進む農業現場でのIT利活用 日本公庫が調査2018年2月1日
日本政策金融公庫(日本公庫)農林水産事業は「平成29年上半期農業景況調査」で、農業経営における労働力不足への対策とITサービスの利用状況について調査し、1月30日、その調査結果を公表した。
日本公庫では、農業経営におけるITサービスを「生産履歴情報などを記録する経営・生産システムのほか、農業機械の情報・制御システムやセンサーなどを用いた環境制御システムなど」と定義付けしている
この調査によると、労働力不足への対策は「施設・設備・機械の増強」が最も多く(54.9%)、およそ半数の経営体が設備投資により労働力不足を補うことを検討していることが分かった。
これを業種別にみると、ブロイラー(71.4%)や畑作(66.2%)、養豚(62.9%)で特に高くなている。
また、農業経営におけるITサービスの利用状況では、およそ半数の農業経営体が、すでにITサービスを利用していることが分かった。特に法人経営では60.6%がITサービスを利用しており(個人経営43.5%)、法人経営でITサービスの利用が浸透していることがうかがえる。
さらに、ITサービスを利用している経営体と利用していない経営体の売上高増加率を比較すると、ITサービスを利用しているグループの売上高増加率(21.4%)は、利用していないグループ(17.0%)より4.4ポイント高くなっている。
農業所得(経常利益)増加率は、利用しているグループ(100.8%)が利用していないグループ(39.7%)を61.1ポイント上回り、ITサービスを利用している経営体の方がより高い成長性を示している。
業種別にみると、売上高増加率、農業所得(経常利益)増加率のいずれも、ITサービスを利用しているグループの方が高くなったのは、施設野菜、施設花き、きのこ、酪農、肉用牛、ブロイラーの6業種で、主に施設利用により生産を行う業種だった。
今後、ITサービスを利用したいとする経営体は67.7%にあがり、現在ITサービスを利用している割合(49.4%)を18.3ポイント上回っていることから、今後のITサービス利用の増加が見込まれる。今後利用したいITサービスの目的は「生産量・品質の安定化」(19.3%)が最も多く、続いて「経営力の向上」(18.1%)と続く。
「現在利用しているITサービスの目的と「今後利用したITサービスの目的」の回答割合を比較したところ、コスト削減、経営力向上、営業力・販売力の強化、経営人材の育成・能力向上の項目で、「今後利用したい」とする割合がそれぞれ約4ポイント上回り、今後は従来の生産性向上を主眼としたITサービスの導入から、経営管理やマーケティングなどを含めた経営力そのものを強化する目的へ目が向けられていくことが今回調査によって浮かび上がった。
調査は昨年7月に実施され、往復はがきによる郵送アンケート方式で実施された。調査対象は、スーパーL資金、または農業改良資金の融資先のうちの2万1315先。有効回答数は5116先で回収率は24.0%だった。
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