正な価格形成に関する協議会を開催し、農業者や食品産業事業者が合理的な費用を考慮した価格形成に向けた行動規範をテーマに議論した。
合理的な費用を考慮した価格形成を実現するための関係法の改正案(食品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進及び食品等の取引の適正化に関する法律)では、事業者の行動規範を定めることにしており、今後、検討していくことが求められている。
21日の協議会では2023年に内閣官房、公正取引委員会が策定した「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を農水省が説明し、意見交換した。
この指針は労務費の転嫁に関して発注者と受注者の双方の立場からの行動指針として12の「行動」を定めている。この行動指針に沿わない行動をすることで公正な競争を阻害する場合は、公正取引委員会が独禁法と下請代金法に基づき厳正に対処することが明記されている。
行動指針では、発注者の採るべき行動として、労務費の上昇分を価格に転嫁する具体的な方針を経営トップまで上げて決定することや、発注者側からの定期的な協議の実施、サプライチェーン全体での適切な価格転嫁を行うこと、要請があれば協議のテーブルにつくことなどが盛り込まれている。
一方、受注者として採るべき行動として、中小企業の支援機関などの相談窓口を利用して積極的に情報を収集して交渉に臨むべきことや、価格交渉の際の根拠となる資料は公表されているものを使うこと、発注者から提示されるのを待たずに受注者からも希望価格を提示することなどを定めている。
また、双方が採るべき行動として定期的なコミュニケーションと交渉記録の作成、双方での保管なども定めている。
会合で生産者側委員から労務費を反映させる指針があれば適正な価格形成が実現できると期待する声があったほか、すでに労務費指針に取り組んでいる企業からは「最初は、できるのかという声もあったが、次第に取り組むようになった」との声もあった。
ただ、行動規範をあまり詳細に決めてしまうと、却ってそれが守られなくなったり、生産性が低下するとの懸念も出た。
消費者からは、農業と食品産業の生産性を上げることが重要だとする意見や、価格改定の際に提供される情報の精度の向上を求める意見があった。
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