組合員とともに未来拓こう【田村政司・JA全中教育企画課長】2018年8月5日
全組合員との対話運動にむけた役職員学習活動
1.対話運動、全組合員調査の目的と学習活動
JA全中は、全JAにおいて、組合員と役職員との対話運動を行うことを提起しました。対話運動は、これまでのJA自己改革の取り組みを「伝え」、組合員の声を「聴く」運動です。そして、年末以降、全組合員を対象として、これまでのJAの取り組みへの評価とこれからの方向について組合員の意思を確認する全組合員調査に取り組みます。
対話運動と全組合員調査を本来の目的に沿って実現するためには、これに関わるJA全役職員が、自らのJAはどのような自己改革に取り組んでいるか、仮に准組合員の事業利用規制が実施された場合に、組合員の営農と暮らしにどのような影響が生じるかについて、正確に理解し、自分の言葉で組合員に伝えることができるよう学習することが必要です。
このため、JA全中として、7月23日に「対話運動のすすめ方」を発行しました。本書を活用し、全役職員の学習活動をすすめていただきたいと思います。
2.学習活動の3つのポイント
JA役職員が一丸となって取り組む対話運動、全組合員調査は、協同組合の原点にたちかえるという点で大きな意義を有するものですが、一方で、日々懸命に働くJA役職員の皆様に大変な苦労をかけるものでもあります。だからこそ、今、なぜこの取り組みが必要なのか、役職員一人一人が自らの「腹に落とす」ことが必要です。対話運動の前段としての学習活動の最大のねらいもこの点にあります。
第1に、農協改革において、信用事業の譲渡・代理店化の方向性、准組合員の事業利用規制の在り方の検討が示されていますが、いずれも組合員にとって重要な問題です。私たちのJAは協同組合です。協同組合は組合員の組織であり、大切なことは組合員が決めるという民主主義の原則上に成り立っています。したがって、この重要な問題について組合員に伝え、組合員の声を聴く必要があります。
第2に、なぜJAは信用・共済事業を含む総合事業を営んでいるのか。そして、地域住民の皆さんが准組合員として加入し、事業利用できるのか。このことの意義や経緯について、組合員に伝え、組合員の声を聴く必要があります。
第3に、何よりも、JAをとりまく環境が大きく変化する中で、組合員にこれまでの自己改革の取り組みを伝え、これからのJAのすすむべき方向について、組合員の声を聴く必要があります。
学習活動での最終的な目標は、以上の3つについて、JA役職員が職場の仲間と共に学びあい、自らの腹に落とし、最終的に組合員に自らの言葉で説明できることです。
3.学習活動のすすめ方
対話運動の前段としての役職員の学習活動の目標を達成するには、職員の自主性にすべてを委ねるのは適当とは言えません。職員が業務として、組合員を訪問し、説明する訳ですから、一定の成果が担保される学習活動を各JAが考えることが必要です。例えば、次のような学習方法が考えられます。
(1)JAの全体会議・研修会等において、JA中央会が情勢報告、全中刊行の「対話運動の進め方」など学習教材を紹介する。
(2)JAとして、夏休みに学習教材の通読を奨励し、休み明けに職場の支所・課単位で読み合わせをし、感想を述べ合い、わからないことや気づいたことを共有化する。
(3)学習活動を通じた気付きや対話運動にむけた工夫などについて、報告コンクールをおこない、 意欲のある職員の取り組みの職場内での横展開をはかる。
以上に限らず様々な方法が考えられますが、JAの実情をふまえた創意工夫ある学習運動を期待する次第です。さらに、対話活動の中で様々な学びや気付きがあるはずです。貴重な経験をイントラネットで共有化する仕組みをあらかじめ準備しておくことなども必要でしょう。
4.出会い、学びあう
昨年11月、全組合員調査に関してJAいわて花巻の農事組合法人の代表と意見交換する機会をえました。「行政、JAから次から次に調査依頼がくるが、現場のことがわかっているのか」「組合員主役というが、毎年の事業計画を本当に組合員の意見を聴いて作っているのか」と厳しい意見をいただきました。しかしながら、「JA職員はよく訪ねてきて、遅いけれど必ず回答をもってくる」、そして「農協改革にはいろいろ思うところがあるが、俺もJAの組合員だ」という言葉をいただきました。胸にグッとくるものがありました。
協同組合は組合員のものなのです。
全組合員との対話運動、全組合員調査を通じて、様々な組合員との出会があり、そこから職員は様々なことを学ぶでしょう。協同組合の学習の本来の姿は、組合員と役職員との事業・活動を通じた学び合いにあります。
JA役員・幹部職員の皆様には、この大きな運動をJA組合員、役員、職員の実践的な学習活動とも位置づけ、「組合員とともに農業・地域の未来を拓く」べく、全力を尽くしていただきたいと思います。
(関連記事)
・10年後 販売300億目標 JAいわて花巻(1)(18.07.26)
・地域貢献を評価し花巻市が高橋氏を表彰(18.02.07)
・【JAいわて花巻】「地域ぐるみ農業」実現へ(前編)(17.10.19)
・【インタビュー・JA全中奥野長衛会長】「対話」こそ組織の力(17.07.20)
・現場よく見て政策を 農協は地域の生活に不可欠(16.03.10)
・【JAトップアンケート】JAいわて花巻 高橋専太郎代表理事組合長 「支店を核に地域活動」(15.12.28)
重要な記事
最新の記事
-
スーパーの米価 前週から10円上がり5kg4331円に 2週ぶりに価格上昇2025年12月19日 -
ナガエツルノゲイトウ防除、ドローンで鳥獣害対策 2025年農業技術10大ニュース(トピック1~5) 農水省2025年12月19日 -
ぶどう新品種「サニーハート」、海水から肥料原料を確保 2025年農業技術10大ニュース(トピック6~10) 農水省2025年12月19日 -
埼玉県幸手市とJA埼玉みずほ、JA全農が地域農業振興で協定締結2025年12月19日 -
国内最大級の園芸施設を設置 埼玉・幸手市で新規就農研修 全農2025年12月19日 -
【浜矩子が斬る! 日本経済】「経済関係に戦略性を持ち込むことなかれ」2025年12月19日 -
【農協時論】感性豊かに―知識プラス知恵 農的生活復権を 大日本報徳社社長 鷲山恭彦氏2025年12月19日 -
(466)なぜ多くのローカル・フードはローカリティ止まりなのか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月19日 -
福岡県産ブランドキウイフルーツ「博多甘熟娘」フェア 19日から開催 JA全農2025年12月19日 -
α世代の半数以上が農業を体験 農業は「社会の役に立つ」 JA共済連が調査結果公表2025年12月19日 -
「農・食の魅力を伝える」JAインスタコンテスト グランプリは、JAなごやとJA帯広大正2025年12月19日 -
農薬出荷数量は0.6%増、農薬出荷金額は5.5%増 2025年農薬年度出荷実績 クロップライフジャパン2025年12月19日 -
国内最多収品種「北陸193号」の収量性をさらに高めた次世代イネ系統を開発 国際農研2025年12月19日 -
酪農副産物の新たな可能性を探る「蒜山地域酪農拠点再構築コンソーシアム」設立2025年12月19日 -
有機農業セミナー第3弾「いま注目の菌根菌とその仲間たち」開催 農文協2025年12月19日 -
東京の多彩な食の魅力発信 東京都公式サイト「GO TOKYO Gourmet」公開2025年12月19日 -
岩手県滝沢市に「マルチハイブリッドシステム」世界で初めて導入 やまびこ2025年12月19日 -
「農林水産業みらいプロジェクト」2025年度助成 対象7事業を決定2025年12月19日 -
福岡市立城香中学校と恒例の「餅つき大会」開催 グリーンコープ生協ふくおか2025年12月19日 -
被災地「輪島市・珠洲市」の子どもたちへクリスマスプレゼント グリーンコープ2025年12月19日


































