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特集:人づくり 組合員からの学びで人が育つ

2020.02.07 
座談会:10年、20年後を見据えた人づくりを(2)一覧へ

出席者:藤山作次JAえちご上越理事長
    下小野田寛JA鹿児島きもつき組合長
    田村政司JA全中教育部教育企画課課長

三人

職員一人ひとりに向き合う JAは一つワンチームで

◆ファシリテーション

 田村 全組合員訪問やアンケートなどを通じた組合員との対話が重要です。また支店単位の地域協同活動がとても大切であり、またそれが実践的協同組合教育の場でもあります。それをうまくコーディネートするための職員のスキルアップが必要です。組合員と話ができ、きちんと問題提起して、意見を引き出す能力、ファシリテーション能力を教育のプログラムにする。これを中央会が行う教育研修メニューに組み入れ、今年度から取り組みをスタートしています。

 藤山 大いに期待します。JAで集落座談会を開くとき、進行役の職員が緊張していては意見が出ません。組合員が意見を述べやすい雰囲気づくりが必要です。常勤役員による組合員訪問のとき、総代の奥さんから、大勢が参加する総代会で自分の意見を述べるのはハードルが高いと言われました。理事長が来てくれるとありがたいとも。支店ごとに組合員に集まってもらって「わいわいがやがや」やる。この「わいがや」方式で研修会をやったらどうでしょうか。今年から農家組合長会議も支店単位に、この方式でやってみるつもりです。

田村氏 田村 全中教育部では、昨年4月から全国部課長会議で。47県の部課長がロの字で向き合う形から、ブロック単位でグループをつくり意見交換し合う形に変更しました。会議が活性化しました。

 下小野田 営農指導員が部会の事務局になっており、コミュニケーションやファシリテーション能力の向上は、これからの時代に欠かせない能力です。一方で、事業推進が苦手の職員もいます。しかし、農協の仕事は農家の農産物を集めて売ることであり、これはある意味で推進活動でもあるのです。そこを理解していない職員もいますが、コミュニケーション、ファシリテーションはその意味で大事なことです。

◆多様性生かす職場

 田村 経営環境の変化は大きく、屋台骨の金融がドラスチックに収益が減るなかで、経営改革をどう進めるべきでしょうか。人手不足のなか、やめる若手職員が多いなかで、65歳まで働く人が増える。その一方で女性の感性が求められています。多様な人材の多様な働き方をJAのなかに、どのように根付かせるか。人材問題が経営難を乗り切る大きな柱になると考えています。

下小野田氏 下小野田 経営改革では金融・共済の収益減は避けられないでしょう。ここまで取り組んできた所得向上につなげる営農経済事業を強める方針です。それによってこそ農家、地域を守り、農協の基盤を強くすることができます。「チームきもつき」は組合員や役職員だけでなく、地域の人を含めてのワンチームです。かつて退職辞令を毎月のように出し、残念な思いをしていましたが、改革が進み、いまは職員が辞めなくなりました。それを原動力にしてさらに前へ進みたい。
 また、これまでは職員は正規、非正規が半々でしたが、臨時・嘱託の職員のなかから正職員を望む人も出てきました。嘱託5~10年の女子職員が、「この雰囲気ならもっと勤めたい」と言ってくれます。

 田村 「チームきもつき」の骨子は多様な人材を生かすということが根っ子にあると思います。

 下小野田 職員が辞める理由は職場がチームになっていなかったということで、心を開いていなかった。「チームきもつき」はそれを変えたかった。要は一人ひとりを大切にすることです。十把ひとからげの「人材」でなく、一人ひとり才能も性格も違います。それを意識してかからなければならない。それには力も労力もいりますが、そこが大事です。自らやりがいをもって行動する職員が必要です。組合長が1から10まで指示しないと回らない組織は成長しません。
 この考えで共済推進の個人ノルマを止めました。目標を機械的に割り当てされては、チームどころではなくなります。チームみんなで協力することで、全体の目標を達成してきました。
 「人」が大事だという一つの例ですが、10年ぶりに組合長に復帰したとき、前回の辞めるときに畜産課長だった職員が、55歳以上になっても同じ畜産課長でした。理由を聞いたところ、共済の個人ノルマを達成できなかったからということでした。昇格を提案すると周囲から反対されました。本人は、農家の実態をみたら無理な推進はできないと思ったのだと思いますが、反対の声を抑えて部次長にさせました。その後、彼は畜産部長になり、宮城全共で鹿児島県の和牛日本一に大きく貢献しました。

◆厳しい時こそ教育

藤山氏 藤山 職員数は1150人いて、多岐にわたる事業を行っていますが、それには訳があります。まだ民間がやっていないころ、農協で高齢者福祉を始めました。いま140人の職員が働いていており、その結果が今の職員の規模です。ただ厳しい状況にあるのが現実で、JAだけで地域のニーズに対応するのは無理があります。管内は上越市と妙高市の2市で23万人の人口を持ち、4割が中山間地域です。

 政府は農協改革で、金融・共済から営農経済へ人員をシフトさせるというが、それで人件費が賄えるならともかく、そう簡単にはいかないでしょう。一人の職員が3人分の仕事をこなすくらいの能力が求められます。ですから経営が苦しくなればなるほど教育が重要になるというのが私の考えです。
 正職員への登用では、3年に1回くらい手上げ方式でやっています。15人ほど受験して10人くらいの登用です。また臨時職員を定期雇用に切り替え、仕事や担当する地域を決めた職員もいます。また同一労働同一賃金をということで、今年度から一本化することを検討しています。
 職員一人ひとりに向き合う、農林中金のF&F研修に1年取り組みましたが、そのなかで講師の話として、若い職員が、雨の日に駐車場まで傘を差して送り迎えを1年間、徹底。その結果、金利の上乗せがなくても貯金が集まるようになったということでした。

 下小野田 うちには若手中心のプロジェクトがいくつかあります。心掛けているのは職員の提案は、モチベーションを下げないためにも、可能な限り実行することです。

 藤山 うちも提案制度がありますが、なかなか職員から出てこないですね。そこで、若手・中堅職員でプロジェクトをつくり、各支店を回って職員の話を聞き"提案代行"をしています。決定するのは理事長ですが、件数が増え、コメントを書いて採用・不採用の決定を行うのが大変です。でもそれは嬉しいことです。また昨年から、部下が上司を評価する360度人事考課を始めました。途中集計をみると厳しい意見もあります。

 田村 大事なのは現場で職員を動かす支店長・課長という現場長の力量をあげることです。現場長をどう育て、マネジメント能力をつけてもらうか。かなり力のいる仕事です。マネジャー教育にもっと力を入れるべきだと思います。

◆現場長を鍛える

 下小野田 私は「支所創生」と言っています。支所には組合員がいて農業があり、それが農協の事業につながっている。そこで支所長は課長級でも、手当だけは部長級に上げ、それだけ大事な役割だと言うことを示しました。

 田村 マネジメント力アップは、具体的にはどうやって進めたらいいでしょうか。

 藤山 職員研修というと中堅以下に集中し、これまで支店長への研修が弱かったように思います。支店次長も含め、これからやっていくつもりです。

 田村 支店長と経営者のコミュニケーションに力を入れるべきで、そこがポイントですね。

 下小野田 その通りです。年に一度、支店長研修をしています。プログラムはありませんが、テーマを提案して実施しています。組合員に接する現場だけにこれは大事なことです。

 藤山 現場判断は現場長です。支店長の対応ひとつで組合員の反応が違ってきます。(続く)

【座談会:10年、20年後を見据えた人づくりを(1)】

【座談会:10年、20年後を見据えた人づくりを(3)】

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