YOUはどうして嬉しいの? はて?【小松泰信・地方の眼力】2024年4月17日
「日米関係のこの言葉、Boldly Go!(人類未到の地へ果敢に旅立とう!)。乾杯!」と、ホワイトハウスで開かれた公式夕食会で乾杯の音頭を取ったのは岸田文雄首相。ご満悦のご様子に吐き気を催した。
万雷の拍手とその代償
さらに、「日米共同声明」「米議会演説」を読み、悪寒を覚えた。
「日米共同声明」では、「我々は、作戦及び能力のシームレスな統合を可能にし、平時及び有事における自衛隊と米軍との間の相互運用性及び計画策定の強化を可能にするため、二国間でそれぞれの指揮・統制の枠組みを向上させる意図を表明する」等々で、自衛隊と在日米軍の指揮・統制面の連携強化で合意したことを明らかにした。
「米議会演説」に至っては、「世界は米国のリーダーシップを当てにしていますが、米国は、助けもなく、たった一人で、国際秩序を守ることを強いられる理由はありません。...(中略)...
皆様、日本は既に、米国と肩を組んで共に立ち上がっています。米国は独りではありません。日本は米国と共にあります。日本は長い年月をかけて変わってきました。第二次世界大戦の荒廃から立ち直った控え目な同盟国から、外の世界に目を向け、強く、コミットした同盟国へと自らを変革してきました。...(中略)...
2022年、日本は、2027年度までに防衛予算をGDP(国内総生産)の2パーセントに達するよう相当な増額を行い、反撃能力を保有し、サイバーセキュリティーを向上させることを発表しました。今日、日米同盟の抑止力は、かつてなく強力であり、それは米国の日本への拡大抑止によって強化されています」等々の媚びへつらい。
万雷の拍手にご満足のようだが、その代償を払わされるのは国民、それとも...
もっと取り組め「中国との対話」
西日本新聞(4月13日付)の社説は、「日米同盟が『前例のない高みに到達した』と誇らしげだが、国民への説明もなければ国会論議も経ていない。首相の姿勢は前のめり過ぎる」「反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を明記した安保関連3文書の改定が象徴的だ。防衛政策の大転換であるにもかかわらず、国会閉会中に閣議決定だけで済ませた。殺傷能力のある武器の輸出解禁もそうだった。今回の日米同盟強化は米国で初めて明らかにされた。国民の生命に関わる防衛、安保政策をなし崩し的に変更することは許されない」と指弾する。
そして、「米国は中国と厳しく対立する半面、政権幹部や高官が中国政府との対話を継続している。その積み重ねは危機管理になる」とし、「日本にはこのような動きがほとんどない。外交まで米国偏重になるのは危うい。日本は戦後築いてきた平和国家として独自の外交を展開し、地域の緊張緩和に貢献すべきだ」と、日本政府に対して中国との対話を求めている。
信濃毎日新聞(4月14日付)の社説も、「岸田首相と中国の習近平国家主席が昨年11月の会談で再確認していた『戦略的互恵関係』の構築は、一向に進まない」ことに懸念を示している。なぜなら、「日本にとって中国は最大の貿易相手国であり、貿易額は年間総額で40兆円を超える。安定的な関係が何より求められるはずだ。(中略)対話を欠いたまま、中国を最大の競争相手と位置づける米国を安全保障面で追従していては、中国との感情的な対立をあおり、戦略的互恵関係の実現など望むべくもない」からだ。
民主主義国家ならば沖縄の声を聞け
「日本の米国追随姿勢は目に余る。沖縄にさらなる基地負担を強いるような同盟強化、軍事一体化を受け入れるわけにはいかない」と、怒り心頭なのは琉球新報(4月13日付)の社説。
「『南西シフト』を軸に自衛隊と米軍の一体化運用を強く打ち出した日米首脳会談や共同声明は基地負担の軽減を求める県民の願いと逆行するものだ。沖縄を無視した同盟強化だと言わざるを得ない。在沖米軍基地がもたらす人権侵害や環境破壊に苦しみ、有事の際に攻撃目標となる自衛隊基地の増強に危機感を抱く県民の姿は眼中にないのだろう。沖縄の苦境を打開しようという意思がうかがえないことに深く失望する」と記されており、当コラムただただ嘆息するばかり。
「首脳会談や共同声明を通じて、日本の米国への追随姿勢は一層鮮明になった」ことに危機感を深め、「中国や北朝鮮を日米両国の共通する脅威と見定め、米国の戦略に追随し、補完するような日本の外交・防衛政策は沖縄を固定的に軍事拠点とするものだ」として、対話重視の外交姿勢に転じることを求めている。
さらに、演説で「自由と民主主義」という言葉が使われたが、「残念ながら沖縄はその埒外(らちがい)に置かれている」とし、日本が民主主義国家であるならば、「沖縄の声を国内政治と対米交渉に反映させなければならない」と、正論を衝きつける。
沖縄タイムス(4月13日付)の社説は、「県内で実施される日米共同訓練の規模は拡大し、頻度も増えている。米軍普天間飛行場や嘉手納基地の騒音は増え、自衛隊施設はミサイル機能を追加するなど配備強化が進む。基地負担は軽減どころか増える一方なのである」と、日米同盟強化がすでに始まっていることを強調し、「中国への対抗だけが突出すれば、かえって地域の不安定化を招く。そうなれば国境を接する県内への影響は計り知れない」と、軍備強化が「もろ刃の剣」であることを訴えている。
岸田の腑抜けた笑顔は国民の自画像
白井聡氏(京都精華大学准教授)は、『サンデー毎日』(4月28日号)で、「アメリカの要求に応えて身代を傾けてまで米国製兵器を大量購入するという決断に対する褒美が、今次の訪米である。例によって、バイデンと岸田が仲睦まじく肩を組む映像が大量に流されるであろう」とし、「(わが国における)今次の政治危機は、どのような政治を国民が選んできたかを白日の下に晒している。このままの道を行けば『死』が待っているのは、(中略)すべての国民だ。この自覚のみが社会を変えうるし、ひいては政治を変えうる。希望的観測を述べるならば、バイデンといちゃつく岸田の腑抜けた笑顔に、国民が激怒し、そこに己の自画像を読み取るとき、本当の変化が始まるであろう」と、腑抜けた国民を挑発する。
岸田の腑抜けた笑顔に吐き気を催し悪寒を覚えた当コラム、その挑発に乗り、万雷の拍手の代償は岸田に払わせる。
金魚の糞のごとく、アメリカにすがりついているが、アメリカは日本を独立国として認めているのだろうか。米大統領が横田基地から入国することが一つの証左。植民地、良くて51番目の州程度。フンと鼻であしらわれる程度と思った方がいい。
腑抜けとは、独立国としての自覚もプライドも持たない、哀れな国の首相と国民のことである。
「地方の眼力」なめんなよ
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