持続可能な酪農業の実現へ 温室効果ガス排出削減 明治グループと協業開始 味の素2023年3月28日
味の素は、明治グループと、酪農・乳業において、温室効果ガス(GHG)排出削減と経済価値創出を同時に実現するJ-クレジット制度を活用したビジネスモデルの構築に向けた協業を開始。酪農におけるアミノ酸を活用したJ-クレジット制度のプロジェクトは日本初(同社調べ)となる。
世界的な人口増に伴いたんぱく質の需要が増加する中、生乳の生産・肉牛の肥育に伴う環境負荷に関心が高まっている。牛のげっぷから発生するメタン(CH4)、糞尿から発生する一酸化二窒素(N2O)など酪農由来のGHG排出量は、全世界排出量の約3%を占め、地球温暖化の原因の一つとされており、酪農家と乳業メーカーなどは早急な対応が求められている。さらに、飼料高騰などにより酪農家の経営は厳しく、GHG排出削減とそれに伴う費用負担の軽減が課題となっている。
こうした環境において、味の素は明治グループとの協業を通じて、J-クレジット制度を活用したビジネスモデルを構築。同社の乳牛用アミノ酸リジン製剤「AjiPro®-L」を用いGHG排出量を削減する。
同製品は、味の素独自の製造技術により、通常では牛の小腸まで届きにくいアミノ酸を体内に効果的に栄養として届ける。一般的に飼料として使われる大豆粕は、高たんぱくであるものの、高コストで余分なアミノ酸も多く含むが、同製品を使うことで大豆粕などの飼料を減らしながら、不足するアミノ酸を補いバランスを整えられる。その結果、乳量を維持しながら飼料コストを削減。また、糞尿から発生する余剰な窒素を削減し、N2Oを削減することが可能となる。
味の素が2011年から販売している乳牛用リジン製剤「AjiPro®-L」
J-クレジット制度を活用するため、味の素はJ-クレジット認証委員会に「乳牛へのアミノ酸バランス改善飼料の給餌プロジェクト」を登録申請し、3月15日に承認された。今後は削減GHG排出量のモニタリングおよびクレジット化などのプロジェクトの運営を実施する。
同プロジェクトは、明治グループと提携する北海道の農場で開始。同社が取得したクレジットを明治グループが購入し、購入したクレジット代金は酪農家へ支払われ、今後の酪農家の新たな収入源になる。また、明治グループが購入したクレジットは明治グループのGHG排出量のオフセットに活用することで酪農業界全体のGHG削減に寄与することができる。
今後は、明治グループと提携する農場を中心に参加する酪農家を募り、取り組みの拡大を図る。また、「AjiPro®-L」の使用により削減した費用の、CH4削減製剤の購入への充当など、新たなGHG削減策を農家のコスト負担を増やさずに導入し、より大きなGHG削減を目指す。
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