カンボジアで「水田メタン排出削減プロジェクト」始動 国際農研2024年10月7日
国際農研は9月26日、カンボジア王国の首都プノンペン市で、SATREPSの枠組みによる「水田メタン排出削減プロジェクト」の発足記念式典を開催。両国の連携により、広域水田を対象とした間断灌漑によるメタン排出削減技術の開発や削減量のモニタリング・評価手法を開発する。
プロジェクト合意文書の披露。左から国際農研理事、王立農業大学学長、
カンボジア農林水産省事務総長、カンボジア工科大学副学長、農研機構部長
同プロジェクトは、日本のODAにより灌漑排水施設が整備されたプルサット州ダムナック・アンピル灌漑地区を対象に、水稲の収量を維持しながらメタン排出を抑制する広域的な水管理手法と温室効果ガス削減量をモニタリング・評価する手法を開発する。開発した成果は、二国間クレジット制度(JCM)に活用し、カンボジアが自ら決定する温室効果ガス削減目標(NDC3))の達成に貢献することを目指している。
記念式典には、カンボジア農林水産省事務総長、王立農業大学学長、カンボジア工科大学副学長、在カンボジア日本国大使館書記官、JICAカンボジア事務所次長、農林水産省農村振興局整備部設計課海外土地改良技術室長、国際農研理事、農研機構・農村工学研究部門研究推進部長らが出席し、祝辞とプロジェクトへの期待が示された。また、研究成果の発現と社会実装を達成するために両国関係者が協力・連携して取り組むことを確認した。
同プロジェクトの発足を記念して9月27日に、日本、カンボジア、ベトナム、ラオスの専門家や国際機関(アジア開発銀行、メコン河委員会)が参加する国際ワークショップも開催。開発された技術の成果がアジアモンスーン地域に展開されること、さらに、国際ルールメイキングのためのネットワーク構築が期待される。
カンボジアをはじめとするアジアモンスーン地域では水稲作が盛んで、水田から発生するメタンが主要な温室効果ガスの排出源となっている。国際農研は、日本政府が推進する「みどりの食料システム戦略」、「日ASEANみどり協力プラン」や、「グローバル・メタン・プレッジ」などを踏まえ、農業分野における気候変動緩和策として、アジアモンスーン地域における間断灌漑による水田メタン排出削減の更なる普及・社会実装へ向けた研究を進める。
◎プロジェクト概要
研究課題名:トンレサップ湖西部水田における広域的水田水管理システムの確立による温室効果ガス排出削減技術の開発と社会実装
実施期間:令和6年4月から5年間
日本側代表機関:国際農研
カンボジア側代表機関:王立農業大学
共同研究機関:日本側5機関(農研機構、東京学芸大学、東京農業大学、北海道大学、九州大学)、カンボジア側1機関(カンボジア工科大学)
協力機関:日本側4機関(国際農林業協働協会、Green Carbon株式会社、株式会社クボタ、アースシフトグローバル・アジア合同会社)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日