備蓄米の小売価格「2000円台では農業は持続できない」 JA茨城中央会・八木岡会長が表明2025年5月29日
随意契約で放出した政府備蓄米をネットやスーパーで5キロ2000円(税抜き)で販売させようとする農水省の方針に対し、産地に懸念が広がっている。JA茨城中央会の八木岡努会長は5月26日、「需給のバランスから、5キロ3000~3500円が値ごろだと思う。備蓄米が2000円台で売られると、持続可能な農業ができなくなる。生産振興も併せて進めてほしい」と述べた。
持続可能な農業には適正な価格形成や農業収入の安定が必要とマスコミ各社の記者に説明する
八木岡努JA茨城県中央会会長(5月26日、茨城県水戸市内)
再生産可能な米価に
JA茨城県中央会が米をめぐる状況についてマスコミに理解を深めてもらうため水戸市内で開いた記者懇談会で、報道陣の取材に答えた。
記者懇談会では、カリフォルニア米、ベトナム米、政府備蓄米、有機栽培米の食べ比べも実施。「炊き立てはどれも良かったが、冷めるとやはり国産米がおいしい」という参加者が多かったという。
同中央会・農業政策アドバイザーの萩谷茂さんは「小売価格が5キロ2000円だと、集荷、卸売、小売の各段階のコストと平均的利益を引くと、生産者の手取りは生産費を大きく下回る。米の価格も再生産可能なように決めて欲しいと産地から発信した」と説明する。
小泉農相「古い備蓄米なので適正」
「備蓄米が2000円台で売られると、持続可能な農業ができなくなる」と語ったJA茨城中央会の八木岡会長
小泉農相は「2000円と言っているのは備蓄米だ。古い備蓄米なので適正だと思う」「断固たる決意で安定した価格に落ち着かせていくというメッセージを発信しなければ、今の局面は変えられない」(5月28日、衆議院農水委員会での答弁)とするが、「2000円」が独り歩きすれば、生産にかかる費用と乖離した「価格破壊」につながりかねず、他の産地からも懸念の声が聞かれる。
朝日新聞「天声人語」でも紹介
朝日新聞(5月28日付)のコラム「天声人語」は、八木岡会長の記者懇発言を引き、「白く輝くコメには農家の苦労がつまっている。......本紙茨城版にあったJA県中央会長の嘆きが耳に残る」と綴った。
本紙の取材に対し八木岡会長は「今回の件でコメに国民の関心が集まると同時に、コストや経費などもオープンになってきた。それらのデータから、5キロで3000円から3500円の幅で持続させることが消費者も生産者側も納得できる価格だと思う」と語った。
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