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【8月牛乳価格値上げ】平均10円、230円台に 消費低迷打開へ需要拡大カギ2025年9月8日

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Jミルクは9月5日、8月の需給動向を発表した。注目の飲用牛乳の動向は、飲用向け生産者乳価引き上げを反映し、平均で牛乳1リットル約10円上がり230円台となった。一方で販売個数は前年割れが続き、牛乳値上げ下での需要拡大が最大の課題となる。(農政ジャーナリスト・伊本克宜)

8月乳価値上げで大手メーカー中心に牛乳1パック300円に迫る(首都圏の食品スーパーで)8月乳価値上げで大手メーカー中心に牛乳1パック300円に迫る(首都圏の食品スーパーで)

■乳価値上げ、着実に浸透

Jミルクは8月25日から31日までの牛乳販売個数など最新動向を求めた。今回の調査で8月1日から乳価値上げとなった後の、末端小売りの価格反映実態、消費の変化などを見通すことができる。

いくら飲用向け生産者価格が上がっても、消費減を回避するため食品スーパーなどのバイイングパワーで小売価格が抑え込まれる可能性もあるためだ。農畜産物の合理的価格形成のため、コストを価格に適正に反映することを促す法案検討の品目の一つに牛乳が取り上げられたのも、長年、スーパーでの安売りによる集客商材に位置付けられてきたことが大きい。業界では「価格競争よりも価値競争」を合言葉に、安売りによる過度の販売シェア争い自粛を求める声が強い。

こうした中で、今回のJミルク調査では生産者乳価値上げが、小売り段階で牛乳価格に着実に反映されてきたことが裏付けられた。確かに筆者が実際に首都圏の食品スーパーを取材すると、大手乳業を中心に10円から20円上がっているケースが目立つ。

■3年前に比べ45円強値上げ

今回のJミルク調査で、飲用向け生産者価格引き上げを踏まえ年次別の小売価格引き上げ状況も明らかにした。

8月と値上がり前の7月の価格は牛乳1本(1リットル)10円強の上げ。3年前の22年秋と比べると同45円、2年前の23年比では27・6円上がっている。いずれにしても、牛乳価格は長年1本当たり200円前後の価格水準が続いていたが、今回の価格改定で一挙に平均で230円台にまで上がった。

問題は食品基礎材で、毎日購入する日配物で、育ち盛りの子どもを持つ若い主婦層が購入の中心である牛乳の商品特性からくる、値上がりと需要との関連だ。今のところ値上げに伴って、前年同期比で微減にとどまっている。この先、需要が上回ってくるのか、消費落ち込み幅が拡大してくるのか。秋以降が牛乳需要動向の見極め時となる。不需要期対応も念頭にJミルクなど業界挙げた「牛乳でスマイルプロジェクト」などを通じた消費拡大運動が一段と重要となる。

■8月牛乳販売、前年に比べ「微減」

価格改定後の8月の牛乳類(牛乳、成分調整牛乳、加工乳、乳飲料)販売個数は、4品目とも前年水準を下回った。
8月25日から31日までの直近1週間の販売個数は牛乳で前年度期比99・2%、牛乳類4品目トータルでも98・4%とマイナスとなった。ただ、10円以上の値上げになった割には、わずかの減少に踏みとどまっているとの見方もできる。

一方で、生乳需給全体で見ると、事態は深刻だ。生産が北海道で増産基調となっている半面、用途別販売の主力である牛乳消費の低迷は、課題の脱脂粉乳の在庫積み増しにもつながるからだ。脱粉在庫は直近で月末在庫6万3500トンと、6万トンの大台を超えている。業界挙げた牛乳需要回復と、脱粉在庫削減につながるヨーグルト拡販の着実な実施が求められる。

■大容量ヨーグルト需要上向く

生乳需給改善には脱粉在庫削減につながる発酵乳、主にヨーグルトの需要拡大が重要だ。Jミルクの今回の調査結果では発酵乳の直近の販売個数が7カ月ぶりに前年水準を上回った結果が出た。

日本乳業協会をはじめ業界挙げ酷暑を水分保持機能があるとされるヨーグル摂取で乗り切ろうなどの販促キャンペーンが一定の効果を上げたのかもしれない。特に主力の大容量タイプ(350~500ミリリットル)が需要拡大をけん引しているのは明るい材料だ。

■コンビニ高く、ドラッグストア安値

今回の調査で、業態別の牛乳価格設定の格差も改めて浮き彫りとなった。
コンビニエンスストアでの牛乳価格が比較的高く、食品取り扱いを増やしているドラッグストアは安い。その中間に販売量の大半を占める量販店、食品スーパーが位置づく構図だ。スーパーは限定的な週末セールである程度値引き販売をしている。

これには理由がある。コンビニは従来から定価販売を基本に、3大コンビニを中心に独自のPB商品に力を入れてきた。牛乳も同様で安売りする必要がないとの考えだろう。今回の飲用乳価交渉で、値上げ時期は夏場の8月にまでずれ込んだ一つに、明治など大手乳業がコンビニの価格改定に時間がかかるという理由を挙げた。結果的に、8月の価格改定状況を見ると、コンビニでも価格は上がっている。一方で定価販売が基本の医薬品を柱としたドラッグストアは、食品値引き販売の財源を持ち、各店舗負担で集客目玉商品として日配物の牛乳を値引き販売しているケースがあるとみられる。

コンビニで比較的高くドラッグストアで低価格販売は食品全般に見られる。ただ、最近にはドラッグストアでも販売戦略上、食品の品ぞろえを増やし、冷凍食品でも国産原料にこだわるなど廉価販売から脱却しつつある。今後、牛乳販売でも同様の傾向が出てくるかもしれない。

■100円もの価格両極化、最低188円か

筆者が首都圏主要食品スーパーを取材したところ、着実に値上げが浸透し7月に比べ1リットル当たり10円から20円程度価格改定が進んでいる。

赤パック「農協牛乳」を含め明治、雪印メグミルク、森永の大手乳業のNB牛乳は、週末の特売を除き同300円近い価格設定が目立つ。大手乳業幹部は「価格引き下げ圧力もあり、我慢比べだろう」と話す。

こうした中で200円前後の低価格製品と300円前後の高価格帯の「両極化」は依然として続く。取材では、格安食品スーパー・オーケー販売のホクレン経由をしない自主流通の北海道原乳を使った中小メーカーの牛乳が同188円と最安値を付けた。8月の価格改定で、いったん10円引き上げ198円としたが、「他店対抗価格」と銘打ち188円と以前の価格に戻った。値上げによる販売落ち込みを踏まえた戦略だろう。スーパーのPB(プライベートブランド)商品牛乳の一部も価格を据え置いたまま。競合店の様子見となっている。

ただ、飼料高止まりをはじめ、諸資材高騰は酪農経営を直撃しており、持続可能な生乳生産のためには、安売りで販売量を確保するのではなく、消費者の理解を得ながらコストを反映した適正価格での供給でないと、長続きしない懸念がある。

■家計調査、牛乳購入14カ月連続で前年割れ

米価高騰など物価高の中で、総務省家計調査を踏まえた7月の食費支出は、牛乳乳製品支出額が前年同期比103・7%。
増えたのは値上がりの目立つチーズ、バターなど乳製品で、逆に牛乳は4カ月連続で前年割れ。購入量も牛乳は同99・5%と14カ月連続の前年割れ。物価高で消費者の財布のひもは一段と堅くなっている。
こうした中で、8月以降の牛乳値上げが、家計支出の面でもどうなっていくのか。消費動向に直結するだけに注視が必要だ。

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