2023肥料年度春肥 高度化成▲7.6% 原料市況下落で2期連続引き下げ 全農2023年10月27日
JA全農は10月27日、2023肥料年度春肥(11月~5月)の肥料価格を公表した。
全農によると肥料原料の国際市況は世界的に需給が緩和されたことで高騰時から大きく下落している。これを受けて尿素、りん安、加里は2期連続で値下げを決めた。
ただ、りん酸単肥の主原料となるりん鉱石は工業用需要が大きく市況が高止まりしていることから、過石(過りん酸石灰)は据え置きとした。
引き下げは幅は▲1.2%から▲12.7%。円安の影響はあるものの、値下げとした。
基準となる高度化成(15-15-15)肥料は▲7.6%の値下げとした。
全農によると肥料原料の国際市況は、2021年秋からの中国の輸出規制実施と22年2月のロシアのよるウクライナ侵攻などで高騰したが、その後、世界的に荷動きが低調で尿素はロシア品が安値で出回ったことなどから22年後半には下落し、23年に入ってからも値下がり基調が続いてきた。
ただ、東南アジアの尿素工場の製造トラブルによる供給不足懸念や、欧州の天然ガス価格の上昇により市況は下げ止まっている。中国の輸出規制が強化させる可能性もあることから市況は反転する兆しを見せているという。
りん安も世界的な荷動き低調と原料のアンモニア価格の値下がりで下落してきた。ただ、主要需要国による輸入再開や原料のりん鉱石が高値で推移していることから、市況は下げ止まり上昇傾向にあるという。
一方、加里は価格高騰にともなう需要減や、ロシア・ベラルーシ品の輸出が継続され世界的に需給が緩んだことにより下落している。
肥料価格は2021年6月の秋肥価格から4回連続して値上げし、その後、2回連続で値下げしたが、2020年下期ごろに比べて高い価格水準にある。また、世界的には春に向けて肥料の需要期に向かい、円安が進行すれば肥料原料の調達コストも上がるため、全農は「年明け以降どうなるか注視しなければならない」としている。
こうしたなか全農は肥料の安定供給に向け、在庫積み増しを目的とした国の肥料原料備蓄対策事業に参加し5事業者で14.3万t(リン安、塩化加里計)を備蓄しており、全農はこのうち約7割の10万tを占めている。
また、生産現場での化学肥料の減肥や、たい肥と下水汚泥から回収したリンの利活用などの取り組みを継続する。このうちたい肥入り複合肥料の取り扱い量は22年度で約1万500tと前年度から2000t以上増えている。また、熊本、宮崎、鹿児島では地域内の家畜糞たい肥を原料にした配合肥料を経済連が販売している。
(関連記事)
秋肥 高度化成28%値下げ JA全農
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日