JAの活動:JAトップアンケート 今、農業協同組合がめさずこと
【JAトップアンケート】JAセレサ川崎 柴原裕代表理事組合長 「地域と共生する都市農業」2015年11月12日
今回は、JAセレサ川崎の柴原裕代表理事組合長のご意見を掲載する。
JAセレサ川崎
柴原裕代表理事組合長
回答日:2015.10.1
【問1】あなたの農協では、農業・地域に対し、どんな役割を果たそうと考えておられますか。今後もっとも重要な役割だとお考えの内容をお書きください。
まず、セレサ川崎農業協同組合が所在する川崎市の概略は、東京都と横浜市に挟まれた東西に30km、南北に1.2kmという細長く、狭い地形に147万人の市民が生活し、農地は630haという環境であります。JAセレサ川崎の母体となります10JAは、昭和23年頃設立されました。その頃、川崎の人口は、30万人程度で大部分が農村でした。しかし国家が経済成長などにより発展を続け、国及び地方行政の方針に従い、現在に至っております。したがって、当然JAの使命も変化せざるを得なかったことから、全国の例より多少の違いがあるかと思います。
そのような中で、わたしたちは「地域と共生する都市農業」「地域と共生するJAバンク」という二つを柱として運営しております。都市農業の振興、農業所得の増大に関しては、生産者と消費者が直接出会い信頼を築く中で、食の安全・安心、そして美味しい地産地消の農畜産物、花卉等を提供し、また直接の需要と供給による最大の価格設定ができる場として、大型農産物直売所「セレサモス」の運営を行っております。今月10月27日には、二号店がオープンする予定です。
また万が一の時の防災農地も77ha登録し、明日を担う子どもたちに食農教育を行い、そして市民の生活に潤いを与える緑の保全にも力を注いでいます。
こうした運動を通し、市民の理解を得て、共生の中で都市農業の振興を図っています。JAバンクに関しては、貯金総額1兆3,600億円、貸出金5,500億円、総口座数87万口ございます。市民の重要な金融機関として、その責任を果たすことにより、地域に貢献しております。以上が私たちの使命であり、今後も重要な役割であると考えております。
【問2】問1の役割を果たすうえで、今、農業・地域での最大の課題は何ですか。
都市農業は即ち園芸であると考えております。現在残っている核となる農業者もしくは園芸家は、約1,000人であり、毎年複数名が農林水産大臣賞を受賞する技術に優れた人々であり、後継者・担い手問題は、さほど心配は無いと感じております。
従って、最大の問題は、相続税、固定資産税、都市計画税等の税制問題です。非常に困難な問題ですが、「都市農業振興基本法」の中で少しずつでも解決できればと思っています。
また、信用事業に関しては、先に記述したとおりの大きな規模です。農協法改正で保留された准組合員に対する一定の利用制限に関して、5年後に見直すという文言の成り行きです。
以上二点です。
【問3】問2の課題を解決するため、もっとも力を入れようと考えておられることは何ですか。
いずれも政治的な問題であります。解決するためには、同規模・同質のJAが横の連携を図り、政府・与党・省庁と友好的方法により結束して理解を得ることです。そのためには、農政連がJAの結集軸となるのが、もっとも良い方法と考え努力していきたいと思います。
【問4】問3に関連して、第27回JA全国大会議案では「9つの重点実施分野」を掲げています。このうち課題を解決し、貴JAがめざす姿を実現するために、もっとも重要と考えておられる事項を3つあげてください。また、その分野において、どんな取り組みを考えておられるのか、具体的内容をお書きください。
c=付加価値の増大と新たな需要開拓への挑戦
(具体的取組内容)
限られた農地による所得の増大は必要であり、ブランド化を目指している。
d=生産資材価格の引き下げと低コスト生産技術の確立・普及
(具体的取組内容)
所得増大には不可欠であり、資材の廉価の研究をしている。
h=正・准組合員のメンバーシップ強化
(具体的取組内容)
准組合員の利益の還元を、正組合員のそれに近づけている。
【問5】第27回JA全国大会を機に、JAトップとして内外に発信したいお考えをお書きください。
各JAにとって農業振興の手法は、千差万別であり、それぞれ自ら開発すべきことだと思うが、販売方法と農業資材の提供、付加価値の高い品目の開発は、共通して大事なことだと思う。類似したJAの横軸の結束は必要である。
また、奥野会長のトップダウンでなく、ボトムアップの方針が徹底できれば、個々のJAは自らの責任で自らの地に合った営農指導やJA運営をせざるを得ない。その真剣な思考の中から生じる独自性が農業所得の増大とJA運営の安定につながると思う。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日