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農政:緊急特集:「小泉進次郎が挑む農政改革」批判

「儲かる農業」論で地域は守れるのか 「土壌」の特性、農家の「工夫」が農業の根幹2016年2月24日

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現場からの批判1インタビュー・JAおきなわ普天間朝重専務理事

 「『儲かる農業』実現のために農協改革の手綱を緩めない」--。自民党の小泉進次郎農林部会が経済誌などで強調している公約のひとつがこれ。そこではJAグループの生産資材・農産物販売事業、さらに信用事業も大きな改革課題だとしている。しかし、これまでの党での議論を見る限り、農業の特性と地域の実態をふまえた検証・検討になっていないとの指摘は多く、今回、再び強調されている農協改革の真の狙いはどこにあるのかを見据え、的確に対抗軸を打ち出していく必要がある。現場はどう受け止めているのか、JAおきなわの普天間朝重専務を訪ねた。

--「農政新時代」を掲げた農政改革の議論を沖縄ではどう見ていますか。

JAおきなわ 普天間朝重専務理事 普天間 農協・農業改革だと言っていますが、これまで常に貿易自由化と結びついてきました。貿易自由化を進めるには規模拡大すればいい、そのために農業予算を大規模農家に集中させればいい、ということです。ガット・ウルグアイ・ラウンド合意後、これを阻止したのが全中だったという批判が最近も一部報道で出ていますが、政府は小規模農家に早く離農させて大規模農家に農地利用を集積させることをずっと目論できたわけです。改めて今回の農協改革はTPPを絶対推進するという強い意志のもと、これに反対してきた農協に直接切り込んできたのだと考えるべきだと思います。
 しかし、農地の8割を2割の担い手に集積させるなどということをやったら国が滅びると思う。とくに沖縄の場合、離島が多く、その農地の8割を2割の大規模農家に集積したら当然の帰結として人口が減少してしまう。人がいなくていいのか、農業さえできればよく、その地域がどうなってもいいのかということになる。そこは違うのではないか。
 つまり、農業がどうやって地域を守っているかという部分を抜きにして、競争力強化や規模拡大を言うだけで農業を語れるわけがないということです。なぜそこが理解できないのかという思いです。

--そもそも農業が地域を守っているという視点が重要ですね。

 普天間 沖縄県の離島では「サトウキビは島を守る。島は国境を守る」といっています。そこでは農家は単に食料生産を行っているだけでなく、国を守っているというプライドがあるのです。そのことは我が国の農家すべての共通の想いではないでしょうか。農家には常に国土を守っているというプライドがあるのです。それを「儲ける農業」「儲かる農業」という利益至上主義で地域が成り立つはずがありません。
 JAおきなわでは与那国島で新たにサトウキビの増産に取り組んでいます。新しい製糖工場ができましたが、これまで高齢化などでサトウキビの生産量が4000t程度に低迷していました。しかし、島の雇用も支える製糖工場を安定して操業していくには5000tの原料が必要でJAが増産に力を入れました。
 それでとにかく苗を植えろと。どこに植えるのかといえば遊休地です。遊休地を借りて増産しようということですが、今回は地権者から農協が完全作業受託を受けるというかたちにしました。植え付けから収穫までの作業をすべてJAが受託します。この方式で遊休農地18haにサトウキビの苗を植えた。その結果、今年度には5500tに生産拡大する見込みとなりました。JAが前面に出てサトウキビが増産できたということです。
 ただし、もっと機動的に対応するには農協による農業の直接経営のハードルを下げたほうがいい。今は農業規程にあらかじめ農業経営する場所を定めなければならず、今回のように生産力が落ちた地域を機動的にサポートしようという事業が経営体としてはできない。われわれとすればJAが農業経営をして農地を維持しておき、その後に大規模経営をしたいという農家が出てくれば、JAは自ら拓いてきた農地を譲り渡せばいいということです。それによって新しい担い手を育成することにもなる。離島では遊休地を放っておけばそのままだめになってしまう。そこにこそJAの出番がある。

--一方で企業による農地取得がまた議論されています。地方創生にとってもそれが必要だという主張もありますが、どう思いますか。

 普天間 農協法改正で非営利規定を見直してしまったことは問題ですが、そもそも組合員へ最大の奉仕をすることが農協の目的であるという規定があったからこそ、与那国島のサトウキビ増産のような取り組みができたわけです。
 これが企業ならどうか。バブルの時代に何が起きたかといえば企業は土地を買い集めた。開発という名目で。だから、企業が農地を取得できるようになったとき、取得した農地だけでは思うように利益が出ないとなれば周囲の農地をむしり取るように買っていくでしょう。利益を追求しなければならないからです。しかし、同時に企業は利益が出ないとなれば真っ先にその部門は切り捨てる。それが離島の農業で起きたときにはもう農家を追い出してしまっているわけですから、地域には誰もいないということなりかねません。農地を維持して引き継いでいこうというJAの農業経営とはまったく違うと思います。

--日本の農業がコスト高になっているのは肥料の銘柄数が多いからではないかなど、生産資材の分野も大きな焦点になりそうです。

 普天間 生産資材価格を下げるべきだと言われて、それは違うとは言えません。この問題では生産資材の流通の問題は検証してみる必要はあると思います。
 ただ、韓国には肥料の種類が100種類しかないのに日本は1万種類以上もあって、それがコスト高になっているのではないかというのは違うのではないか。土壌によって当然肥料は変わるはずです。種類を少なくすればいいというものではない。逆に韓国は100種類ほどしかないというが、なぜそれでいいのだろうと思います。
 沖縄といっても地域によって土が違うからサトウキビの肥料もいろいろあるし、その土にあった肥料を開発していくのは当然ではないか。われわれは土壌分析をして肥料成分割合を変えていくし、農家も工夫しているわけです。肥料の種類を減らすということは農家が工夫するための選択肢を減らすということではないかと思います。高齢化など労働力が不足にも対応し撒布回数を減らす肥料を開発するなどの開発の工夫もある。自然を相手にしている農業の現実を考えていないのではないか。

--農産物の販売についてはJAの買取販売の強化などが必要だと強調されているようです。

 普天間 市場流通、つまり競りを問題視し過ぎているのではないかと思います。だから従来のような受託販売ではなくJAによる買取販売をやれと強調する。
 しかし、買取販売といっても指標となる価格はどこから手に入れるのか。沖縄でも大規模農家はやはり県中央卸売市場への出荷が中心になります。きちんとした市場での価格形成がないと買取販売といっても指標となる価格がないということになる。だから市場は必要でJAの受託販売も大事だということです。
 ただ、これまでは受託販売に偏り過ぎていたので、そこは反省しなければならず、状況に合わせて買取販売を入れていくべきですが、同時に農家の所得向上のためにJAは受託販売をどう生かすかも課題です。
 農産物はJAが集荷しそこでA品、B品と機械で規格が分けられる。さらに最近は光糖度センサーのような機械で瞬時に農家ごとに糖度が分かる。個々の農家ごとに評価される仕組みをJAの集出荷センターは作っているわけです。いい品物も悪いものもいっしょくたになっていると誤解されているのでしょうか。
 日本農業の根幹は、流通面でいえばやはり共選でロットをまとめることです。だからJAは共選の質を高める努力が大事だと思います。
 「農林中金の貸出金残高のうち農業融資は0.1%しかない。ならば農林中金なんていらない」「農協にしても、農業融資の構成比は全体の5%にすぎない」という批判がある。農業融資は農家のニーズを満たしているかどうかが問題であって、全体の何%かというような議論は意味がない。生産拡大のための農家の投資にはJAは積極的に対応している。当然ではないか。無理に融資をして農家に借金を負わせるのですか。また信用事業で利益を生み出していることを問題視していますが、それがなかったら営農指導事業は成り立ちません。JAが営農指導をやらなくていいのかということになります。福祉事業も含めて赤字だから撤退、では地域は守れません。
 ただ、一連の農協改革の議論によって、職員に迫力が出てきました。自分たちが考えなくてはならないという機運が生まれ販売事業などでさまざまな提案が出るようになっています。様々な批判に対して真摯に耳を傾ける一方、「なにくそ」という反骨精神も芽生えてきました。その力を発揮していかなければなりません。

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