全農の自己改革 初年度計画ほぼ達成2018年3月28日
JA全農は3月27日、昨年3月に組織決定した「農林水産業・地域の活力創造プランに係る本会の取り組み」(年次計画)の達成状況について、「ほぼ計画どおり進捗している」と発表した。
(写真左から)山崎周二専務、神出元一理事長、長澤豊会長、岩城晴哉専務
◆農機の共同利用も
事業改革の取り組みはおもに以下のような実績となっている。
肥料の共同購入では全国400銘柄(高度化成・NK化成肥料の一般銘柄)を17銘柄に絞込み、29肥料年度春肥では例年の実績をほぼカバーする7万tを超える予約数量を積み上げた。
入札によってメーカー数を14社33工場から8社13工場に削減、銘柄あたりの生産数量を約250tから約4000tに拡大し製造固定費を引き下げた。供給範囲も全国一律からブロック単位に変更して配送コストを圧縮、こうした取り組みの結果、1~3割の価格引下げを実現した。今後は普通化成一般などに対象品目を拡大していく。
農薬ではジェネリック農薬製造に向け1剤めの開発に着手、農薬担い手直送規格は通常規格とくらべて2~3割の価格引下げを実現した。
農機事業では昨年9月に60馬力クラスのトラクター1~2型式を開発要求し、1000台を目標に生産者から共同購入申込みをとりまとめてきたが、3月末で1300台程度となっている。大型コンバインの共同利用では4~5名程度の生産者がチームを組むこととし、29年度は10チームが利用し、購入するより2割程度のコスト低減を実現した。
段ボールの共同購入では3品目(タマネギ、サトイモ、ピーマン)の全国標準段ボール箱規格(44規格)を設定。現在、購入意向を示したJAと条件確認を行っている。県域独自の規格集約と合わせて約3割規格の削減見込みとなっている。価格も16%引き下げの見込みとなっている。
飼料事業ではJA西日本くみあい飼料が昨年6月から倉敷新工場を稼動するなど、合理的な製造・供給体制によるコスト削減を実現している。
◆米買取 30万t達成へ
米の販売では直接販売計画100万tと買取販売計画30万tはともに達成の見込みとなっている。
園芸の直接販売計画3200億円(県本部直販760億円、JA全農青果センター直販1560億円、市場経由の予約相対取引880億円)もほぼ達成する見込み。直接販売では取引先約1000社のうち、重点取引先300社程度を選別しリレー出荷体制を構築した。
直販関連のインフラ整備として29年度は2か所で調整・加工施設等を設置した。30年度は6か所で新設を予定している。
◆輸出用 米産地づくり
輸出はJAグループ全体で174億円を計画したが144億円にとどまる見通しだ。ただ、前年比では116%と伸ばしている。
輸出事業について神出元一理事長は「時間はかかるが現地で腰をすえてサプライチェーンをしっかりつくっていきたい」と話し、輸出先国のニーズにあった産地づくりと、海外の和食店との提携なども促進する。
29年度は輸出用米産地づくりに向け、多収・低コスト栽培の実証試験を4県17JAで実施した。青果物では香港向けのモモで8産地でリレー出荷を実施したところ、0.5tだった輸出量が13tに伸びた。シンガポールには白菜と大根のリレー出荷を3産地で通年実施した。
長澤豊会長は会見で「2年めに入る自己改革の加速化に取り組む」と表明し「すべては組合員のため。所得の増大につなげ安心して経営に取り組んでいけることが大事。1年後に全農はこう変わったのか、と言われるように取り組みたい」と強調した。
(関連記事)
・実需者ニーズふまえ販売力強化-JA全農30年度事業計画(18.03.27)
・会長に水野喜徳氏 JA全青協(18.03.15)
・戸井チーフオフィサーが講演 JA国産農畜産物商談会(18.03.16)
・【山崎周二JA全農代表理事専務に聞く】農家手取り確保のため さらなる「自己改革」を(18.02.19)
・販売力強化でフードマーケット事業部を新設 JA全農(18.02.15)
・【座談会・「食」の発信 私たちから―全農直販グループ】取引先ニーズを正確に産地に マーケットイン型事業を実践(18.01.26)
重要な記事
最新の記事
-
新農相に鈴木憲和氏 農政課題に精通2025年10月22日
-
鳥インフルエンザ 北海道で今シーズン1例目を確認2025年10月22日
-
【2025国際協同組合年】協同組合間連携で食料安全保障を 連続シンポ第7回2025年10月22日
-
身を切る改革は根性焼きか【小松泰信・地方の眼力】2025年10月22日
-
将来を見通せる農政 一層前に 山野全中会長が談話2025年10月22日
-
丸の内からニッポンフードシフト「NIPPON FOOD SHIFT FES.東京2025」開催 農水省2025年10月22日
-
来年の米生産 米価高を理由に3割が「増やしたい」米生産者の生産意向アンケート 農水省2025年10月22日
-
全農チキンフーズから初の農協シリーズ「農協サラダチキン」新発売2025年10月22日
-
世界選手権出場かけて戦うカーリング日本代表チームを「ニッポンの食」でサポート JA全農2025年10月22日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」鹿児島の食材たっぷり「かごしまの宝箱プリン」を紹介 JAタウン2025年10月22日
-
京野菜セットなど約70商品が送料負担なし「JA全農京都ショップ」で販売中 JAタウン2025年10月22日
-
「北海道JAるもいフェア in 東京競馬場」とにかく明るい安村が登場 開催2025年10月22日
-
大量合成可能なジャガイモシロシストセンチュウ ふ化促進物質を発見2025年10月22日
-
世界各地から収集したイネ遺伝資源「NRC」整備とゲノム情報を公開 農研機構2025年10月22日
-
【消費者の目・花ちゃん】世界陸上 生の迫力2025年10月22日
-
柿谷曜一朗氏の引退試合「THE LEGEND DERBY YOICHIRO KAKITANI -LAST MAGIC-」にタイトルパートナーとして協賛 ヤンマー2025年10月22日
-
柿「太秋」出荷本格化 JA鹿本2025年10月22日
-
台風22・23号の被害に伴う八丈島へ支援物資を送付 コープみらい2025年10月22日
-
店舗、宅配ともに前年超え 9月度供給高速報 日本生協連2025年10月22日
-
鳥インフル 米ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月22日