JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(35)【今さら聞けない営農情報】第301回2025年6月7日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るため、農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しようと考えています。農薬の防除効果は、有効成分をいずれかの方法で作物に付着または吸着させることができてはじめて発揮されますので、高い効果を発揮させるには、有効成分をいかに効率よく作物に付着させるかが鍵となります。すでに、水に希釈して散布する剤型を題材にそれらを効率的に作物へ付着させる方法について整理しました。現在は、製剤をそのまま散布する農薬の散布機械をご紹介しています。
1.人力散布(つづき)
(3)ジャンボ剤等拡散性製剤の散布
③FG(Floating Granule)剤
FG剤とは協友アグリ㈱が開発した水面に浮きながら自己拡散する粒状の除草剤のことです。風や水流を利用して、散布地点から自己拡散し、畦畔の一辺から風上散布しても圃場全体に薬剤が広がるなど優れた拡散性を発揮することで省力的な除草作業を可能にします。 その主な特長は、下記のようなものです。
○水面に浮いて風と水流によって速やかに拡散する
○畦畔から散布するだけで圃場全体に効果が届くため、散布作業の労力と時間を軽減できる
○軽い粒状なので、ドローンでの散布も容易
ただし、この優れたFG剤の効果を十分に発揮させるためには、いくつか守らなければならない注意点があります。それは以下のとおりです。
▷5cm以上の水深を確保し、田面の露出を避けるために田面の均平度をよくする。
▷薬剤が均一に拡散できるように、代かきは丁寧に行い、田面を均平にして凹凸を無くす。
▷水口と水尻をしっかり止め、畦畔からの漏水がないか確認し、散布後も水深を保つ。
▷風によって薬剤が吹き戻されるので風下からの散布は避ける。風上からの散布であれば、水田の一辺の畦畔から散布しても田んぼ全体に薬剤が拡散して安定した効果を発揮する。
(圃場の条件により散布法に制限がある場合がありますので、事前に説明書をよく読んで下さい)
▷拡散不良を起こしますので、藻類や稲ワラの上には散布しない。
ここまでご覧になるとお分かりと思いますが、これらの風以外の注意点は、水稲除草剤の効果を安全に安定させるための注意事項と共通するものです。つまり、水稲除草剤は水を介して田面に除草成分の処理層をつくるため、水管理がしっかりなされていないと十分な効果を発揮できない場合が多いものです。このように、FG剤の優れた効果と優れた省力性を得るためには、従来より徹底した水管理が必要な点をご承知おき下さい。
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