農業者同意なく基盤整備可能に2017年2月9日
土地改良法改正案を自民部会が了承
農林水産省は2月9日、自民党の農林関係合同会議に土地改良法の改正条文を示し、部会はこれを了承した。
農地中間管理機構が賃借権を取得した農地を対象とする土地改良事業を円滑に実施するための改正を行う。
農地中間管理機構と連携した新事業を創設する。高齢化の進行で農地中間管理機構への農地の貸付けが増えることが見込まれるなか、基盤整備が十分に行われていない農地については、担い手が借りないおそれがある。
一方で農地中間管理機構に農地を貸し付けた所有者が基盤整備のための負担を用意することはなく、このままでは担い手への農地の集積・集約が進まなくなる可能性があるというのが農水省の考えだ。
そこで農業者からの申請がなくても、都道府県が農業者の費用負担や同意を求めずに基盤整備事業ができる制度を創設する。
農水省は農業者の同意を求めないことについて、農地中間管理機構が農地の賃貸借を行う際に、この事業が行われる可能性があることを説明するとしている。なお、都道府県は通常どおり、事業実施前に地元説明会を開く。換地を行う場合は各権利者の同意を得るなど、農地の使い勝手をよくするというメリットのある事業だと説明している。
新事業の要件は▽機構が借りている農地で一定規模以上の面的まとまりがあるものが対象、▽借入期間が基盤整備事業開始時から相当程度あること、▽事業実施で担い手の農地集団化が相当図られることなどをあげている。
部会では中山間地域ななどでは面積要件の緩和を求める意見が多く、農水省も柔軟な面積要件の設定を検討する方針を示した。
そのほか、ため池などの農業用排水施設の耐震化について、農業者からの申請がなくても、国または地方公共団体が原則として農業者の費用負担や同意を求めずに事業を実施できる制度も創設する。突発事故対応や、除塩事業を災害復旧事業として位置づける改正も行う。
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