多収米でコメの安定生産・供給体制を 業務用米セミナー&交流会 農水省補助事業でグレイン・エス・ピー ②2024年12月23日
農水省の補助事業「業務用米推進プロジェクト」のセミナーと交流会(グレイン・エス・ピー主催)が12月20日、東京・中央区の日本橋プラザで開かれた。過去には7回にわたって生産者と実需者の商談・マッチングを行ってきたが、今回は多収米の安定生産・供給体制の構築に焦点をあて、セミナーと交流会による「生産者と実需者、卸売り、スーパーマーケットなど多彩なネットワークの形成」(島鏡太郎グレイン・エス・ピー社長)の場に変更した。
書面契約でモチベーションが高まる
流通経済研究所
流通経済研究所の折笠俊輔農業・物流・地域部門部門長
3つ目の講演は流通経済研究所の折笠俊輔農業・物流・地域部門部門長が「書面契約のノウハウについて」解説した。書面契約は農水省なども推奨しているが「生産者に聞くと口約束が多く、書面契約もA4の紙1枚のシンプルなもの」が現状だ。そこで「作付け前に事前契約で売買する場合、書面で残すことで売り手・買い手双方が約束した内容を順守するモチベーションにつながる」と指摘。書面契約にあたっては、事業や経営の戦略から、価格なのか面積なのか、単年か複数年か、品質の縛りなど「何を決めて、何を決めないのか」が重要とし、それぞれどのような契約条件で検討すべきポイントを紹介した。
さらに経産省などが推奨する「メニュープライシング」の可能性に触れ「『何をどこまでやった場合の価格』かを明文化し、米の価格に含まれる内容を分解することで、詳細なコストを把握し、双方のコスト削減や効率化」への意識が働きやすくなると解説した。
60種以上の米を生産、種子の混入を避ける細心の苦労
大嶋農場
大嶋農場の大嶋康司代表取締役
最後に、JAS有機栽培米や茨城県認定特別栽培米などを生産する大嶋農場の大嶋康司代表取締役が「多収米の種子について」講演した。大嶋農場では25haで60品種以上の米を生産している。毎年「来春はどの種子で実需者と契約するか、お客様ニーズに対応したマーケットイン」の取り組みを行っている。業務用でも医療用や調理用などの契約栽培のほか「ニッチな分野」の種もみの販売も行っているという。
多数の種子を生産する現場では「種子が混じらないように品種が変わるたびに廃棄し、ハウス毎に品種の栽培を確認する。田植えの際は品種ごとに運搬し、収穫時は1台のコンバインを5、6時間かけて分解清掃して3台を併用。コンテナやホース、乾燥機も時間をかけて清掃」することで、混入などの苦労を紹介した。
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