米を民間輸入 卸「関税払ってもペイする」 背景に深刻な不足感2025年1月8日
1キロ341円の関税を払って、米を輸入する動きが出てきた。国家貿易の枠外で、背景には年が明けても続く、深刻な米の不足感がある。
民間輸入に関心、農水省に問い合わせ
日本は、ガット・ウルグアイラウンドの合意にもとづき、年77万トンをミニマム・アクセス米として国が輸入し、うち10万トンはSBS入札で主食用に回っている。2024年度は4回の入札で、全量が落札。事実上の関税にあたるマークアップは上限の292円に張り付いた。
民間輸入はこれとは別で、1キロ341円の関税を払えば誰でも輸入できる。農水省は「米の輸入にご関心があるようで、どういう手続きでいくらかかるかなど、問い合わせが例年より増えている」(貿易業務課)という。
米卸「輸入米は選択肢」
民間輸入に踏み切った関西圏の卸業者は、24年12月末、米国産カルローズの民間輸入を決め、すでに500トン成約した。仕向け先は外食など、業務用が中心だ。
同社役員は「実需次第で増やすことも考えている。卸としては供給しなければならず、選択肢の一つとして(カルローズを)ご提案している」と話す。
「341円払っても安い」
カルローズは米国ではキロ150~160円で、関税を載せても500円ほど。港からフレコンで上がる米をクリーニングして5キロや10キロの袋に詰め納品するまで、加工、保管、輸送などのコストはかかるが、国産米より一段安い。
「60キロ2万5000円なら(民間輸入は)考えなかったが、3万円を超えたので割が合う。関税をキロ341円払っても、外国の米は安い。米国で精米するのでお客様の手元に届くまでに精米から2~3ヵ月たってしまうのが難点だが、カルローズはきれいだし、おいしい」と語る。
破れた関税のバリア
農水省はそもそも、米の需給見通しにSBS米を入れていない。24年産米をめぐっては、SBS米10万トンに民間輸入米も加わることで供給が膨らむ。「関税のバリアを超えて輸入米が入ってきた」(米卸関係者)ことで、国産米の需給、価格への影響が懸念される。輸入が増えた分、国産米の生産が削られることになれば、食料安保に逆行する。
石破首相も「検証が重要」
24年産米の収穫量は前年産より18万トン多く、国産米の絶対量が不足しているのは考えにくい。にもかかわらず卸間取引のスポット価格が高騰している。
石破首相は本紙インタビューで「世に言われる『令和の米騒動』の検証が重要であり、それがないと、そういうことが頻発する危険性がある」と指摘したが、すでに米市場は昨年以上の「過熱」で、収まる気配を見せない。24年の「米騒動」とともに現在の事態も検証しつつ、国産米の安定供給回復が急がれる。
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