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五所川原農林高校の挑戦 日本の農業を世界につなげる(後半)2017年10月31日

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◆パスポートは飾り物ではない

中国・成都市で自ら販売し完売(写真)中国・成都市で自ら販売し完売

 山野さんは、「グローバリゼーションというときには、フラットで一様な世界でなければいけない」。GGAPに何かを付け加えたり、削ったりすれが「フラットで一様」ではなくなる。この世界は相撲の土俵のようなもので、「同じ土俵に上がってからが勝負だ。土俵に上がったからといって売れたり価格が上がるわけではない」と、基本的なGAPの考え方・あり方を説明する。
 横田敏恭GAP普及推進機構理事長は「グローバルGAPは世界への通行手形」だと語っている。他国に入るために持っていなければいけないパスポートで、それはビジネスの出発点だという。
りんごの樹 山口校長は、「パスポートなら、壁に飾っておくのではなく実際に使わせたい」と考え、輸出方法について研修し、GAPチームの生徒たちが手続きして五農が輸出業者となり、五農産の「ふじ」リンゴを中国に輸出する。中国も上海や北京、香港ではなく、内陸の四川省成都市の伊藤洋華堂に生徒が赴き販売実習を行う。これは伊藤洋華堂中国総代表の三枝富博氏(現・イトーヨーカ堂社長)が、主旨に感動して実現した。
 生徒たちは中国語を学んだり、現地の文化、ライフスタイルの理解に基づくマーケティングをしたりして、販売価格や販売方法を考え、29年1月18日から22日までの日程で渡航し、目標600個を上回る650個を完売する。
 上手な中国語でよびかけると「中国人ではないか?」と疑われたので呼び込みは日本語に変えたり、日本産は「放射能が怖いから...」というので、試食品は皮つきで提供し、皮ごと食べても安全・安心をアピール。さらにバラ売りだけでなく化粧箱セットを出すと値段も聞かず11箱注文する人が出てくるなど、生徒が現場で課題を的確に捉えて議論し、仮説をたてて実証して課題解決していった。その柔軟性には山口校長もビックリだった。
 来年2月にも成都市で海外輸出販売研修をするが、近隣の柏木農高、弘前実業高校、同藤崎校舎を誘って合同で実施する予定だ。
 GGAPの認証取得は、GAPチームだけではなく、五農の生徒全体にも大きな影響を与えている。さまざまな施設で清掃が行われ、校内がきれいになったというが、それだけではなく、GGAP認証対象外の品目でも、GGAPを意識した栽培管理が行われるようにもなってきている。

 

◆卒業後の進路逆転65%が農業関連に

 こうした生徒の成長に確信を持ち、五農では28年度からGGAP教育を、全学科の生徒が学ぶ科目「農業と環境」で教育課程に取り入れた。このことで世界規準で日本農業を牽引しうる卒業生約170名を毎年送り出すことが可能になった。そして、卒業後の進路もこれまでと逆転して、65%が農業関連に進むという。
 あるリンゴ農家を営む父親は「息子が変わった。これまでは力仕事の手伝いだったが、GGAPを学んでからは、一生産者として議論できるようになった」という。GAPチームの生徒は、「実家にもGGAPを取り入れ、農業法人を大きくすると決心した」と語る。非農家の生徒も「大手市場のバイヤーや農業行政をめざし、GGAPを自分の人生に活かしたい」と語る。
 五農では、27年のリンゴに続き、28年はリンゴと水稲に、29年にはこれにメロンを加えてGGAP認証に取り組んでいる。いずれは五農で栽培する全品目でのGGAP認証を目指す。その理由の一つは、審査は公開され北海道から沖縄まで約150名が見学に訪れているからだ。2年目以降は抜き打ち検査だが、新規作物の第1回目は収穫作業も見るため日程調整できるからだ。

 

◆高校生コンサルで地域へGGAP普及

公開審査のようす(写真)公開審査のようす

 そして公開審査はこれまでの経験から1、2年生で十分に対応できるので、3年生は審査対応ではなく、実家が農家という生徒の親に呼びかけてGGAP取得希望農家をチームでコンサルとして支援することにした。このことで、生徒の知識と経験が磨かれ、全国306校の農業高校が拠点となって高額なコンサル料なしに、地域にGGAPを普及できることになる。
 また、東京オリ・パラは、「持続可能やGAPの意義、農産物ロジスティックスなどを生徒が学ぶ絶好の機会ととらえ、生徒が調べ企画して、GGAP認証食材やFSC認証木材を生徒の手で五輪に届けさせたい」と考えGOC(五農オリンピック委員会)を設置して取り組む。さらによりビジネスに対応できるマーケティングや原価管理など経営能力を身に着けるために、ネット授業をフル活用して、日商簿記3級取得をめざした簿記教育を強化する。
 リンゴのGGAP認証取得は「一つの通過点」というのは、次の目標がいくつも設定され、五農の重要な教育の一環として取り組まれているからだ。
 日本農業が本当に「明日への挑戦」をするなら、ここにはそれを担うJAや生産法人、担い手が学び取る多くの示唆に富んだ教訓があるのではないだろうか。明日を担う若い人たちの努力を、ぜひ生産現場で活かして欲しいと思う。

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