生産費上回る手取りを保証 米の新たな契約手法 14県で実施 全農2025年10月2日
JA全農は2025年度から米の生産コストを上回る「生産者手取り価格」で契約する「営農継続可能な契約栽培取引」を導入しているが、初年度は14県が取り組んだことを明らかにした。
あいさつするJA全農の金森正幸常務(右)と藤井暁米穀部長
10月1日に東京・大手町のJAビルでメディア向けに開いた米穀事業に関する説明会で明らかにした。
24年産ではJAグループが設定した概算金と集荷業者が提示した価格がかい離したことから集荷数量が減少し販売先との安定取引に支障をきたすことになった。
そのため集荷回復に向けた具体策の一つとして各年産の生産費水準を保証したうえで需給や競合などを勘案した分を上乗せした「生産者手取価格」を保証する。販売価格は生産者手取価格に集荷・流通コストや手数料などを上乗せして設定する。
この「営農継続可能は契約栽培取引」は、JA、全農、取引先の3者契約と生産者とJAの2者契約が基本。また、複数年契約(3年)とする。
この契約は生産者に対して営農継続可能な価格を保証するとともに、取引先(卸・実需者)への安定供給を確保するための取り組み。米の価格が需給で変動するなか、需給変動に左右されにくい取引の拡大をめざす。卸や実需者にとっても安定した価格で米を調達できる。
全農によると14県で実施し、このうち茨城県ではJA全農いばらきが5年の複数年契約の導入を決めた。
JA全農の藤井暁米穀部長は「契約栽培取引を推進するなかで、(米の販売を)待っている取引先がいることを生産者に伝えることが大切だ」と話し、生産から集荷、取引先まで結びついた取り組みを進めることが「米の流通の安定化につながる」と強調した。
そのほか安定販売に向けた取り組みでは業務用実需者への安定調達のニーズに対応する契約栽培も推進しており、農研機構と共同開発した「ZR1」の栽培拡大にも取り組んでいる。
ZR1は葉いもち、穂いもちなどに抵抗性が強く、倒伏耐性もある。大粒で食味はあきたこまちと同等と評価されている。
24年産の実績では最高反収が758kgだった。栽培した15県のうち12県が1等だった。
26年産までに東北・北陸、関東地域を中心に250ha、28年産までに1000ha以上の作付けをめざしている。
産地では集荷競争が激化しているが、今年度は概算金の早期設定や追加払いの決定に加え、JAや全農県本部が生産者から庭先集荷するなど集荷に努めた。全農は全国で227万tの集荷数量を目標にしている。藤井部長は「刈り取りが終わっても集荷はまだ終わっていない。諦めずに集荷していきたい」と話した。
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