「農業版MaaS」で農機具をシェアリング 広島で山間地のスマート農業を実証2021年4月23日
県立広島大学の庄原キャンパスは、庄原商工会議所や地域の農業従事者とコンソーシアムを組み、広島県と島根県の県境にある中山間地域でスマート農業の仕組みを活用した農機具のシェアリングサービスを計画。農研機構の令和3年度「スマート農業実証プロジェクト」の事業に採択された。
サービスイメージ
同事業は、情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)、ロボットなどを活用したスマート農業の実証実験に取り組む同大の資源循環プロジェクト研究センターが代表を務める「AaaSコンソーシアム『広島・島根』」によるもの。庄原商工会議所を調整役として、広島県と島根県の12事業者が参画する。庄原市の重原農園を準備室とし、計477ヘクタールの農地でスマート農業の仕組みを駆使した農機具のシェアリングを行う。
同取り組みにより、山間地に点在する農地で多品目の作物をスマート農業で農機具をシェアしながら効率よく生産する仕組みが国内で初めて実現する。庄原地区では、広島県の重点品目の一つで、「お好み焼き」に欠かせないキャベツの増産にもスマート農業を駆使して取り組んでいる。手作業が中心だった一連の作業をAIを活用した仕組みに委ねるもので、今回のAaaSはその追い風になる。キャベツの安定供給が実現すれば他の生産地の閑散期に出荷でき、庄原から広島県の農業を強くできる。
実証生産者の配置
過疎地で高価なスマート農機をシェア
広島県と島根県の県境に位置する中山間地域は過疎化が進み、点在する農地の中では耕作放棄地も増加。労働力や農機の不足した地域でいかに費用を抑え、効率よい農業を実現するかが課題となっている。
「AaaS」はスマートフォンでアクセスするクラウド上の新システムで、広域に点在する農機の位置情報をGPSで取得し、所在と運用を一括管理する。複数の生産者間で効率よくシェアするため、農機具の仕様や台数、オペレーターの必要性など生産者側のニーズを集約し、どの地域の生産者に送るかのマッチングを提案する。また、農機の輸送をサポートし、運用工程の効率化をめざす。
同システムの導入により、(1)地域を超えた農業経営の大型連携、(2)隣接する地域間での他品目連携、(3)異なる集落間の米麦輪作体系の連携と3つのモデルを管理。また、農機の運用管理やメンテナンスやスマート農業に不可欠なドローンによる画像解析データ等をシェアし、シミュレーション評価も行う。
計画では、これらの仕組みにより、農機の導入コストを半減し、生産面積と売上高を10%向上させる。地域が広がり参加者が増えればより効率化が進むことから、新たなコミュニティーを形成し、孤立地域をなくす効果も期待されている。
農研機構による「スマート農業実証プロジェクト」は令和元年度に始まり、これまで全国148地区で展開。令和3年度は応募総数85地区のうち31地区が採択された。
重要な記事
最新の記事
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】「盗人に追い銭」「鴨葱」外交の生贄にしてはならぬ農産物2025年5月2日
-
【2025国際協同組合年】情報を共有 協同の力で国際協力 連続シンポスタート2025年5月2日
-
イネカメムシが越冬 埼玉、群馬、栃木で確認 被害多発の恐れ2025年5月2日
-
九州和牛をシンガポール人に人気のお土産に 福岡空港で検疫代行サービスを開始 福岡ソノリク2025年5月2日
-
就労継続支援B型事業所を開設し農福連携に挑戦 有機農家とも業務提携 ハピネス2025年5月2日
-
宮崎ガス「カーボン・オフセット都市ガス」 を県庁などに供給開始 農林中金が媒介2025年5月2日
-
5月29日から「丸の内 日本ワインWeeks2025」開催 "日本ワイン"を学び、楽しむ3週間 三菱地所2025年5月2日
-
協同心の泉 大切に 創立記念式典 家の光協会2025年5月2日
-
【スマート農業の風】(14)スマート農業のハードルを下げる2025年5月2日
-
(433)「エルダースピーク」実体験【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年5月2日
-
約1cm程度の害虫を強力捕獲「吊るしてGET虫ミニ強力タイプ」新発売 平城商事2025年5月2日
-
農中情報システム 自社の導入・活用のノウハウを活かし「Box」通じたDX支援開始2025年5月2日
-
洗車を楽しく「CRUZARD」洗車仕様ホースリールとノズルを発売 コメリ2025年5月2日
-
戦後80年の国際協同組合年 世代超え「戦争と平和」考える パルシステム神奈川2025年5月2日
-
生協の「地域見守り協定」締結数 全市区町村数の75%超の1308市区町村に到達2025年5月2日
-
ムコ多糖症ニホンザルの臨床徴候改善に成功 組換えカイコと糖鎖改変技術による新型酵素2025年5月2日
-
エフピコ×Aコープ「エコトレー」など積極使用で「ストアtoストア」協働を拡大2025年5月2日
-
JA愛知信連と高機能バイオ炭「宙炭」活用に関する協定締結 TOWING2025年5月2日
-
5月の野菜生育状況と価格見通し だいこん、はくさい、キャベツなど平年並み 農水省2025年5月2日
-
「ウェザーニュースPro」霜予測とひょう予測を追加 農業向け機能を強化2025年5月2日