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注目すべき福島県農民連の発電事業【小松泰信・地方の眼力】2022年2月2日

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「廃棄なら6000万円だが アベノマスク配送10億円か」の見出しは西日本新聞(2月2日付)。国の委託を受けた民間業者が3月から順次配送するとのこと。マスクは無料でも、配送料は受益者負担、でなきゃ「事故」責任としてABE払いかな。

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どこを分析しての原発再稼働だ

1月30日、福島県の郡山地方農民連総会において今年はじめての講演。安倍・菅・岸田も俎上にあげ、もちろん舌好調。

新幹線内で見た雑誌『Wedge』の表紙に「政府指示で原発再稼働を」という見出しあり。福島に行くものとしては、手に取り、目を通さねばならない代物。

石川和男氏(政策アナリスト)による「規制委に全てを委ねる姿勢やめ 政府指示で原発再稼働を」という小論。

「原発再稼働が遅々として進まない」ことにいらだつ氏は、「これまで、国民の長寿化や健康増進をもたらし、戦後日本の高度経済成長を支えた大きな要因の一つには、電力の安定供給があった。そして、それを支えたのは、火力と原子力など『大量・安価・安定』電源であった」と訴える。

にもかかわらず、2021年12月末時点で54基中9基しか稼働していない。その大きな要因のひとつに「東京電力福島第一原発事故後に新設された原子力規制委員会(規制委)による『世界一厳格な規制』という無意味な手続きの壁」をあげ、「規制委の行政手法は、結果として、原発を『動かす』ためではなく、『動かさない(責任回避)』ためのものでしかない」と指弾する。

「日本の立国に原発は不可欠」とする立場から、「危機を克服した米国に倣い、原子力の真の『安全文化』を創りあげるとともに、脱炭素の潮流だからこそ、低廉かつ安定し、二酸化炭素(CO2)を排出しない既存の原発を活用していくべきだ」と主張する。

そして、「政権与党の『指示(要請)』による原発の『暫定再稼働』を今こそ実行すべきだ。暫定稼働させ、その間に本格稼働に向けた体制を整備」せよと訴えている。

この小論では、福島第一原発事故でたった今もふるさとに戻ることの出来ない人々や、形容しがたい気持ちを引きずりながらも、復興に向かって日々の生活を送っている人々のことにはまったく触れていない。原発がもたらした終わりの見えない災禍を無視し、ただただ、崩れ去った安全神話に今もすがりつき、再稼働を訴えているだけである。

あってはならない原発再稼働

2014年、関西電力大飯原発(福井県おおい町)の運転差し止め判決を出した樋口英明氏(元福井地裁裁判長)は、福島原発事故から10年たった2021年に『私が原発を止めた理由』(旬報社)を出版した。

その「はじめに」で、原発の運転が許されない5つの理由を、シンプルかつシャープな言葉で列挙している。

第1 原発事故のもたらす被害は極めて甚大。

第2 それゆえに原発には高度の安全性が求められている。

第3 地震大国日本において原発に高度の安全性があるということは、原発に高度の耐震性があるということにほかならない。

第4 我が国の原発の耐震性は極めて低い。

第5 よって、原発の運転は許されない。

そして、事故が発生する前には、「原発は絶対に安全だ」と言っていた原発推進派が、事故後には「世の中に絶対安全などあろうはずがない」と開き直っていることに言及した後、「まるで見当違いの低い耐震性で造られた原発について『安全性が確認された』と言って再稼働をしようとしています。そこには、倫理性も、論理性もなく、国や郷土に対する愛情のかけらも感じられません。これを黙って見ているのではなく、憤ってください」(148頁)と呼びかける。

さらに、原子力発電所の稼働がCO2排出削減に貢献し、環境面でも優れていると言う主張に対して、「原子力発電所でひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染はすさまじいものであって、福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害、環境汚染であることに照らすと、環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである」(169頁)と、頂門の一針。

農民連が発電事業

福島県農民運動連合会30周年記念誌『新たな農へ たたかいを記憶と記録にとどめて』(2020年3月)の「農村から再生可能エネルギーを興す」とタイトルが付された章は、「東京電力第一原発事故後、福島県農民連は原発の電気を使用しない、自ら使用する電気は自分達で作ることを目標に掲げ、再生可能エネルギー普及に取り組んできた。農村は再生可能エネルギーのポテンシャルを多く持っており、農業経営に取り入れることで経営に安定感をもたらす。自然の恵みを活かす再生可能エネルギー生産は、農業経営に取り入れることが可能であり、今後農村の自立に向けて必須の取り組みになる」からはじまっている。

2013年9月、福島県伊達市霊山(りょうぜん)に農民連発電所(105kw)が設置されたことを皮切りに、県内の農民連の多くが発電事業に着手する。

「農業とエネルギー生産の複業により農家所得の増加、雇用の創出などが可能である」と位置づけたのち、「再生可能エネルギーは地域由来の資源であり、地域の市民や農民、企業が活用していくことこそが重要である。地域内でお金が循環する経済圏の創出に取り組んでいく」ことを宣明して当該章は結ばれている。

郡山地方農民連も2014年太陽光発電を行う「合同会社のうみんでん」を立ち上げ、翌年315kwの太陽光発電所を設置した。以後、「合同会社空うない(150kw)」「合同会社さんで(150kw)」を設立、「自分たちが使う電気は自分たちで作る」を合言葉に郡山市内6か所に太陽光発電所を設置している。この事業に取り組んだことで、財政が安定し専従を2人にしたとのこと。

域内循環型再エネへの期待

「大規模太陽光発電(メガソーラー)パネルの設置を巡って、事業者と近隣住民のトラブルが相次いでいる」ではじまる京都新聞(1月31日付)の社説は、「これまで、地域の資源を使って発電し利益を得るのは、主に地域外の企業や投資家だった」ことを指摘する。そして、「地域でつくった電力を地元に供給する、売電益を地域に還元する―。そんな『域内循環』型の再生エネこそ拡大したい。景観や自然に十分配慮したり、収益を地域課題の解決に役立てたりする事業者がきちんと評価、優遇される仕組みが必要だ。環境負荷や災害リスクを高める事業者には相応のコスト負担を求めるのも一策だろう」と、提案している。

まさに福島県農民連の取り組みそのものを評価するような社説である。災禍にめげぬ取り組みは、必ずや花開く。

「地方の眼力」なめんなよ


本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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