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物価高騰、格差を拡大す【小松泰信・地方の眼力】2022年2月9日

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コカ・コーラボトラーズジャパンは5月1日出荷分から、大型ペットボトル製品の出荷価格を改定する。出荷価格改定率はプラス約5から8%の上昇。理由は原材料価格や物流費の高騰。

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「五公五民」に国民一揆

「『五公五民』という言葉があります」で始まるのは、荻原博子氏(経済ジャーナリスト)によるコラム「幸せな老後への一歩」(『サンデー毎日』、2月20日号)。

これは年貢率を表現したことばで、収穫米の半分を年貢として徴収し、残りを農民のものとすること。稼ぎの半分も徴収する重税であるため、農民の生活は苦しく、一揆の要因のひとつでもあった。

財務省が2021年に公表した同年度の国民負担率((租税負担+社会保険料)÷国民所得×100)の見通しは44.3%。荻原氏はこれに、「物価の上昇による国民の負担増」を加味して、現状を「五公五民」状態と位置づける。

「商品先物市場では原油や穀物が高騰」や「円安が進み、輸入品の価格は上がるしかない状況」を展望し、「多くの家庭が大変な状況になるのは必至」と言い切る。そして、政府の無策ぶりに業を煮やして、「現代の『五公五民』の私たちは、百姓一揆でも起こしましょうか」と、アジテーション。

「うまい棒」値上げ余波

「子どもたちの間に衝撃が広がっている」で始まるのは日本経済新聞(2月4日付)。
駄菓子メーカー「やおきん」(東京)が、税抜き10円の「うまい棒」を4月出荷分から同12円に値上げするからだ。なんと、値上げは1979年の発売以来、初めてとのこと。主原料となる米国産トウモロコシや植物油脂の価格上昇が理由。

記事は、「身近な食品や日用品の値上がりが相次ぐ。農産物の不作や原油価格の上昇に、円安が追い打ちをかける。こらえ切れなくなった企業は次々と価格転嫁に動く」「40年以上も同じ価格だったうまい棒の値上げは、若い世代が『物価は上がるもの』という当たり前の事実に気づくきっかけになるかもしれない」とする。

さらに「消費者の反発を恐れて値上げをためらっていた企業が、強気の価格設定をしやすくなる」ことを指摘し、日銀が目標とする消費者物価指数(CPI)の「2%超えがいよいよ視野に入る」と慶祝ムード。かと思いきや、「賃金がそれ以上に上がるのなら問題はない」との条件付き。

なぜなら、「賃上げ率がCPIの上昇率を下回れば、実質的な賃下げだ。人びとの購買力は低下し需要は落ち込む。それでもモノの値段が上がり続ければ物価上昇と景気後退が同時に進むスタグフレーションが現実味を増す」からだ。

米国において、「インフレは止まらず、2021年12月の米CPIは前年同月に比べ7%上昇と約40年ぶりの高水準に達した」ことから、「米国民はインフレへの不満を募らせ、バイデン米大統領は支持率の低下に苦しむ」状況にあることを紹介し、「人びとのインフレ予想の高まりは、想定を上回る物価上昇の波を予感させる」と、先を読む。

生活必需品の高騰は貧しきものを苦しめる

「商品やサービスの価格引き上げが止まりません。相次ぐ値上げは家計を直撃し、消費を冷え込ませます」と憂慮する、しんぶん赤旗(2月8日付)が紹介する、民間シンクタンク・みずほリサーチ&テクノロジーズが1月27日に発表したリポート「必需品の価格上昇で家計に逆進的な負担発生~低所得世帯の負担は消費増税 2%超に相当するインパクト~」(調査部経済調査チーム エコノミスト 嶋中由理子)は極めて示唆に富んでいる。当コラムの責任で、リポートの要点をつぎの5点に整理した。

(1)消費者物価の上昇が今後も続くと予想し、食料・エネルギー価格の上昇によって、2022年の家計の負担額が年収階層別にどれだけ増加するかを定量的に試算した。2022年の食料(生鮮食品除く)価格の上昇率を前年比+3.3%、エネルギー価格の上昇率を同+9.1%と想定した。

(2)結果、家計負担額は年収300万円未満世帯で平均42,339円、年収1,000万円以上世帯で平均67,998円増加する見込みとなった。年収に対する負担率(食料・エネルギーの負担額/年間収入)の増分を比較すると、年収1,000万円以上世帯で0.5ポイントの増加にとどまるが、年収300万円未満世帯では1.8ポイントの増加となり、低所得世帯ほど相対的に負担が重くなる。

(3)(2)の結果は、いわゆる消費税の逆進性(低所得世帯ほど税負担率が大きくなること)とよく似た構造である。2014年の消費税率が5%から8%へ3%引き上げ時における研究成果(山本康雄「消費税率引き上げに伴う家計負担~年収階層別の影響試算」『みずほインサイト』2013年10月3日)によれば、3%の消費増税により、年収300万円未満世帯は収入対比でみた税負担率が2.4%ポイント増加。単純比較ではあるが、今般の物価上昇による低所得世帯(年収300万円未満世帯)の収入対比でみた負担増は、消費増税3%のインパクトの4分の3(=1.8ポイント/2.4ポイント)、すなわち消費増税2%超のインパクトに相当すると計算でき、低所得世帯に大きな負担がかかることが確認できる。

(4)低所得世帯の家計に相対的に大きな負担が発生するため、低所得世帯ほど生活必需品以外の支出を大きく減らす行動を選択することが見込まれる。特に、教育費の切り詰めによる教育格差拡大も大いに懸念させる。

(5)以上から、コロナ禍で苦しんでいる低所得世帯にとって、生活必需品を中心とする足元の物価上昇は、まさに二重苦ともいえる状況。既に子育て世帯への臨時特別給付金や、住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金の実施が決定しているが、政府には物価上昇に対して低所得世帯の負担を軽減する対策(低所得世帯に対する追加的な給付金等)が求められよう。

「負の連鎖」を食い止めるために打てる手は打て

しんぶん赤旗も、「生活必需品の値上げは低所得者層の生活をさらに悪化させ、貧富の格差を広げることにつながります。......非正規雇用労働者などにとっては、所得の減少に加えて物価上昇で二重の打撃」となることを指摘し、最低賃金の大幅引き上げを含む賃上げに向けた取り組み、生活困窮世帯への給付金、そして消費税減税を求めている。

「内閣府が公表した調査で若年層の所得格差が拡大していることが分かった」で始まる東京新聞(2月9日付)の社説は、「若年層の格差が開いたまま次世代に推移していく『負の連鎖』」を危惧し、「今、手を打たなければ、格差が修正不能なレベルで世代全体に行き渡るのは時間の問題」と、警鐘を鳴らす。

「聞く力」が自慢の岸田首相! 聞こえているかこの警鐘が。早くやらなきゃ、一揆だぞ!

「地方の眼力」なめんなよ

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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