ドイツ発「オーガニック教育番組」スタート2020年11月10日
ドイツオーガニックビジネス研究所は、同研究所代表のレムケなつこ氏が、エビデンスに基づいたオーガニック情報を伝える、オーガニック専門の教育番組をドイツから定期的に配信する。

2019年、ドイツ政府が行った消費者調査で「オーガニック製品を買う理由」を聞いたところ、80%以上の人が「アニマルウェルフェアのため」「地域の農家を支援するため」「生産者に適正な賃金が支払われるため」「生物多様性保全に貢献するため」「効果的な地球環境保護に貢献するため」「有機農業推進に貢献するため」「ウェルビーイングを高める健康食だから」などいくつかの理由を挙げた。ドイツでは、社会や地球に貢献するオーガニックの多面的な価値である「ソーシャルベネフィット(社会的利益)」を認め、そのうえでオーガニックを支援する消費者の姿勢が見えるが、同研究会が日本で同じことを質問すると80%以上の人が「健康のため」と回答したという。
日本では自分の利益である「パーソナルベネフィット(個人的利益)」として、オーガニックに関心を持つ人が圧倒的に多いという結果に、レムケ氏はドイツと日本のギャップにこそ、日本でオーガニックが飛躍的に拡大するヒントがあると気づいた。
海外4か国に15年以上住み、様々な文化の違いを経験してきたレムケ氏は、日本人は世界の中でも飛び抜けて協調性や仲間意識が高いと実感。「自分さえ良ければそれでいいとは思わない」という意識が一人一人の中に存在していると実感しており、社会や地球に貢献するオーガニックの多面的な価値に、日本人の意識が向かないのは、単に"知らないから"で、それを学ぶ機会が与えられてこなかったからだと考えている。
ドイツでは、政府が1990年代からオーガニックに関する消費者教育支援を始め、2000年代初頭にはオーガニックに対する公的資金のうち、70%以上が消費者教育にあてられた。オーガニックに限らず、作り手や売り手が安心して活動を続けるためには、同時に市場を成熟させ拡大していく努力が必要であることから、同研究所は動画を通じて、日本でのオーガニックに関する"消費者教育"をめざす。レムケ氏は「オーガニックには今、そして将来、世界が直面する環境問題、社会課題を解決しうる力がある。オーガニック最先端ドイツ在住のオーガニック専門家として、ソーシャルベネフィットなオーガニックとは何か、そもそもオーガニックの概念とはどういうものなのか、エビデンスに基づく情報を提供する」と話している。
今後のテーマは、「オーガニック講座」「ドイツ視察レポート」「欧州最新情報」「オーガニック業界にインタビュー」「暮らしやビジネスに生きるヒント」を予定。「ドイツ発オーガニックで教育番組」の配信は、ユーチューブで毎週 水・土曜日の19時更新。
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