ミカン枝食べたメスは嫌い ゴマダラカミキリの新たな防除技術2016年7月26日
農研機構は7月20日、果樹やヤナギなどの街路樹の枝などを食べて枯らしてしまうゴマダラカミキリのオスが、ミカンの枝を食べたメスから逃げることを発見し、公表した。メスがミカンの枝を食べた際、意図せずオスの逃避行動の要因となるβーエレメンを体表上に付着させることが要因。
ゴマダラカミキリは体長2.5~3.5センチの大型昆虫で、ミカン園やナシ園、ブルーベリー園やヤナギ街路樹などに生息する。特に、幼虫が樹木の内部を食い荒らすが、防除が難しいため、成虫での誘引捕獲や交尾の妨害について研究が行われていた。
これまでの研究で、オスとメスでエサの好みが違うことが分かっていた。メスはとりわけミカン(ウンシュウミカン)の枝を好み、オスは直前まで食べていた植物を好む。
同機構では異なる植物を食べたオスとメスの交尾行動を観察。ミカン枝を食べたメスに対し、ヤナギやブルーベリーを食べたオスは高い確率で逃避行動を起こすことが分かった。ダミーメスを使った実験では、ヤナギ枝を食べたオスのうち、同じヤナギ枝を食べたメスに対し70%が交尾行動を示したのに対し、ミカン枝を食べたメスからは80%が逃避行動を示すことが分かった。
これはメスがミカンの枝を食べた際に体表上に付着するβーエレメンという物質が要因と考えられている。
この発見により、ブルーベリー園にミカン株を置いて交尾行動を阻害するなど、雌雄の食べ物や匂いの好みの違いを利用した新たな防除技術の開発が期待されている。
(写真)ゴマダラカミキリ雌雄成虫、被害のあったミカン樹と脱出しようとしているゴマダラカミキリ、逃避行動の統計グラフ
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