危機感共有し国民的議論を 食料安保でJA全中がシンポ2019年12月18日
JA全中と(株)共同通信社は12月17日、東京都内で「持続可能な食と地域を考える」シンポジウムを開いた。食料安全保障の視点から日本の食料、農業のあり方を提案し、国民的議論を盛り上げようというもので、JAや生協、地方自治体や経済団体が連携した初のシンポジウムで、各団体が食料・農業への取り組みを報告。約500人が参加し、食料自給率の低下についての危機感を共有した。
食と農の大切さを訴えたシンポジウム
JA全中会長の中家徹氏はJAグループの取り組みと、次期食料・農業・農村基本計画に対する低減を説明した。同会長は食料自給率の低下の背景について、「農地」「人」の弱体化を挙げ、さらに世界的な自然災害の多発、人口増を指摘。「不測時にとどまらず、平時から質と量の両面で食料安全保障の確立をめざす必要がある」と、平時の備えの重要性を強調した。
全国町村会経済農林委員長(長野県長和町長)の羽田健一郎氏は、東京農業大学の連携した山村プロジェクトの取り組みを報告。遊休荒廃農地再生での実習や、特産品開発などを続けることが、農村のあらたな価値の発見や、若者の田園回帰につながっていることを紹介し、農業政策と農村政策の両方の必要性を指摘した。
経済団体からは経団連農業活性化委員会企画部会長(NTT副社長)の井伊基之氏が、農業界との「連携プラットフォーム」の構築を提案し、好事例の水平展開の必要性を指摘した。また、ドローンやAIによる生産性の向上、ロボット農機による人手不足の改善などの可能性について述べた。
消費者団体からはコープデリ生協連常務理事の山内明子氏が、商品利用を通じた持続可能な社会づくりで提案。「お米育ち豚」「佐渡トキ応援お米」「美ら島もずく」などのプロジェクトの取り組みを報告し、消費者に生産の大変さ、大切さを伝える取り組みの必要性を強調した。
また東京農大国際食料情報学部教授の堀田和彦氏は、「食料の安定供給・農業生産の持続性に寄与する」と述べ、「教育関係者や行政、団体・企業等の幅広いネットワークづくり」を提案した。その上で、「農業・農村、消費者のいずれも、全体的な危機感の共有が不足している。より具体的な連携構築のための議論を交わすことが極めて重要」と、もっと議論を深めるよう訴えた。
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