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2019.09.30 
【クローズアップ・台風被害】いつでもどこでも自然災害 現地ルポ 千葉・愛媛・宮崎一覧へ

 日本列島がおかしくなった。いつ、どこでどのような自然災害が起きても不思議はない状況がこの数年続いている。昨年から今年にかけての「予期せぬ」台風による豪雨、強風が発生した。直近の千葉県の強風、宮崎県の竜巻、そして昨年ミカン園が崩落し、いまだ復旧途中の愛媛県の被害状況と、それぞれJAの対応をレポートする。

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強風で杉の木がなぎ倒された。大規模停電の原因にも(千葉県芝山町で)

【現地ルポ:千葉県】

ハウス再建に資材不足 将来が不安、営農意欲後退も

 9月9日、千葉市付近に上陸した台風15号は、房総半島全域を暴雨風に巻き込みながら北上し、千葉県の園芸地帯を北上した。家屋の被害のほか電気・水道・通信のライフラインが広範囲に渡って被害を受け、復旧の遅れたところでは10日以上も不便な生活を強いられた。ビニールハウスの倒壊や水稲の倒伏、倒木など農林業の被害も大きく、被災地ではいま、その復旧に追われている。めったに台風の直撃を受けることのなかった房総半島だが、3年前にも台風に伴う強風に襲われている。頻繁な来襲と、新しいタイプの被害に現地ではとまどいもみられる。

◆収穫始まったばかり

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ぐちゃぐちゃになったビニールハウス

 園芸の盛んな千葉県のJA富里市管内の十倉地区。台風15号の直撃を受けた。園芸中心の同JAのなかでも、主力となる地区で、トマトやスイカ、露地のニンジンなど、野菜栽培が盛んなところ。
 台風から10日余り経っても、現地では被覆ビニールを飛ばされ、パイプの骨組みだけになったハウスが、あちこち目につく。被害範囲が広く、「ビニールやパイプを注文しても、いつ届くか分からない」と同地区でトマト50aを栽培する生産者(60)は、雨ざらしになったトマトを悔しそうに眺める。
 トマトは収穫が始まったばかり。「3年前に立て直した育苗用のパイプハウスも倒壊し、春先のトマトの後作のスイカの育苗までに復旧できるかどうか」と言う。実は、3年前の8月にも、房総半島は館山市に上陸した台風によって、今回と同様、ビニールハウスが被害を受けている。
 台風の直撃を受けることが少ない千葉県にとって、「忘れる間もない」災害だった。「千葉県はめったに台風がこないところだが、3年前に次いで被害が出た。これでは将来が不安で、生産意欲がなくなる」と心配する。
 富里市の調べによると、今回の台風による農作物被害は約21億5000万円、パイプハウスなど施設被害が23億7000万円だった。同市では3年前にも台風による被害があったが、「今回はその3~4倍になる」と、被害の大きさを強調する。

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収穫が始まったばかりのトマトも

◆杉の大木もなで切り

 被害の大きかった房総半島北部の山武市や富里市などの杉林では異様な光景が見られる。樹齢30~40年、直径20~30cmの杉の大木が、地上から3~4mのところで、大きな鉈(なた)でなぎ倒されたようになっている。神社林も例外ではない。この倒木が電線に倒れかかり、また電柱を倒して大規模な停電を招いた。
 被害を受けた杉は、千葉県独自の「山武杉」で材が堅く、木目がきれいなことから江戸時代中期から山武郡を中心に植林され、現在、同県の杉2割近くを占める。ただ、「溝腐れ病」に弱いという難点があり、これにかかると樹木の内部に空洞ができ、強い風で倒伏しやすくなる。今回の台風15号は、風速50m以上と推定され、これまでにない強風だったため、広い範囲で倒木が発生した。
 千葉県森林研究所の岩澤克巳所長は「溝腐れの病原菌は枯れ枝から侵入するとみられている。山の手入れ不足も、まん延の一因と考えられる」とみている。木材価格の低迷、森林作業の人手不足が被害を大きくした。県では他の樹種への改植を進めているが、同じ理由で十分な効果をあげていないのが実情である。



【現地ルポ:JAえひめ南】

役職員が土のうづくり ミカン農家支援で

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ミカン農家の支援で土のうづくりに汗を流すJA職員

 自然災害が大きいと復旧に時間がかかり、それだけ生産者の再建への意欲が失われる。このとき、JA役職員の支援は大きな支えになる。昨年、記録的な集中豪雨でミカン園を中心に甚大な被害を受けた愛媛県のJAえひめ南では、台風に備え、役職員がボランティアと共に土のうづくりを行った。延べ4000人余りが参加して作った土のうは8万袋。台風の来襲に備えている。
 同JA管内の吉田町のミカン園は,昨年7月の西日本集中豪雨でミカン園が大規模に崩落するなど大きな被害を受けた。復旧に必要な大型機械が入らないところが多い。一層の崩落を防ぐためには、人力による土のう積みに頼らざるをえないが、重労働のうえ、高齢化したミカン農家には負担が大きい。
 同JAでは今年の4月下旬、吉田町内に4か所の土のうステーションを設け、JA職員などの復興ボランティアが約5万袋用意して、ミカン農家に使ってもらったが、7月下旬にまでに使い果たしてしまった。1日に約3000~4000袋利用されており、農家の求めに応じ、5月のゴールデンウイークから中学生や高校生も参加して土のうづくりを再開した。
 この土のうづくりは営農企画担当課の災害復興の担当者が提案。「農家に役立てる絶好のチャンス」として協力を申し出た。ミカンの収穫作業が始まった9月2日まで、毎週2日間1日10人体制で土のうづくりに参加した。
 同JAでは「JAの職員がまとまって、一つの力になれたと感じている。土のうづくりはけっこう重労働で地道な作業だが、力を合わせてミカン農家や地域のために役に立ちたいとの思いで頑張っている」(企画管理部)と言う。


【現地ルポ:JA延岡】

復旧へ職員総出 竜巻でハウス倒壊

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倒壊したビニールハウスの復旧を支援するJA職員


 最近の台風は規模が大きくなるとともに、予期せぬところで大きな災害に襲われる。9月22日、宮崎県延岡市で発生した竜巻・突風は、予期せぬ被害をもたらした。9月23日現在で、JA延岡管内の被害は園芸用ハウス23棟(67a)で全半壊やビニールが吹き飛ばされるなどの被害が出た。
 この竜巻は台風17号の影響とみられ、家屋の屋根瓦が飛んだり窓ガラスが壊れたりするなどの被害があった。一週間後に定植を控えていた矢先にキュウリのビニールハウス9棟が倒壊した農家もあった。JAでは被害農家の支援のため、職員が総出で復旧作業を支援。
 同JAの山本照弘組合長は「ハウスの片づけが一段落し、周辺の田んぼに飛び散ったガラス片の片づけで、一般市民を含め、毎日100人ほどが作業に当たっている。JAが、懸命に国民の食料を守るため頑張っていることを知ってもらいたい」と期待する。

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