備蓄米 入札に小売店向け優先枠 買い戻しは5年に延長2025年5月16日
江藤拓農相は5月16日の閣議後会見で政府備蓄米の第4回入札を5月28日から30日まで実施することを明らかにした。入札数量は7月まで毎月10万tとし、集荷業者と小売店が協議し、小売店に直接販売する計画がある取り組みに対して、2万tの優先枠を設けるなど、町の米穀店や量販店への流通の加速化を図る。
江藤農相
入札の対象者はこれまで3回と同じ年間5000t以上の取扱実績のある集荷業者とする。
ただ、集荷業者と小売店が協議してあらかじめ備蓄米の引き取りから1か月以内に小売店に売り渡すという早期販売計画を締結した取り組みには、2万tの優先枠を設ける。自ら玄米を精米にすることができる小売業者が対象になる。
2万tの内訳は、2024年産6000t、23年産3400t、22年産1万600tの予定。
また、集荷業者と卸・小売業者間で同様の早期販売計画を締結した取り組みには、4万tの優先枠を設ける。4万tの内訳は2024年産3900t、23年産6600t、22年産2万9000tの予定。
残りの4万tは一般枠として入札を行い、これまでと同様、卸売業者や実需者への中長期の販売計画を策定していることが求められる。この4万tは全量22年産米となる。
早期販売計画には集荷業者が卸・小売店への引き渡し時期と、店頭で販売される精米商品の概要などを盛り込むことが求められる。
農水省は小売店が販売計画に合わせて備蓄米が引き渡されることによって店頭での販売が広がることを期待する。
合わせてこれまで同じように全農など備蓄米を買い入れた集荷業者に販売計画の前倒しを要請していく。
入札参加者を卸業者や小売業者とせず引き続き集荷業者とした理由について量販店や小売業者から入札参加は難しく、集荷業者からの供給が望まれているとした。また、卸売業者からは多数の参加によって競争が激化し、価格が高騰する懸念も示されたという。
5月以降、6月も10万tを入札する。7月も10万tを予定しているが、一部地域では新米が流通するため入札数量については需給環境に応じて変更する。
これまで農水省は大手集荷業者の集荷量が前年より31万t少ないことを根拠に31万tの備蓄米を放出してきた。しかし、米価が高止まりしていることから、備蓄米も含めて米の流通が円滑でないとして「備蓄米の売渡し効果が減殺されないよう」毎月10万tを放出することを決めた。これまで3月から5月の3か月で31万tを放出したことになるため、引き続き1か月当たり10万tとしたという。
買い戻しについては、3回目までに売渡した備蓄米も含め、期限を原則1年から原則5年以内に延長することも決めた。予定どおり7月まで備蓄米を放出すると61万tとなる。その量を買い戻すには5年程度が必要になると判断した。買い戻し期限を延長することによって、買い戻し条件を懸念し入札に参加しなかった集荷業者の参加につながることも考えられる。
また、7年産米の備蓄米の政府買入れは、需給環境が大きく変化しなければ中止する。7年産米による買い戻しも行わない。
不足すればМA米活用も
備蓄米の放出によって政府備蓄米の在庫量は30万tとなるが、農水省は飼料用米としての販売を抑制してこの量を維持する方針だ。さらに同日発表された対策では「政府備蓄米で対応してもなお国民が最低限必要とする食料の供給が確保されていない場合には、国が保有うするミニマム・アクセス米を活用」することを明記した。
そのほか引き続き量販店の店頭価格を公表するとともに、備蓄米が原料として使われているブレンド米のシェアや平均価格、集荷業者や卸売業者の経費と利益なども公表する。
江藤農相は会見で集荷業者から小売店に直接販売するルートを工夫したことによって「(店頭で販売されるまでの)タイムギャップが相当なくなる」として米価も「下に向かってくれるのではないか」と述べた。
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