JAの活動:より近く より深く より前へ JA全農3カ年計画がめざすもの
新たな業務向け産地確立めざし マーケットイン起点の事業を展開 / JA全農とちぎ(上)2016年10月31日
JA全農はこの28年度からの「3か年計画」を決めた。その内容は「より近く より深く より前へ」を合言葉に、生産・流通・販売面でいままで以上に深化・拡充した重点事業施策を実行することで「農業者の所得増大・農業生産の拡大・地域の活性化」を実現していこうというものだ。そのために、より現場に近い全国の全農都府県本部では、さまざまな具体的な取組みが実践されている。
今回は都府県本部の地域生産振興の中から、業務用タマネギの生産振興と販売に取組む全農栃木県本部(JA全農とちぎ)営農販売企画部に取材した。
◆経営安定へ 水田でタマネギを
栃木県の耕種農業といわれて思いつくのは、いちごの「とちおとめ」や日本一の生産量を誇る「干ぴょう」などいくつもあるが、やはり関東有数の米の産地というイメージが強いのではないだろうか。
しかし、最近の米の販売情勢は生産者にとっては大変に厳しい。そのため「所得の安定化をはかるためにどうにかできないか」「価格の決まった販売」や「全量出荷」など、契約栽培に近い販売形態を求める生産者の要望が強くなってきた。
そこで、水田などの「土地利用型作物で何ができるかを考えた」とJA全農とちぎ営農販売企画部の阿久津剛生産振興課長。そしていろいろと模索検討した。例えばジャガイモやニンジンはすでに食品加工メーカーとの契約販売がされているので、それ以外の品目で「掘り上げて泥つきで販売することができるのは...」と考えた。その結果、県内に産地はあるが「業務筋への販売はしていないタマネギ」に白羽の矢が立った。
もともと栃木県はタマネギ生産で北海道や兵庫などにはおよばないが、全国で第6位の生産量がある産地だ。一時は価格が下落して廃棄処分したこともあったが、ここ数年は不作ということもあって価格が安定していることや、輸入品からの「国産回帰」もあり見直されていることも、その背景にはあった。
そして、販売先の開拓をするとともに、業務用なので市場出荷に比べれば価格は低くなるが、価格を決めて取り組むので、水稲農家の「経営安定化のために取組んでみませんか」と提案し推進してきた。
◆ 契約販売推進 専門部署を設置
JA全農とちぎでは、平成27年度に営農経済支援部内に加工野菜推進課を新設、それまで園芸事業で取組んでいた業務用契約野菜のなかから、タマネギとニラに焦点をあてて、前述のように契約販売先の開拓と生産振興を進めてきた。
さらに28年4月には、新たに営農販売企画部を立ち上げ、部内に新規販売先の開拓推進を専門とする直販課と、契約的な栽培を推進する生産振興課を配置し、販売提案と産地振興の両面から加工業務用野菜事業を強化する体制を整え、農家の所得向上に、具体的に寄与する組織的な活動を展開してきている。
この活動を成功させるためには、まず販売先を開拓しなければならない。そのため業務向け省力化規格を受け入れてくれる相手をみつけるために、既存販売先への再アプローチや各種商談会への参加、さらに新規営業活動を行って、有力な販売先を選定。さらに産地が出荷しやすい規格での商談によって、産地JAに提案するときの「マーケットイン起点」での取引条件を確立してきた。
(写真)レンタル農機を使った収穫作業
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