輸入米増加で国産米販売落ちる 中食・外食向け 7月2025年9月2日
農水省が8月29日に公表した7月の米穀販売事業者の販売数量・価格の動向では、中食・外食事業者向けの販売数量が減少しており、農水省は米の民間輸入増の影響が出ているとしている。
7月の米穀販売事業者(米卸)から小売事業者向けの販売数量は前年同月比93.9%だった。6月の同87.7%に比べて政府備蓄米の販売の影響で持ち直した格好だ。販売価格は同158.8%だった。
一方、中食・外食向けの販売数量は同93.4%。6月の同97.7%に比べてさらに減少した。販売価格は同175.7%だった。
中食・外食向けの販売数量が落ちていることについて農水省は「米の民間輸入の影響」(農産局)とみている。
財務省の貿易統計によると1kg341円の関税を支払って輸入する民間輸入(枠外輸入)量は、7月に過去最高の2万6000t余りとなった。前年同月比で216倍となった。
1月から7月までの累計では6万6900tで前年の1~7月比で136倍となっている。
外食店 米の原産地表示は義務
小泉農相は8月29日の会見で「外国産米は業務用として流れて、我々がどこのお米かなと意識せずに食べている様々なご飯物の商品、この中に静かに入っている可能性がある」と話した。実際、静かに入ってきている実態があるとしても、外食事業者にはそれを消費者に伝える義務がある。
2010年に施行された米トレーサビリティ法では、一般消費者に米飯類を提供する際には米の産地情報を伝達することが義務づけられている。
伝達の方法は、「当店で使用しているお米は◯◯産・◯◯産です」と使用量の多い順に原産国を店内に掲示したり、メニューに「オムライス(◯◯産)」、「カレーライス(◯◯産)」などと表記することできる。これまではすべて国産米だった店鋪が外国産米を使うようになった場合は、◯◯産と追加しなければならない。ただし、3か国目以降は「その他」と表記することができる。
また、「産地については店員にお尋ねください」との掲示も認められるが、農水省によると店員が的確に答えられる環境を整えていなければ認められないという。米トレサ法では一般消費者への産地情報を伝達していなかった場合は、指針に基づいて勧告公表が行われ、さらに命令に従わなかった場合には罰則が適用される。伝達方法としては、そのほか、お客様相談窓口やWebサイトでの伝達も認められている。
そこで大手牛丼チェーン店のホームページを調べてみた。
吉野家のホームページでは原産地情報一覧というPDFファイルが見つかった。そこでは牛肉や玉ねぎなどの原産地とともに米については「国産米を中心に外国産をブレンドした米を使用しています。一部の店鋪につきましては国産米のみを使用しております。原産国は随時変更があります」とあり、詳細についてはお客様相談室に問い合わせと説明されている。
松屋のホームページでは店鋪ごとに米の原産地を検索することができる。そこで自宅近くの店鋪を選んで調べたところ米の原産地は「アメリカ産・国産」とあった。この店鋪では米国産米の使用量が多いことが分かった。
小泉農相が言うように米の民間輸入の増加で外食産業などに「静かに入ってきている」としても、その実態や動向の一端を消費者が知ることはできる。
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