担い手の農業所得向上に奮闘 「TACパワーアップ大会2016」開催2016年11月22日
JA全農は、11月17、18日に横浜で、地域農業の担い手に出向くJAの担当者「TAC」の活動事例の共有化や活動成果を讃える全国大会「TACパワーアップ大会2016」を開催した。今年が9回目となる。
全国各地のJAとJA全農が組織する農業コーディネーターチームであるTACは、現在、278JAで1762名おり、約9万戸の大規模農家や農業法人などの担い手に出向き、年間約74万回の訪問を行っている。担い手当たりの面談回数は、表彰JAで月に1.82回(年間21.8回)、全国平均では月に0.68回(年に8.1回)となっている(久保省三全農営農販売企画部長「今後のTAC活動について」より)。
9回目となる今大会は、△若手農業者や農業法人など、将来にわたり地域農業の核となる担い手との関係強化、△農家手取りの最大化、地域生産振興など地域活性化につながる取組みの実践、△担い手との信頼関係を継続していくためのTAC活動の定着、の3点をコンセプトに優秀な活動をしているJAやTACの表彰とその活動事例発表が行われた。
表彰では、従来からのJA表彰、TAC表彰に加えて、「全国表彰を3回以上受賞したJAにおける活動の高位レベルの維持とモチベーション向上を図る」ために、新たに「TACトップランナーズJA表彰」、さらに「担い手向けTAC通信コンテスト」を新設し表彰した。
JA表彰で全農会長賞を受賞したJA北びわこは、担い手の経営改善・所得向上ニーズに応えるために「農家組合員の所得増大プロジェクト」を設置し、これからの地域農業を担う若手農業者の新しい発想と意見を組み入れることを最重要視し、JA青壮年部と検討を重ね、水田の高度利用や麦・大豆の品質向上、園芸品目導入による複合経営とトータルコスト低減を両輪とした、担い手への提案メニューを作成。担い手から「TACやJAが身近に感じられるようになった」と高い評価を得ていることが、受賞理由となっている。 中野吉實会長は、開会の挨拶で、規制改革推進会議農業WGの「意見」について言及(別掲)するとともに、「TACの活動が多くの担い手のニーズに応えられるように期待しております。とくに本年4月に全都道府県に設置された県域担い手サポートセンターにおいても担い手づくりとしてTACの活動が取り入れられ、活動の重要性が認識され浸透しつつあります。これはひとえにTACのみなさんが担い手の要望を真摯に受け止め、それに応えるべくJAの総合力を活かした提案を行い、その結果、担い手の信頼を獲得した結果です。今後も全国のTACのみなさんが、さらに活動を高め、より一層、担い手生産者の信頼を獲得し、担い手の所得向上に結びつく活動を進めることができますよう精一杯支援をしてまいりたいと思います」と語った。
表彰JAおよびTACは以下の通り。
【JA表彰】☆JA北びわこ・滋賀県(全農会長賞)
☆JAあさひかわ・北海道
☆JA金沢市・石川県
☆JAたじま・兵庫県
☆JAしまね・島根県
☆JAおちいまばり・愛媛県
☆JA阿蘇・熊本県
【TAC表彰】(【 】)は取組みテーマ)☆小中和彦 JAあさひかわ営農企画部畜産課課長・北海道
【副産物×副産物=ブランド牛】
☆堀米亮平 JAさくらんぼひがしね営農販売園芸部営農渉外課主任・山形県
【新技術によるももの所得倍増計画 その名も「ハイブリッド仕立て」】
☆青山政弘 JA常陸ひたちなか地区営農経済センター考査役・茨城県
【未利用法人・若手担い手の多岐にわたる課題解決とJA利用の向上】
☆遠藤茂行 JA越後中央担い手支援班調査役・新潟県
【若手農業女子交流・ネットワーク構築による農業法人の手取り向上】
☆木田敦志 JA松任営農部営農課調査役・石川県
【「山島の農地は地域で守る」~持続可能な農業経営体の支援~】
☆野村智美 JA西条営農販売部営農振興課・愛媛県
【水の都西条「絹かわなす」の反収UP×販売力強化で農家手取りが向上】
☆上山将人 JAひがしうわ営農部指導課・愛媛県
【反収向上!省力化!規格外品の販路開拓! JAひがしうわ大玉トマト部会の所得増大対策!!】
☆坂口浩二 JAみなみ筑後営農部担い手支援課係長・福岡県
【新規就農者を地域の担い手へと育てる営農・経営支援】
【TACトップランナーズJA表彰】JAとぴあ浜松・静岡県
JAグリーン近江・滋賀県
JA京都にのくに・京都府
JAやつしろ・熊本県
【担い手向けTAC通信コンテスト】
JAレーク伊吹・滋賀県(最優秀賞)
JAてんどう・山形県
JA三重中央・三重県
JA京都中央・京都府
JA堺市・大阪府
(写真)表彰者全員で記念撮影、挨拶する中野会長、表彰されたJA、表彰されたTACのみなさん、TACトップランナーズJA表彰
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日