世界の飼料穀物需給 -トウモロコシ需給の構造変化-

- 著者
- 独立行政法人農畜産業振興機構
- 発行所
- 農林統計出版
- 発行日
- 2013年3月15日
- 定価
- 本体2500円+税
- 電話
- 03-3511-0058
- 評者
- 川崎浩之 / JA全農畜産生産部次長
世界の飼料穀物の需給と価格形成は大きな構造変化を遂げた。エタノール向けの固定需要の拡大、中国等の穀物・油糧種子需要の拡大、穀物先物市場への投機資金の流入、異常気象の頻発である。
現地調査で最新情勢を分析
一方、日本の濃厚飼料原料の自給率は10%程度の低水準が続き、飼料原料備蓄が1カ月にも満たないなか、我が国の畜産業は国際的な飼料穀物需給に大きく影響を受けている。長期的には日本の飼料自給率の向上が最も重要なことは言うまでもないが、これが一朝一夕に達成できないなかで、この間の対応策として、飼料の安定調達先の確保、および多角化と飼料資源の多元化に飼料業界が取り組んでいる。
本書は、第1章で「世界の飼料穀物の需給構造」を俯瞰し、次章以降で、飼料穀物の主な生産輸出国(米国・ブラジル・アルゼンチン・ウクライナ・豪州)と中国・EUの状況、新規原料であるDDGS(トウモロコシ醸造粕)について、統計資料や各種データの分析に加え、現地での調査と取材にもとづく実態報告と課題を織り込み、執筆者による見解を加えた、オムニバス形式となっている。テーマごとに執筆者が異なるため着眼点が異なり、各国の分析や調査の内容に統一性がないものの、このことがかえって読み物としての面白みを出している。
飼料の購買・デリバリー・設計・製造・推進および研究・行政関係者にとっては、アカデミックな教科書として、また最近の情勢を把握する上でレポートとしても完成度の高い必読書である。TPP、自給率、備蓄といった今後の飼料畜産農業政策を論じるうえでも、目を通しておきたい著書である。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(146)-改正食料・農業・農村基本法(32)-2025年6月14日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(63)【防除学習帖】第302回2025年6月14日
-
農薬の正しい使い方(36)【今さら聞けない営農情報】第302回2025年6月14日
-
群馬県の嬬恋村との国際交流(姉妹)都市ポンペイ市【イタリア通信】2025年6月14日
-
【特殊報】水稲に特定外来生物のナガエツルノゲイトウ 尾張地域のほ場で確認 愛知県2025年6月13日
-
【注意報】りんごに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 岩手県2025年6月13日
-
SBS輸入 3万t 6月27日に前倒し入札2025年6月13日
-
米の転売 備蓄米以外もすべて規制 小泉農相 23日から2025年6月13日
-
46都道府県で販売 随意契約の備蓄米2025年6月13日
-
価格釣り上げや売り惜しみ、一切ない 木徳神糧が声明 小泉農相「利益500%」発言や米流通めぐる議論受け2025年6月13日
-
担い手への農地集積 61.5% 1.1ポイント増2025年6月13日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】生産者米価2万円との差額補填制度を急ぐべき2025年6月13日
-
井関農機 国内草刈り機市場を本格拡大、電動化も推進 農機は「密播」仕様追加の乗用田植え機「RPQ5」投入2025年6月13日
-
【JA人事】JA高岡(富山県)松田博成組合長を新任(5月24日)2025年6月13日
-
【JA人事】JAけねべつ(北海道)北村篤組合長を再任(6月1日)2025年6月13日
-
(439)国家と個人の『食』の決定権【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年6月13日
-
「麦とろの日」でプレゼント 東京のららぽーと豊洲でイベントも実施 JA全農あおもり2025年6月13日
-
大学でサツイマイモ 創生大学と畑プロジェクト始動 JA全農福島2025年6月13日
-
JA農機の成約でプレゼントキャペーン JA全農長野2025年6月13日
-
第1回JA生活指導員研修会を開催 JA熊本中央会2025年6月13日