【肉とビールと箸休め ドイツ食農紀行】食文化の変化じわり2025年9月4日
南ドイツStuttgart(シュトゥットガルト)在住のしがないイチ料理人です。2025年暮れに、ドイツ在住丸8年を迎えることとなります。日々の生活や、店に来るお客の趣向などから、おそらく多くの日本人にとって、ほとんど馴染みのないであろうドイツの食文化や、この国における日本食の現状などについて、ゆる~く紹介していくコーナーにしていこうと思います。ぜひ、お付き合いください。
ドイツレストランの様子。豪快な骨付きの豚スネ肉をナイフで削いで食べる。
ドイツ食のイメージ
ビールとソーセージとジャガイモ。多くの日本人がドイツ食とは何かと尋ねられたら、そう答えるのではないでしょうか。白ワインやアスパラガス、シュニッツェルと答える人がいたら、かなりの食通か、酒道楽だと思います(これらについては、今後紹介していく予定です)。
しかし、こうした具体的な食品以外に、ドイツ料理のイメージというものを持っている人はいるでしょうか。
例えば、中華料理であれば「多彩な食材」「みんなで楽しむ大皿料理」、フランス料理であれば「格式が高い宮廷料理」「洗練された芸術品」などのイメージがあるでしょう。それに対して、ドイツ料理に対するイメージというものが、前述のような具体的な食品以外にパッと浮かぶ人は少ないのではないかと思います。
それもそのはず。
自分はドイツに来て率直に「ドイツには食文化がない」と感じました。実際に当のドイツの人達に、ドイツ料理ってどんなもの?と聞いたことがあります。しかし返ってきた答えの多くは日本人と同じで、具体的な料理名をあげるか、または回答に困る人がほとんどでした。この国の人たちは、本当に食への興味の薄い人が大半だと感じます。
夕食は「冷たい」が当たり前
そんなドイツ人の食への興味の薄さを表す特徴的な言葉に、"Kaltes Essen"(カルテスエッセン)というものがあります。直訳すると「冷たい食事」です。
伝統的なドイツの食卓風景はどのようなものかというと、朝食はパンとコーヒー、昼食はちょっと贅沢に暖かい煮込みや肉料理を食べ、夜はサラダとハム、チーズなど手間をかけない冷たいものをほんの少し食べるだけ。この簡素な夕食を指す言葉が、Kaltes Essenです。もちろん、主食はパンなので、すべての食事にパンは欠かせません。
実際に、自分の知り合いのほとんどのドイツ人も、夕食は冷蔵庫から出したものをちょっと食べて、それでおしまいにする人ばかりです。キッチンはまったく使いません。一日の終わりを豪華な夕食で締めくくり、酒をたしなむような日本人の食卓とは、まったく真逆なのが面白いところです。
Kaltes Essen(カルテスエッセン)の例
なぜ、このような食事になったのでしょうか。狩猟民族だから採取した肉類は新鮮なうちにすぐ食べなくてはいけなかったのだろうとか、起伏が激しい国土で作物の選択肢が少なかったため食材の種類が乏しかったからだろうとか、さまざまな学説を目にしましたが、つまるところ、この国の人たちにとって、食事はあくまでも栄養補給であり、そこに享楽を見出してこなかった、ということに尽きるのではないでしょうか。
そんなカタブツの頑固親父のような国民性であったにもかかわらず、昨今のインターネットの普及のためか、または積極的な移民受け入れによる副産物なのか、ここ数年、急激に食が多彩になってきたと感じているところです。
(南ドイツ在住料理人・丸島正成)
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