コープこうべで現地研修 日常のつながりとサポート大切に(1)【全中教育部・ミライ共創プロジェクト研修】2024年3月22日
JAの中堅幹部職員を対象にJA全中教育部が実施している「ミライ共創プロジェクト」は2月19、20の両日、今年度最後となるフィールドワークを兵庫県の生活協同組合コープこうべで行った。同生協が地域の課題、人々の願いをどのように解決しているかを学ぶとともに、それを持続可能な事業に結びつけるにはどうするかについて、これまでの4回の視察・研究の成果をまとめ中間発表を行った。
JAと連携「安心育む」
JA事業のあり方でチームミーティング
フィールドワークでは西宮市山口町の「北部のつどい場」、三木市の「(株)コープエコファーム」、同市「コープこうべ協同学苑史料館」などをそれぞれ視察・見学し、同学苑の研修室でチームミーティングを実施した。
悩みはたすけタッチ
コープこうべは、ちょっとした助けがほしい人と助けたい人をスマホのアプリでつなぐ「たすけタッチ」の活動を行っている。高齢で外出が難しくなった人のごみ出しなどを住民同士で助け合うボランティア活動で、手伝ってほしい人がその内容をアプリで申し込み、手伝える人が対応できる日時をアプリで選択する。電話で申し込んでもよい。お手伝いが終わったら「完了ボタン」を押して終了となる。
1メニュ―約15分で、110円(税込)が依頼者のコープこうべの宅配口座から引き落とされる。助けた人には1メニュ―100ポイントのコーヒーポイントが進呈される。お手伝いは、ごみ出しのほか玄関や屋外の掃除、古紙・段ボールの整理、散歩、郵便物の投函、さらには生協の店舗までの送迎、日替わりの調理済み夕食の配達など、日常生活に欠かせないあらゆる分野でサポートする。
サービスの利用者は年会費1000円で会員となり、屋内の家事サポートは1時間当たり850円、屋外作業1150円を支払う。一方、手伝える人は同じく1時間当たりそれぞれ650円、950円を受け取る。交通費は利用者が実費を支払う。
「たすけタッチ」のアプリ開発を担当した情報デジタル推進部インターネット・デジタル推進統括の浜地研一さんは「実際の利用者からの声を聞き、人々の毎日のくらしや思いに寄り添った事業としてさらに進化させたい」と言う。
地域拠点「つどい場」
JAの支店を改装 地域のつどいの場に
人と人のつながりが希薄になるなかで、協同組合にとってコミュニティーづくりは大きな課題だが、それには拠点となる場所が必要になる。コープこうべと事業エリアの重なるJA兵庫六甲が包括連携協定を結んで「つどい場」を設けている。
この包括連携協定は、①人と人がつながり、助け合える地域コミュニティーの維持発展や、健康で豊かな暮らしの拠点づくり②食の安全・安心に向けた生産者と消費者をつなぐ取り組み③災害発生時の対応、防災・減災への対策――などが柱だ。
コープこうべには、こうした「つどい場」が25カ所にあり、それぞれ地域の組合員が主体になって、さまざまな協同活動を展開している。西宮市山口町の「北部つどい場」はその一つで、ことし2月にオープンしたばかり。もとJAの支店で、統廃合で使われなくなった建物の1階を改装し、キッチンも備えた「つどい場」とした。運営には生協と西宮市の社会福祉協議会が当たる。
連携協定締結の背景には地域課題の複雑化・多様化がある。「いまやJAや生協が独力で解決できる時代ではない。同じ地域に暮らし同じ未来を見ている組合員がともに地域の課題解決に努めるべきだ」と同JA山口支店の今里学支店長は、事業エリアを同じくする協同組合員同士の連携の必要性を強調する。
コープこうべのグループ農場に「(株)エコファーム」がある。阪神・淡路大震災を契機に資源の大切さを認識し、店舗で発生する膨大な食品残さを堆肥として有効活用するために始めた。
資源循環型農業をめざすエコファーム
同コープの環境共生型農園構想に賛同した三木市の地元農家の(有)みずほ協同農園と、コープ土づくりセンターからスタートした農場で、今はみずほ農園の株式を買い取ったコープこうべと、民間のリサイクル企業とで、店舗から出る野菜くずや加工くずなどを集め堆肥化し、農園で育てた野菜を組合員に届けるという資源循環型農業を実現している。
エコファームでは新規就農者や農業を志す人を積極的に支援し、後継者の育成にも力を入れている。同ファームの水島宏幸社長は「属人的にならないように、誰でもできる仕事のやり方の確立を目指す。規模拡大でなく、ほ場の回転率を高めたい」と経営方針を語る。
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