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【クローズアップ農政】企業の農業参入 2013年9月30日

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・農地法の改正が契機に
・解除条件がリース促す
・建設業が農業担い手に
・コンビニ方式で進出も
・「一層の規制緩和を」も
・農村の価値の認識を

 農業の担い手育成が農政上の大きな課題になっているなかで、企業の農業参入の動きが活発だ。かつての産廃処理や投機目的で農地を購入する動きは陰を潜め、食品の製造や加工、流通・小売業者が、本業の経営ノウハウを活用するために参入するケースが増えている。
 一方、中山間地域や過疎地域では、高齢化した農業者に代わって水田を耕作する建設・土建業者もある。こうした企業参入の一番の問題は、地域との関係である。農地に対する規制緩和が進み、今後、参入企業の一層の増加が予想されるが、集落を基盤とした農業生産・農村生活の崩壊を招かないよう、両者の協調が担保できるかどうか重要である。

「担い手囲い込み」に警戒を

 企業の農業参入の大きな転換になったのは2009年の農地法改正による農地の権利取得規制の緩和である。賃貸であれば、法人は全国どこでも自由に参入が可能になった。このため、法改正後約3年間で1071企業がリース方式で参入し、改正前の特区制度の約5倍のペースで増えた。当初500企業の会員を目指した農業参入法人連絡協議会が、すぐに1000企業を越えたのをみても、企業の関心の高さが分かる。

◆農地法の改正が契機に

 どのような企業が参入したのかを改正農地法以降でみると、農水省の調査で、一番多い業種が食品関連の270企業で、全体の4分の1を占める。次いで農業・畜産業(15.1%)、建設業(13.4%)となっている。組織形態では株式会社が全体の6割強を占め、NPO法人、有限会社がこれに次ぐ。栽培作目は野菜が最も多く、半分近くを占め、次いで米麦等となっている。つまり、株式会社の食品関連業、建設業が野菜中心に参入する傾向が強まっている。 
 農地のリースによる企業の参入が可能になったのは2003年の経済改革特区に始まる。この時は、地域活性化・遊休農地の解消を目的としたもので、担い手育成というよりも地域・産業政策の性格が強かった。しかしその後、農業担い手の高齢化・減少が深刻になり、改正農地法では企業も担い手の一つとして位置付けられた。「現場のニーズでそうなった。現場も参入を求めるところが出てきた」(全国農業会議所農地・組織対策部)という背景がある。

農地を利用して農業経営を行う企業数の推移

◆解除条件がリース促す

 そこで、参入のための壁を低くした。それが参入許可条件で、[1]役員で実際農業経営に係わる者は1人以上でよいという業務執行役員条件[2]地域の農業維持のための農道、水路などの共同利用施設の取り決めの遵守[3]解除条件の明記―などの要件をクリアすればよいことになった。特に3番目の「解除条件」は、撤退などで企業が農地を返還する時、原状回復の義務を明確にしたもので、これが貸し手の不安を解消し、リース方式を拡大する大きな要因になった。

◆建設業が農業担い手に

中山間地で地元の酒造メーカーが酒米づくりで水田を維持(新潟県糸魚川市で)  「現場のニーズ」の典型は、農業者の高齢化が進んだ中山間地域にある。その例をJC総研の大仲克俊副主任研究員は新潟県糸魚川市の根知地区にみる。地元の土木建設業者が会社本体と地域の農業者等と一緒に設立した農業生産法人が30ha余りの水田を耕作。「会社が儲からない農業を純粋にやるわけがないと、農家も行政も疑心暗鬼だった。理解や認めてもらうのに時間がかかった」(小田島建設・小田島修平社長)という。
 工事用のブロック置き場として使っていた水田を返還しようとしたとき、農業再開の意欲を無くしていた所有者と社員の水田合わせて3.5haを借りてスタート。5年間耕作しなかった農地で、技術の未熟もあり、当初苦労したが3年で満足できる収量を上げると、地区の農家の見る目が変わり、今では働きかけなくても毎年、預かって欲しいという農地が2~3ha集まるという。
 小田島社長は「農地がなくなり、人々が地区を離れると地域に活力がなくなり、地元の建設業としての会社の存在意義がなくなる。農地の保全、地域活性化のため農業に参入しなければならないと考えた」という。生産者の高齢化は一層進み、将来は地区の耕作農地180haの半分くらいは引き受けなければならないだろうと推測する。
 もともとその地域を基盤とした企業であり、作業員として地域の人を雇用していた。住民の高齢化で地域社会が崩壊すると、企業の存立基盤そのものが失われるというわけだ。同社はさらに条件の悪いほ場ではソバやブルーベリーなどを栽培。加工を含めた6次産業化も視野に入れている。同じ地元の酒造メーカーも酒米確保のため農業に参入しており、将来はこの2社が農業の担い手として地域を支えることになると予想される。大仲副主任研究員は「地域の支援を受けながら、地域農業の維持・発展に欠かせない担い手として成長した例」と見る。

(写真)
中山間地で地元の酒造メーカーが酒米づくりで水田を維持(新潟県糸魚川市で)

◆コンビニ方式で進出も

農地法改正以後、食品関連企業による施設園芸への参入が増えている(静岡県浜松市で) 一方で、こちらが大半だが、地域と直接関係なくて参入する“落下傘”企業もある。農業参入時の経営課題は、農業技術の取得(69.2%)、農地の確保(56.7%)、農畜産物の販路拡大(60.8%)がベストスリーとなっている。(2011年度日本政策金融公庫調査)。つまり、参入したものの栽培技術の習得と農地の確保、それに販路の拡大に苦労していることが分かる。このことは同時に、企業の農業参入の狙いを読み取ることができる。
 コンビニエンスストアのローソンは参入の目的に、[1]競合他社との差別化戦略[2]安心・安全な野菜に対する市場ニーズへの取り組みを挙げる。そのため全国10カ所に農業生産法人の「ローソンファーム」を持つが、それに参加する生産者の条件に、[1]営農面積2ha以上ある[2]営農に従事している子息が2人以上いる[3]その子息がローソンファームの社長に就任できる[4]独自の販路を確保している[5]農業技術開発に積極的で、かつ受け入れられる――など、厳しい条件を付けている。
 つまり、地元の生産者をローソンファームの社長に就任させ、同社の求める農作物を栽培させようというものだが、こうした生産者は、現状では地域農業の担い手になっている。これは流通・小売業からの、有力な産地(担い手)の囲い込みであり、「これが農業参入と言えるかどうか」(大仲副主任研究員)という疑念が残る。

(写真)
農地法改正以後、食品関連企業による施設園芸への参入が増えている(静岡県浜松市で)

◆「一層の規制緩和を」も

 トマトを中心に野菜園芸に取り組んでいる企業ではカゴメが知られている。同社は、「高度環境制御栽培施設で周年安定供給を実現」と銘打って大規模な野菜園芸団地づくりに取り組んでいる。ドーム型植物工場や太陽光発電など、最新の技術を取り入れており、設備投資が大きく、現在のリース方式による農業生産法人組織では限界を感じている。このため「企業参入を通じて農業の構造改革を加速する提言」(案)のなかで、一層の規制緩和を求める。
 現在の農業生産法人では出資制限(50%未満)があり、大規模な施設には大きな投資が必要だが、この制限のため、対応できる生産者が限られる。このため「大きな投資ができない。農業生産法人の構成員要件の規制緩和が必要」と指摘する。さらに「現行のリース方式で実績のある一般企業には農地所有を認めること」と、農地法の改正も視野に入れている。

◆農村の価値の認識を

 資本力、販売力のある企業が農業に参入すると、地域における農業の担い手との競合・摩擦が懸念される。産業競争力会議などで経済界の委員から、農村集落や伝統的な土地所有を否定する発言も聞かれるが、農地制度の規制緩和と企業的農業経営の推進は、農村の持つ歴史的・社会的価値を捨象する懸念が強い。農地や地域社会には企業の論理でコントロールできない要素がある。参入企業には地域と協調していくことが、規制緩和以上に重要であることを認識する必要がある。企業の参入時における経営課題

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