アグリテック開発を加速化 農業版3Dデジタルツインサービスを提供開始2021年8月4日
株式会社Happy Quality(静岡県浜松市)と、株式会社フィトメトリクス(静岡県浜松市)は、仮想空間上で農作物栽培環境を完全再現するデジタルツイン環境のプラットフォームを開発。AI開発用教師データセット生成や農業技術研修システム構築など、アグリテック開発に役立つ一連のサービス提供を始める。
Happy Qualityは、デジタル技術の活用により高品質な農産物を安定的に栽培するためのスキームを確立し、農業支援と青果卸売業を手がけている。一方、フィトメトリクスは、農業分野における画像解析技術の研究開発を手がけており、同プラットフォームの開発で、アグリテック開発の加速を図ると共に、スマート農業の普及を通じた業界におけるイノベーションの創出をめざす。
取り組みでは、ハッピークオリティーがもつ細密栽培管理技術と、フィトメトリクスの農業AI技術を掛け合わせ、新たに農業版3Dデジタルツインを開発。現実の農作物やハウス設備・環境データを元に、VR(仮想空間)上でほ場を超高精度に再現に成功した。
同プラットフォームの活用により、モニタリング、分析・シミュレーション、フィードバックを行うことが可能になり、これらの機能を活用したユースケースの一部として、「遠隔栽培指導」、「AI教師データ生成」や「栽培環境の構築シュミレーション」などが見込まれている。
「遠隔栽培指導」は、遠隔地でも現場のほ場を、ほとんど現実と遜色なくVR空間上で確認することが可能。非対面・非接触で的確な栽培指導ができるようになり、新型コロナウイルス感染防止に役立つほか、訪問コストを削減でき省力化に繋がる。また、「AI教師データ生成」は、果実の個数計測、熟度の推定、病害虫診断など、農業用画像解析AIの開発に必須な教師データの迅速活用に役立てる。シミュレーション空間上でデータ生成することで、現実世界で必要となるデータ収集とデータラベリング作業を省略可できる。さらに、「栽培環境の構築シュミレーション」により、栽培ハウスの新規設営時やリフォーム時に同プラットフォームを活用することで、オリジナルな環境を生成。ハウスの間取りをシミュレーションできるため導線の整理や、必要となる農業資材の見積り、株数からの収穫量の算出なども可能となる。
同プラットフォームは、遠隔栽培指導をはじめ、あらゆる用途に応用することが可能であるため、例えば栽培ハウス環境(温度・湿度・照度・二酸化炭素濃度等)や、生育状況(背丈、実の大きさ、質感、色味等)に対応させた「機械学習・深層学習における商用利用可能な画像データセットの生成」、環境情報や生育情報データを計測するための「センサー開発」が可能。その他、ローバーやドローン各種AI開発に必要不可欠な膨大な教師データを高速・大量生成したり、VR上の農作物や各種制御機械とインタラクトを通じた、バーチャル農業技術研修などへの活用も期待できる。
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