金融共済:時の人話題の組織
【時の人 話題の組織】勝瑞 保 JA共済連代表理事理事長 地域に密着 事業推進 組合員との信頼強め2015年3月31日
・JA共済事業27年度のポイント
JA共済事業の平成27年度は、「次代へつなぐ地域の絆?もっと安心、もっと信頼されるJA共済事業をめざして?」をスローガンに掲げた、25年度からの中期3か年計画の最終年度となる。これまでの2年間を踏まえて、27年度は何をめざしていくのかを、勝瑞保理事長に聞いた。
◆エリア戦略を全JAに導入
――27年度は今次3か年計画の仕上げの年ですが、事業推進の重点課題は何でしょうか。
25年度からの今次3か年計画では、重点実践項目の第一に「地域密着の事業推進」を掲げていますが、その第一点は、地域特性に応じたエリア戦略の全JAへの導入です。26年度は110JAに導入されましたが、平成27年度始には新たに約550JAでの導入が予定されており、さらに全JAでの導入に向けて取り組みを強化していきたいと考えています。
――「地域特性に合わせたエリア戦略」とは具体的にはどういう内容ですか。
地域毎に異なる組合員・利用者の多様なニーズを捉えるため、JAの支所・支店単位で地域特性や市場性を分析し、地域特性に応じた推進方策を設定することです。
そして面的な広がりをもった推進活動を展開することが、このエリア戦略のもう一つの目的です。つまり「点から面へ」の推進活動を行うということです。
(写真)勝瑞 保・JA共済連代表理事理事長
◆ラブレッツを有効に活用
――「地域密着の事業推進」の第二点目は…
3Q訪問活動時に行う「あんしんチェック」は実施世帯数目標を掲げており、26年度は目標を達成していますが、27年度も引き続き「あんしんチェック」を実施し、ニーズにあわせた保障提案の徹底に取り組んでいきます。
JA共済はJAと一体となって地域に密着した事業展開をしていますので、3Q訪問活動は今後もますます重要になると考えています。その支えとして、タブレット型のLA活動支援システム「愛称Lablet's(ラブレッツ)」を導入しており、これを有効活用していきます。
――このラブレッツは、個々の契約者へのライフプランの提案などが、その場でできるわけですか。
そうです。組合員・利用者を訪問して、その場でライフプランに応じた幅広い保障のご提案などができます。
またLAの担当地域・世帯を明確に定めて、ラブレッツと連動させて、3Q訪問活動や、はじまる活動を実践することで、担当地域における漏れのない推進活動を行うことができます。先ほど申し上げた「点から面」への展開をサポートするわけです。
さらに、ラブレッツに搭載されている「LA実績確認シート」で、担当地域におけるLAの活動実績と推進実績の進捗状況が把握できますので、LAの活動実態や実績に応じた指導や支援を行うこともできます。
将来的には、このラブレッツを活用することによりJAの事務軽減にもつながるようにしていく予定です。
◆地域貢献活動見直し再編成
――3か年計画では「契約者・利用者満足度の向上」も重点実践項目となっていますが…
ITの効果的活用や仕組み・事務手続きの簡素化等により、契約者・利用者対応力の強化、迅速・適正な契約者・利用者サービスの提供およびJA共済の信頼性・健全性の確保等に取り組み、契約者・利用者満足度の向上を図っていきます。
そして、地域農業の振興と農山漁村の活性化に向けて、6次産業化・再生可能エネルギー事業体に対して、JA・6次化ファンドや農山漁村再生可能エネルギーファンドを通じ、資金面からの支援を継続していくとともに、事業固有のリスクに対する保障の提供にも取り組んでいきます。こうした面から地域活性化に貢献したいと思っています。
さらにJA共済ではかねてから、交通事故対策活動をはじめ各種福祉活動など、地域に密着した地域貢献活動を続けてきました。これについても、今日的な活動へ見直し、より一層地域の皆さまに役立つ活動にしていきたいと考えています。
そのためには、各JAにおいて、地域ごとにどのような取組みが必要なのか考えていただくことが大事ですので、それを支援していくことも重要だと考えています。
◆連合会改革でJA負荷軽減
――次に「連合会改革の実行」については…
今次3か年計画では、農協共済審議会の答申を受け、連合会の改革を進めていますので、これを着実に進めていくことが必要です。
――連合会改革のポイントはなんですか。
JAにおける大幅な事務負荷軽減および契約者対応力の強化に向けて、支払査定・引受審査にかかる県域を越えた機能集約等にあわせ、JA指導・サポート機能への要員の重点配置を段階的に進めるとともに、事業理念と専門性を兼ね備えた連合会職員の育成に取り組み事業機能の強化を図ります。
もう一点は、自動車損害調査体制について、全国均質な損害調査サービスおよび低コスト体制の確立に向けて、JAと連合会が一体的に実施する損害調査体制の構築および収支改善に取り組みます。
◆電算システム大幅に見直す
――仕組・事務・電算システムの再構築についてはいかがでしょうか。
最良の保障・サービスの提供、組合員・利用者の利便性向上、JAにおける大幅な事務負荷の軽減等に向けて、仕組改訂や新たな事務手続きの展開等、仕組み・事務・電算システムが三位一体となった再構築を段階的に進めています。
――27年度は、今次3か年計画の目標達成と同時に次期3か年計画に向けた準備する年ということですね。
平成27年度は、今次3か年計画において掲げた各種目標の必達に向けて取り組むとともに、次期JA共済3か年計画に引き継がれていくものも当然ありますので、架け橋を上手く架けられように27年度ではやっていきたいと考えています。
◆協同元受方式の事業は堅持
――「農協改革」の対応については…。
共済事業における改革は、JAグループ全体での取組みとJA共済独自の取組みをあわせて進めていくこととなります。 現在、JA共済事業は、JAと連合会が共済契約を共同で引き受け、リスクは連合会が責任をもって担うという「共同元受」方式で事業を行っています。この方式こそ、JAらしいスキームであるため、これを堅持しながらJA共済ならではの事業を展開していきたいと考えています。
そしてJAの事務負荷の軽減については、さきほどお話した農協共済審議会答申の具体化を計画通りに着実に進めていくことが重要と考えています。
――JAグループの「自己改革」の方針に則ってJA共済事業も進めていくということですね。
JAグループの「自己改革」の大きな方針としては、「農業者の所得増大」、「農業生産の拡大」および「地域の活性化」を進めるということですから、これを踏まえて、JAグループの全体方針とも連動した事業活動を進めていきます。
JA共済は「ひと・いえ・くるま」の総合保障を提供することで、組合員・利用者の皆さまに「安心」と「満足」をお届けしていますが、一方で農業経営の大規模化・法人化など、農業の構造変化に伴うさまざまなリスクが出てくることが考えられるため、共栄火災と連携のうえ、JA共済連グループとして共済・保険の総合保障提供等を通じた農業リスク分野への取組みも進めていきたいと考えています。
こうしたことを含めて、JAグループの自己改革を、JA共済事業としても着実に実行し、組合員・利用者の皆さまの期待に応えたいと思っています。
◆健全な経営で共済責任全う
――最後にJAと組合員の皆さんへのメッセージをお願いします。
組合員・利用者の皆さまの万が一の時に共済金をお支払いするのが私たちの使命です。共済責任を将来に亘って全うするために、事業としての健全性、経営の健全性を確保する必要性がありますので、今後も信頼を損なわないように努力をしていきます。そして、JAと一緒になり、地域に密着して、組合員・利用者の皆さまの満足度向上に努めていきます。
――ありがとうございました。
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