【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】コメ騒動と米国との関係~根底にある「胃袋からの属国化」2025年9月4日
令和のコメ騒動が収まらない。辿っていくと、日本の食と農を苦しめて、ここまで追い込んだ根本原因は米国との関係に行きつく。私達は、米国による「胃袋からの属国化」から脱却し、独立国として米国と対等な関係を築かなくては、日本の食と農と日本社会が守れないということに気づく必要がある。もう一度、この点を整理しておこう。
令和のコメ騒動の原因はコメ不足だったとやっと認めて、流通・農協悪玉論は否定されたかに見えたが、またぞろ、農協が「概算金」を吊り上げているかのような批判が出てきている。現状の小売米価は農協の概算金から算定される水準よりもはるかに高い。つまり、他の業者が相当高い価格で農家から買ったコメが売られているということだ。それだけコメの不足感が解消されておらず、集荷競争が激化しているということだ。農協が吊り上げているのではない。コメ不足の根本原因を解消しないと問題は解決できない。
コメ騒動は、①減反のしすぎ、②稲作農家の疲弊が根底にあり、③猛暑の生産への影響、④需要の増加が加わり、コメ不足が一気に顕在化した結果で、農家の疲弊を食い止めて安心して増産できる稲作ビジョンが急務だと、ずっと述べてきた。しかし、政府は「コメは足りている」と言い続け、流通・農協悪玉論に責任転嫁し、根本問題の解決を放置してきた。
その結果、安心して増産できる稲作ビジョンが示されずに2025年産を迎えたために、コメ騒動は収まらない。やっと、コメが足りなかったことを認めて増産に舵を切るとの方向性は示された。しかし、そのために、相変わらず、規模拡大とスマート農業と輸出だと言っているだけでは、その前に、米価下落で稲作農家は潰れてしまう。
米価下落に対応したセーフティネットの議論が行われていない。消費者と農家の適正米価(2500円と3500円/5kg)の差を補填するような直接支払いなどを急がないと、農村コミュニティもコメ供給も維持できない。洪水防止などの多面的機能もさらに失われていく。
増産できないなら、輸入米でまかなえばよいかのようなストーリーもトランプ関税との絡みでつくられている。これでは、稲作農家はさらに追い詰められて、やめる農家が続出しかねない。輸入米が増え、コメの自給率さえ大きく下がってしまったら、いざというときに国民は餓死しかねない。
さらに、皆がこぞって、流通・農協悪玉論を展開したが、原因はコメ不足だと認めた時点で、流通・農協悪玉論は否定されたはずだ。なのに、流通・農協悪玉論が間違いだったと認める発言がないのはなぜなのか。そこにはコメ騒動を契機にして農協マネーと全農を米国のグローバル企業に売り渡す計画の実行が意図されている。
それだけではない。この一連の騒動には、米国との関係が大きく影響していることを押さえる必要がある。今回のコメ騒動の根底には減反政策があるが、それは、米国の日本占領政策の一環としてコメ消費を減らして日本人が米国の農産物に依存しないと生きていけないようにする「胃袋からの属国化」の結果だ。
また、米国の占領政策に対応して、農業を生贄に差し出して自動車の利益を得ることで経済発展を遂げるという日本の戦略もコメ騒動で最終局面を迎えた。自動車を守るために、絶対に譲ってはならないはずの日本人の命の要であるコメさえも差し出すから許してくれと言う「盗人に追い銭」外交で、コメも差し出し、自動車の利益も失った。コメ騒動が米国にコメを差し出す流れにつながった。
さらに、米価下落に対処するセーフティネット政策が打ち出せないのも、米国との関係なのだ。米国からの要請に応えて武器などの購入に莫大な予算が必要になる。それは拒否できないので、その分、どこからか予算を削減しなくてはならない。その一番の標的に農業予算が位置付けられている。そのため、稲作農家の所得補填政策が打ち出せない。田んぼを潰せば「手切れ金」だけ出すという水田の畑地化政策も予算削減に資するものとして行われた。
私達は、米国による「胃袋からの属国化」から脱却し、独立国として米国と対等な関係を築かなくてはならない。今こそ、「胃袋からの独立」を実現しなくてはならない。
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