JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(19)【今さら聞けない営農情報】第285回2025年2月15日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るため、農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しようと考え、まずは、農薬を正しく使うための第一歩である農薬の製剤に関する基礎知識をご紹介しています。
前回、農薬は近隣の作物への飛散(ドリフト)に十分に注意しないと農薬取締法違反になる可能性があることをご紹介しました。このドリフトを回避するためには、農薬の飛散のメカニズムを理解する必要がありますので、今回は飛散のメカニズムをご紹介します。
農薬は、どのような散布方法であっても、農薬の有効成分を含む粒子を散布しています。
粒子というと、粒剤など丸い固形物を想像してしまいますが、水で希釈する場合でも、散布ノズルから噴出される水滴は、粒子状になった農薬希釈液であり、一般のノズルから噴出する霧状のものは、平均直径200~300㎛程度の水滴(粒子)です。一方、粉が舞う粉剤も粒子であり、平均10㎛程度、DL粉剤(ドリフトレス粉剤)が平均20㎛直径の粒子です。これらの粒子は、極めて小さいので、空気中を漂っている時には霧状や煙状に見えるのです。
ドリフトは、農薬が圃場外に出ていくことが問題なので粒子の飛散距離が重要であり、その飛散距離は、散布時の粒子径が小さければ小さいほど長くなります。そのため、散布粒子を大きくすればドリフトを軽減できるのですが、粒子が大きくなると今度は農薬の効果や作物への付着量に影響を与えるようになります。では、この農薬の粒子径がどんな影響を及ぼすのかご紹介します。
ます効果面です。農薬は、有効成分が害虫や病原菌に触れる機会が多い方が効果は出やすく、作物表面に均一に隙間なくびっしりと農薬粒子が付着している方が効果もよくなります。つまり、散布粒子が小さい方が作物表面にびっしりと付着しやすいので、散布粒子が小さい方が効果も良くなるのです。
次に作物への付着量です。
効果と同様に、作物への付着量も散布粒子が小さい方が多くなります。作物の表面には、目には見えないが突起物や微毛などがあり、意外とデコボコしています。粒子が小さければ、このようなデコボコの隅々に到達しやすくなり、結果として付着量も多くなり、農薬の効果が安定します。
最後に到達距離です。
農薬の到達距離も粒径が小さいほど風に乗って遠くに飛ばすことができます。あるデータでは、3㎛の水滴(粒子)は、3mの高さから平均風速1.33mの風に乗ると10kmも飛ぶとされており、実際の霧状散布の水滴(粒径100㎛)でも同じ風速で10m飛んでしまいます。農薬散布の時に許容されている風速は3mですが、その風速では同じ散布水滴は30m以上の到達距離になります。
このように、散布時の粒子径は効果・付着量と到達距離の兼ね合いで検討されていることをご承知おき下さい。
重要な記事
最新の記事
-
スーパーの米価 前週から10円上がり5kg4331円に 2週ぶりに価格上昇2025年12月19日 -
ナガエツルノゲイトウ防除、ドローンで鳥獣害対策 2025年農業技術10大ニュース(トピック1~5) 農水省2025年12月19日 -
ぶどう新品種「サニーハート」、海水から肥料原料を確保 2025年農業技術10大ニュース(トピック6~10) 農水省2025年12月19日 -
埼玉県幸手市とJA埼玉みずほ、JA全農が地域農業振興で協定締結2025年12月19日 -
国内最大級の園芸施設を設置 埼玉・幸手市で新規就農研修 全農2025年12月19日 -
【浜矩子が斬る! 日本経済】「経済関係に戦略性を持ち込むことなかれ」2025年12月19日 -
【農協時論】感性豊かに―知識プラス知恵 農的生活復権を 大日本報徳社社長 鷲山恭彦氏2025年12月19日 -
(466)なぜ多くのローカル・フードはローカリティ止まりなのか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月19日 -
福岡県産ブランドキウイフルーツ「博多甘熟娘」フェア 19日から開催 JA全農2025年12月19日 -
α世代の半数以上が農業を体験 農業は「社会の役に立つ」 JA共済連が調査結果公表2025年12月19日 -
「農・食の魅力を伝える」JAインスタコンテスト グランプリは、JAなごやとJA帯広大正2025年12月19日 -
農薬出荷数量は0.6%増、農薬出荷金額は5.5%増 2025年農薬年度出荷実績 クロップライフジャパン2025年12月19日 -
国内最多収品種「北陸193号」の収量性をさらに高めた次世代イネ系統を開発 国際農研2025年12月19日 -
酪農副産物の新たな可能性を探る「蒜山地域酪農拠点再構築コンソーシアム」設立2025年12月19日 -
有機農業セミナー第3弾「いま注目の菌根菌とその仲間たち」開催 農文協2025年12月19日 -
東京の多彩な食の魅力発信 東京都公式サイト「GO TOKYO Gourmet」公開2025年12月19日 -
岩手県滝沢市に「マルチハイブリッドシステム」世界で初めて導入 やまびこ2025年12月19日 -
「農林水産業みらいプロジェクト」2025年度助成 対象7事業を決定2025年12月19日 -
福岡市立城香中学校と恒例の「餅つき大会」開催 グリーンコープ生協ふくおか2025年12月19日 -
被災地「輪島市・珠洲市」の子どもたちへクリスマスプレゼント グリーンコープ2025年12月19日


































