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空前政権を絶後政権に【小松泰信・地方の眼力】2020年9月2日

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【小松泰信・(一社)長野県農協地域開発機構研究所長】

安倍政権終焉について発言する際、お見舞いの一言を添えないと無礼との批判を浴びせる連中がいるとのこと。
「自粛警察」に続いて「御見舞警察」ですか。そのあとに控えしは「御悔み警察」かな。君子危うきに近寄らず。
ならば、「病は気から。根性さえしっかりしていれば病気は逃げていく」とでも言っておこう。
この言葉、由緒正しい言葉である。なにせ大勲位中曽根康弘首相(当時)が1983年8月6日、広島の原爆養護老人ホームで原爆症と闘う方々に述べた、お見舞いの辞ですから(井上ユリ編『井上ひさしベスト・エッセイ』ちくま文庫、2019年)。

komatsu_honbun.jpg民主主義の破壊者

信濃毎日新聞(8月29日付)の社説は、「体調に問題があれば日本のかじ取りは任せられない。辞任は当然である。むしろ遅すぎた」と、さっぱりしたもの。

政策上の特徴を「看板政治」と呼ぶ。象徴的看板の「アベノミクス」は、「金融緩和は円安と株価上昇を生みだし、海外経済に後押しされて国内企業の業績は改善。大企業や富裕層に恩恵をもたらした」が、「労働者の賃金は思うように上昇せず、国内消費は上向かないままだ。デフレ脱却は道半ばで、非正規労働者の増加は国民の格差拡大をもたらした」とする。

ちなみに、退陣記者会見において「アベノミクス」という看板は出てこなかった。看板が倒れたことの証左か。

また「地方創生、1億総活躍、働き方改革、全世代型社会保障」等々の看板が続いたが、従来の焼き直しとする。

そして「強引な政治手法を常態化させたこと」を、看過できないと怒る。安全保障関連法や改正組織犯罪処罰法の強行採決、野党の声をまじめに聞かない、やじを飛ばす聴衆への「こんな人たちに負けるわけにはいかない」との発言、政権の意に沿わない美術展などへの補助金不交付等々。

その一方では、「味方」の重用による「政権の私物化」と「忖度(そんたく)政治」。

「コロナ禍はその弊害を浮き彫りにした」として、新政権には「民主主義」の再構築からスタートすることを求めている。

まずは被爆地の訴えに耳を傾けよ

「核兵器の廃絶、これは私の信念であり、日本の揺るぎない方針でもあります―。安倍晋三首相は、おとといの退陣会見で質問に答え、そう強調した。耳を疑った人もいたのではないか」で始まるのは、中国新聞(8月30日付)の社説。

核兵器禁止条約を巡る対応を取り上げ、「被爆地の訴えに沿った内容の条約にもかかわらず、なぜ日本政府は署名・批准しないのか。渋る米国など保有国に参加するよう粘り強く働き掛けるべきではないか。それこそ首相の言う『橋渡し役』のはず」とする。

「被爆者に寄り添う―も言葉だけだった。原爆投下後に降った放射性物質を含む『黒い雨』を巡る訴訟で、国主導で控訴に踏み切った。全員救済の司法判断を踏みにじるとは許せない」と、抗議の姿勢を緩めない。

 
地球儀を俯瞰しただけの害交

高知新聞(9月1日付)の社説は、「首相官邸のホームページ(今年1月17日現在)によると、訪問した国・地域は80、飛行距離は地球40周分近くになる」というが、「政治的遺産(レガシー)と呼べるほどの成果は見当たらない」と、これもまた手厳しい。

「目立ったのは日米同盟の強化」とした上で、「見た目の親密さと、国同士の交渉や外交は根本的に違う」とし、「対米追従」の姿勢を指弾する。それは、貿易問題だけではなく、米国製軍需関連製品の爆買い問題も指している。

さらに「沖縄に偏る米軍基地問題など首脳同士でとことん話し合うべき課題は多い。国民が解決してほしい問題に政権は正面から向き合ったのか」と疑問を投げかけるとともに、「日ロの平和条約交渉は進んでいない」と、指摘する。さらに韓国との関係悪化を取り上げ、負の遺産の多さをうかがわせる。

沖縄問題に関して、沖縄タイムス(8月29日付)の社説は、「通算の在任期間が8年を超えるというのに、安倍首相は任期中、ついに沖縄とまっとうな関係を築くことができなかった」と、失望の色をあらわにする。

そして、「米軍普天間飛行場の返還合意を実現した橋本龍太郎元首相や、サミットの沖縄誘致を決断した小渕恵三元首相と比べたとき、その違いが際立つ。橋本氏や小渕氏、そして野中広務元官房長官らは県民の戦争体験や戦後の米軍統治下の苦難を理解していた。だが、戦後生まれの安倍首相には、沖縄の歴史に向き合う姿勢がほとんど感じられなかった」とする。

「菅義偉官房長官にも言えることだが」と断った上で、「何度でも足を運んで話し合いを重ね、接点を見いだす、という『寄り添う姿勢』が感じられない」とする。

悲しいかな菅氏はポスト安倍に急浮上した勝ち馬。当分の間、沖縄の嘆きに終止符は打たれない。

「民主主義の再構築」への出立

首相退陣に焦点を当て、共同通信社は8月29、30両日に全国緊急電話世論調査を実施し、1050人から回答を得た(回答者率50.7%)。注目すべき回答概要は次のとおりである。
(1)安倍内閣の支持について;「支持する」56.9%、「支持しない」34.9%。前回調査時(8月22、23両日)の「支持する」は36.0%。
(2)7年8カ月間の第2次安倍内閣について(大別表示);「評価する」71.3%、「評価しない」28.0%。
(3)支持する政党;「自民党」45.8%、「支持政党なし」24.8%、立憲民主党10.2%などとなっている。前回調査時(8月22、23両日)の「自民党」支持率は32.9%。「支持する政党なし」41.7%。
(4)任期途中での退陣について;「早すぎた」12.7%、「適切だった」58.6%、「遅すぎた」25.3%。
(5)新内閣が優先して取り組むべき課題;「新型コロナウイルス対策」72.9%、「景気・雇用」32.1%、「年金・医療・介護」19.2%、以上が上位3項目。「憲法改正」はわずか、5.5%である。

誰の書いた筋書きかは別にして、(1)から(4)の結果は、この退陣劇が自民党にも安倍氏にもプラスに働いていることを教えている。御見舞相場であることを割り引いても、腹具合が劇的に改善し、「辞めるの辞めた」と言いたくなるぐらいの結果である。最後の悪あがきとはいえ、「敵基地攻撃能力保有の方向性を示す意向を固め、与野党幹部に伝えていた」ことに要注意。

しかし、安倍政権の政治手法、すなわち「アベ政治」に対する地方紙の下した評価は極めて低い。民主主義を蹂躙し破壊したわけだから当然である。地方紙には、「民主主義の再構築」に向けて期待するところ大である。

空前の安倍政権とその政治手法を絶後とするために、さぁ、ご一緒に。
「地方の眼力」なめんなよ


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小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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