【26年度畜酪決着の舞台裏】加工補給金上げ12円台 新酪肉近で全畜種配慮2025年12月22日
政府・自民党の2026年度畜産・酪農政策価格・関連対策は19日実質決着した。焦点の加工原料乳補給金等はキロ12円の大台に乗った。肉用牛子牛保証価格も軒並み引き上げた。今回は新酪農・肉用牛近代化基本方針(酪肉近)初年度に当たり全畜種で政治的配慮がなされた。(農政ジャーナリスト・伊本克宜)
2026年度畜酪政策価格・関連対策は19日の自民農林合同会議で実質的に決着。政治的配慮がなされた
■高市政権初の農畜産物政策決定
26年度畜酪政策価格は22日、農水省の食料・農業・農村政策審議会畜産部会での議論を経て正式決定。経済安全保障の一環である食料安全保障を全面に掲げる高市早苗内閣の実質的に初の政策決定となるだけに、決定内容が注目された。
その結果、農畜産業振興機構(alic)事業による緊急措置も加え畜酪農家にとって政治的配慮の行き届いた決着となった。「高市農政」の行方を占う。公明党に代わり連立政権を組んだ合理化農政を目指す日本維新の会の影響も懸念されたが、「閣外協力」ということもあり自民党主導での政策決定となったと見ていい。
一方で、「高市官邸」は安倍晋三元首相のカラーに一段と染まりつつある。内閣広報官に安倍氏の秘書官でスピーチライターだった経済産業省官僚・佐伯耕三氏が就く。既に安倍内閣時に辣腕を振るった同省出身の今井尚哉氏も内閣官房参与にいる。10年前の理不尽な「官邸農政」も念頭に置く必要がある。
■"九州政治力"と関係者「大台に乗った」
26年度畜酪政策価格は、農業団体の要望を踏まえた自民党農林議員の主導で決まった。
今回は昼前に会議で決着内容とともに、畜酪諸課題をめぐり詳細に目配りした14項目にも及ぶ決議文も出た。その意味では、高市内閣の積極財政、食料安保への理解もあり、政府・自民党の折衝が円滑に進んだと言えよう。
政策価格は、当然算定ルールに沿うが、直近の物価修正などで調整を加え、さらに関連対策で上乗せして政治的配慮にも応じる手法を取る。今回も同様だ。特に関係者で「大台に乗った」とされたのが加工原料乳補給金等のキロ当たり12円突破、総交付金対象数量350万トン、さらに肉用子牛の主力・黒毛和種の1頭当たり保証基準価格が60万円の大台にのったことだ。保証基準価格は、子牛の市場平均価格が保証基準価格を下回った際に差額を補てんする仕組みで、いわばセーフティーネットとなる。
水面下で調整が進められた肉牛関連は、最終的にさまざまな政策的配慮がなされた。共に農相経験者で主産地・南九州選出の二人の自民農林のドン、森山裕、江藤拓両氏の圧倒的な政治力が形となって現れた。
政策決定の内容は以下の通り。
〇26年度畜酪対策の主な内容
◇酪農生産者補給金等関連
・加工原料乳補給金9円11銭→2銭上げ
・集送乳調整金2円83銭→10銭上げ
・alic加算 9銭→1銭上げ
・補給金等合計12円3銭→13銭上げ
・総交付対象数量325万トン→据え置き
・alic事業 25万トン→7万トン増
・合計 350万トン→7万トン増
◇肉用子牛生産者補給金(保証基準価格)
・黒毛和種60万円→2.6万円上げ
・褐毛和種54.7万円→2.4万円上げ
・その他肉専34.8万円→1.4万円上げ
・乳用種17.4万円→1万円上げ
・交雑種27.4万円→据え置き
(※→は前年度対比。加工原料乳補給金等はキロ、総交付数量alic事業25万トンのうち20万トンの単価は脂肪分のみで半額。子牛補給金は1頭当たり)
■残された宿題「需給」「飼料自給」「畜安法」
多くの政治的配慮がなされた今回の26年度畜酪政策価格・関連対策だが、やはり大きな「宿題」も残った。
喫緊の課題は年末の生乳廃棄回避の需要拡大と完全処理の「需給」対応。年明け1月からはJA全農の配合飼料供給価格が全畜種平均で前期(25年10~12月)に比べトン当たり4200円上がる。飼料コストは畜酪経営経費の約半分を占める。国産飼料の自給率をどう高めるか。農水省は良質粗飼料向けに青刈りトウモロコシ増産を強調するが、肝心の濃厚飼料代替の子実用トウモロコシなどを計画的に増やしていかなければ、過度の輸入飼料依存による加工型畜酪からいつまでも脱しきれない。
そして改正畜安法の課題だ。18日の衆参農水委員会でも立憲民主党・徳永エリ参議員(北海道)からも指摘があった生乳需給対応と改正畜安法の関係だ。
もともと生乳流通自由化に伴い指定団体の需給調整機能弱体化を招く"欠陥法"との指摘が強い。農水省は生乳需給安定へ規律強化にとどまらず、クロスコンプライアンスを加工原料乳補給金そのものへの適応のため法改正の検討を早急に進める大きな「宿題」が残った。
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